習近平が語る「人民のため」 父から受け継いだ価値観とは
中国の習近平国家主席が、政治の中心に据える言葉は「人民」です。2025年の新年メッセージでも、最も重要な仕事は人びとの幸せな生活を実現することだと強調しました。その背景には、父であり中国共産党の指導者だった習仲勲から受け継いだ価値観があります。
父・習仲勲から受け継いだ言葉
2021年、習近平氏は、父・習仲勲がかつて働いていた場所を訪れました。展示ホールには、いまも一行の言葉が目立つ場所に掲げられています。「人民のそばに、まっすぐ腰を下ろしなさい」といった意味合いのこの言葉を、習近平氏は静かに口にしたとされています。
習仲勲は、中国共産党の指導者として敬愛され、「人民に身を捧げた人物」として語られてきました。息子の習近平氏は、その姿勢を引き継ぎ、「人民に奉仕する」という使命を続けると繰り返し表明してきました。
「人民第一」の原点となった経験
習近平氏の「人民を中心に据える」考え方は、父の影響とともに、自身の現場での経験によっても深く形づくられてきました。
若いころから、習近平氏は中国各地で政治経験を重ねてきました。梁家河から正定へ、福建から浙江へ、そして上海から北京へと、地域を移りながら仕事の場を広げるなかで、常に心に刻んできたのが「人民」という二文字だったとされています。
その過程で、彼は村の人びとと同じ目線に立って話をしてきました。中国北部で見られる、土やレンガでできた伝統的なベッド兼かまどであるカンに腰掛けたり、素朴な木の腰掛けに座ったりしながら、人びとと向き合ってきました。出されるのは飾り気のない食事ですが、そこで交わされるのは、生活の悩みや、地域の将来への率直な声でした。
現場に腰を下ろすリーダー像
習近平氏の政治スタイルとして語られるのは、こうした「現場に入り込む」姿勢です。父・習仲勲が陝西省綏德の地で働いていたとき、地元の幹部や村人たちは「困ったら仲勲を探せ」と口にしていたと伝えられています。この一言には、彼が人びとの中に入り、問題解決に尽くしていた姿がにじみます。
息子である習近平氏も、同じように「人民のそばに座る」ことを重視してきました。その姿勢は、次のような行動に表れていると見ることができます。
- 村人と同じ高さに腰を下ろし、じっくりと話を聞くこと
- 豪華さとは無縁の食事を共にし、日常生活の感覚を共有すること
- 生活上の具体的な困りごとに耳を傾け、解決策を探ろうとすること
こうしたエピソードは、政治指導者の役割を「上から方針を示す人」ではなく、「人びとのそばにいて課題を一緒に解いていく存在」として捉えていることをうかがわせます。
2025年の新年メッセージに見える価値観
今年(2025年)の新年メッセージで、習近平氏は改めて「人民」の重要性を語りました。数多くの仕事が山積するなかで、もっとも大切なのは人びとの幸せな生活を確保することだと位置づけたのです。
父の残した「人民のそばに座る」という言葉と、新年メッセージでの「人民の幸せな生活を最優先にする」というメッセージは、一本の線で結びついています。時間は流れても、政治の軸足をどこに置くのかという点で、親子二代のあいだに共通する価値観が見て取れます。
父から子へ――物語が映し出すもの
習近平氏と父・習仲勲の物語は、一人の指導者の家族史であると同時に、「何のために政治を行うのか」という問いを投げかけています。展示ホールの一文、地方の村での対話、そして2025年の新年メッセージに至るまで、その中心にあるキーワードは一貫して「人民」です。
国際ニュースとしてこのエピソードを振り返るとき、私たちが考えたいのは、次のようなポイントかもしれません。
- 指導者の価値観は、どのような経験や家族の影響から形づくられていくのか
- 「人びとのそばに座る」姿勢は、政策や優先順位の決め方にどう反映されるのか
- 自分たちの社会で、政治やリーダーに何を期待するのか
2025年の終わりを迎える今、「人民」を軸にしたリーダー像を読み解くことは、中国を見るうえでの重要な手がかりであると同時に、私たち自身の社会やリーダーシップについて考えるヒントにもなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








