ウズベキスタンのスフィンクス形ペンダントが語るシルクロードの記憶 video poster
2012年から続く中国とウズベキスタンの共同発掘で見つかった、小さなスフィンクス形ペンダントが、中央アジアとシルクロードの物語を静かに語り始めています。遺物は、国と時代を超えて受け継がれる「つながり」の象徴として、2025年の今を生きる私たちにも問いかけています。
中央アジアで見つかった「スフィンクス」
このスフィンクス形ペンダントが発見されたのは、ウズベキスタン南東部、スルホンダリヤ州バイスン近郊のラボト遺跡です。国の南東端に近いこの地で、エジプトのスフィンクスを思わせるかたちの小さな遺物が掘り起こされました。
ペンダントは繊細でありながら存在感があり、「古代エジプト」を連想させる意匠を、中央アジアの大地の上で再びよみがえらせました。かつて誰かの胸元で揺れていたこの装身具は、いまや発掘現場で静かに時代の変化を見つめています。
この対比そのものが、シルクロードの本質を象徴しているとも言えます。遠く離れた地域のモチーフが、中央アジアの地で見つかる――そこに、文化が行き交い、混じり合ってきた歴史がにじみ出ています。
中ウ共同発掘がたどる「東西の交差点」
中国とウズベキスタンの考古学者たちは、2012年からミンテパ、サザガン、ラボト、メンガカテパなどウズベキスタン各地の遺跡で、肩を並べて発掘調査を進めてきました。この長期にわたる協力は、単なる学術調査を超え、両国の文化交流と信頼関係を深める取り組みでもあります。
今回のスフィンクス形ペンダントの発見は、そうした共同発掘の一場面にすぎませんが、「古代ウズベキスタンが東西をつなぐ重要な交差点だった」というイメージを、具体的なモノとして目の前に示してくれます。
シルクロードという言葉からは、しばしば隊商や絹、香辛料などの交易品が思い浮かびます。しかし、このペンダントが教えてくれるのは、そこを行き来していたのが「モノ」だけではなく、「デザインや信仰、物語」といった目に見えにくい文化そのものであったということです。
スフィンクス形ペンダントが語る3つのこと
この小さな遺物から、私たちは何を読み取ることができるのでしょうか。国際ニュースとしての側面と、歴史の教訓としての側面の両方から、ポイントを整理してみます。
- 1.中央アジアは「通過点」ではなく「交差点」だった
バイスン近郊で発見されたスフィンクス形ペンダントは、東西の文化がただ通り過ぎたのではなく、出会い、混ざり、形を変えて受け継がれたことを示唆しています。中央アジアは、地図の上の空白ではなく、歴史を紡ぐ中心の一つだったと考えられます。 - 2.シルクロードは商品だけでなく「物語」も運んだ
エジプトを思わせるモチーフがウズベキスタンで見つかる背景には、人びとの移動とともに、神話や伝承、信仰のイメージが運ばれていった歴史があります。ペンダントは、その長い物語の断片として、「文化の旅程」を今に伝えています。 - 3.身につけるモノは、その人の世界観を映し出す
ペンダントは、かつて誰かが「心臓の近く」に身につけていたものです。そこには美的な好みだけでなく、守護や祈り、憧れといった個人的な感情も込められていたかもしれません。スフィンクス形という選択は、その人が見ていた世界の広がりを象徴しているようにも思えます。
発掘現場から現代へ──静かに続く「対話」
発掘されたペンダントは、かつての持ち主の心音を感じていた位置から離れ、今は研究者たちの手によって新しい文脈の中で語られようとしています。これは、過去と現在がゆっくりと対話を始めるプロセスでもあります。
中国とウズベキスタンの共同発掘は、古代のシルクロードが担っていた役割を、現代のかたちで受け継いでいるとも言えます。かつて商人や旅人が運んだのが香辛料や絹であったとすれば、21世紀の研究者たちは、「知識」と「共通の記憶」をともに掘り起こし、共有しています。
「読みやすいのに考えさせられる」視点
ウズベキスタンのスフィンクス形ペンダントのニュースは、一見すると小さなトピックに見えるかもしれません。しかし、その背後には、次のような問いが潜んでいます。
- 私たちは、どのようにして遠く離れた他者とつながってきたのか
- 国境や時代を越えて受け継がれるものは何か
- 今のグローバル化は、過去のシルクロードと何が似ていて、何が違うのか
こうした問いを、ひとつのペンダントという具体的なモノから考えてみることで、国際ニュースや世界史が、少し身近なテーマとして立ち上がってきます。
現代の私たちへのメッセージ
かつて心臓の近くで揺れていたスフィンクス形ペンダントは、今、発掘現場から博物館や研究室へと居場所を移しながら、静かに新しい時代の鼓動を聞いています。
シルクロードが運んだのは、商品だけではなく「共有できる物語」でした。中国とウズベキスタンの共同発掘が照らし出すこの小さな遺物は、分断よりも対話、対立よりも協力を選ぶことの意味を、遠い過去からささやくように伝えているのかもしれません。
スマートフォンの画面越しにこのニュースを読む私たちも、ペンダントの持つ物語を、自分なりの問いとして受け取り、家族や友人、オンラインのコミュニティで語り合うことができます。そのとき、シルクロードは歴史の教科書の中だけでなく、2025年の今を生きる私たちの会話の中にも、静かに延びているのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








