砂漠だった土地が経済のエンジンに:中国の砂漠化対策と再生のいま
今年2025年の「世界砂漠化・干ばつと闘う日」では、テーマ「土地を再生し、新たな可能性を開く(Regenerate land. Open new possibilities)」のもと、中国が砂漠化対策の成果を世界にアピールしました。砂だらけだった土地が、いまや雇用と産業を生み出す「経済のエンジン」に変わりつつあります。
世界砂漠化・干ばつと闘う日2025とは
「世界砂漠化・干ばつと闘う日」は、土地の劣化や干ばつ問題への理解を深めるために設けられた国際デーです。2025年は「土地を再生し、新たな可能性を開く」というスローガンのもと、砂漠化が進む地域での成功事例が各国から紹介されました。そのなかで、中国の取り組みは、長年にわたる対策が具体的な成果として見え始めている例として注目されています。
砂を止める発明「草方格」──藁でつくるチェックボード
中国で数十年前に考案されたとされる「草方格(グラス・チェッカーボード)」は、砂漠化対策を象徴する技術です。乾燥した砂地に藁を格子状に並べ、四角いマス目をつくることで、風の勢いを弱め、砂が飛ばされるのを防ぎます。
- 砂の移動を抑えて、地表を安定させる
- その上に植える草木の根が張りやすくなり、植生の回復を助ける
- 藁という身近な素材を活用するため、コストを抑えやすい
この「草方格」は、中国の砂漠地帯で広く使われるようになり、いまでは他地域でも採用されるなど、世界的に共有される技術へと育ちつつあります。
砂漠から生まれる果実産業:サジー(シーバックソーン)に注目
中国の砂漠地帯では、土地を守るだけでなく、「どう活かすか」という視点からの試みも進んでいます。その一つが、乾燥地でも育ちやすい果樹・サジー(シーバックソーン)の栽培です。サジーは痩せた土地でも根を張り、オレンジ色の小さな実をたくさんつけるのが特徴です。
雇用と所得を生むジュース産業
サジーの実は、ジュースなどの飲料に加工されることで、地域の新たな産業になっています。砂漠に近い地域で、
- 苗木の栽培・植え付け
- 収穫や選別作業
- ジュース工場での加工
- 流通や販売に関わる業務
といった仕事が生まれ、地元の人々の収入源になっています。土地の再生が、そのまま地域経済の再生にもつながっている点が特徴です。
生態系を回復しながら「稼ぐ」果樹
サジーは経済的な価値だけでなく、生態系の回復にも役立つとされています。根が土壌をしっかりとつかみ、風や雨による土壌流出を防ぐほか、他の植物が育ちやすい環境づくりにも貢献します。
つまり、サジーの栽培は、
- 砂漠化した土地の保全
- 地域の雇用創出
- 飲料産業などを通じた付加価値の創出
を同時に実現しようとする取り組みなのです。
生態回復と持続可能な開発を両立させるモデル
草方格で砂を抑え、サジーで新たな産業を育てる中国の事例は、「環境を守ること」と「経済を成長させること」を切り離さずに考えるモデルとして位置づけられています。砂漠だった土地が、雇用と所得を生む場所へと変わる過程は、持続可能な開発の一つの形と言えます。
その背景には、
- 数十年単位で取り組みを続ける長期的な視点
- 現地の人々が参加しやすい、シンプルで応用しやすい技術
- 土地の再生と産業づくりをセットで考える発想
といった要素があると考えられます。
世界の乾燥地への示唆
砂漠化や干ばつは、中国だけでなく、多くの国と地域が直面する課題です。草方格のような技術や、サジー産業のように「環境プラス経済」を目指すアプローチは、他の乾燥地域にも応用しうるヒントとして受け止められています。
2025年の世界砂漠化・干ばつと闘う日のテーマ「土地を再生し、新たな可能性を開く」は、まさにこうした取り組みを象徴しています。土地を守るだけでなく、その土地から生まれる新しい価値や暮らし方をどう設計するのか。中国で進む試みは、世界の議論にも影響を与えています。
スマホ越しに見る「遠い砂漠」と私たちの暮らし
日本で暮らしていると、砂漠化はどこか遠い話に感じられるかもしれません。しかし、気候変動や土地劣化による影響は、食料価格やサプライチェーンを通じて、私たちの日常にもつながっています。
- 環境と経済を両立させるプロジェクトをどう評価するか
- 日本やアジアの乾燥が進む地域で、どのような対策が可能か
- 私たちの消費行動が、世界の土地利用にどのような影響を与えているか
砂漠だった場所が再び緑を取り戻し、人々の仕事と暮らしを支える場所へと変わっていく。そのプロセスに注目することは、「環境か経済か」という二者択一ではなく、「どう両立させるか」を考えるための出発点になります。
2025年のいま、土地の再生をめぐる中国の動きは、世界が進むべき次の一歩を探るうえで、静かにしかし確かな問いを投げかけています。
Reference(s):
cgtn.com








