中国の新型ロケット長征6A・長征12、パリ航空ショーで国際デビュー
中国の宇宙開発を象徴する新型ロケット「長征6A」と「長征12」が、2025年6月16〜22日に開かれた2025年パリ航空ショーで初めて国際展示されました。中国の次世代ロケットが世界の専門家や業界関係者の前に姿を現したことは、国際宇宙ビジネスの流れを考えるうえで注目すべき動きです。
パリ航空ショーでの中国ロケット初展示
2025年パリ航空ショーは、毎回世界中の航空機や宇宙機器が集まる大型イベントです。今年の会期中、中国の航空宇宙技術が一堂に会する中で、次世代ロケットと位置づけられる長征6Aと長征12の模型が展示されました。
この2機種が国際的な航空ショーにそろって登場するのは初めてとされ、中国が自国の宇宙輸送能力をグローバルな場で示す象徴的なタイミングとなりました。
長征6A:高頻度・多様な衛星打ち上げを担う中型ロケット
長征6Aは、中国で初めて固体ストラップオン・ブースター(機体側面に取り付ける補助ロケット)を備えた中型ロケットです。これにより、必要に応じて推力を増強しやすくなり、多様な衛星打ち上げミッションに柔軟に対応できる設計になっています。
推進剤には、非毒性で環境に配慮したタイプが採用されています。従来のロケットで課題とされてきた有害物質の排出を抑えることで、環境負荷と安全面の両方に配慮した次世代型ロケットを目指しているといえます。
長征6Aは、今後増えると見込まれる「多頻度・多目的」の衛星打ち上げ需要に応えることを目的として設計されています。観測衛星や通信衛星、小型衛星など、さまざまな衛星を高い頻度で打ち上げる体制づくりに貢献する存在となりそうです。
長征12:3.8メートル径の単芯液体ロケット
一方の長征12は、直径3.8メートルの単一コア構成を採用した液体燃料ロケットとして紹介されています。単芯構造で大径の機体を採用することで、搭載できる衛星の数や質量を高めることが期待されます。
長征12は、とくに以下の能力向上が強調されています。
- 太陽同期軌道(SSO)への投入能力の強化
- 低軌道(LEO)における複数衛星コンステレーション(多数の衛星を組み合わせたネットワーク)の展開能力の向上
SSOは地球観測や気象観測に多用される軌道であり、LEOでのコンステレーションはインターネット通信や地球全体をカバーするサービスなどに活用されます。こうした分野での需要の高まりを踏まえ、長征12は「大量の衛星を効率よくまとめて打ち上げる」能力を強めたロケットと位置づけられます。
2機種から見える、中国の宇宙輸送戦略
長征6Aと長征12の特徴を並べてみると、共通して見えてくるキーワードは「高頻度」「多様な衛星」「環境配慮」です。
- 長征6A:中型・固体ブースター付き・環境に配慮した推進剤で、多様な衛星を高頻度で打ち上げるニーズを意識
- 長征12:大径単芯・液体燃料で、SSOやLEOコンステレーションなど大量展開型ミッションを意識
単に「より大きなロケット」を目指すのではなく、「どの軌道に、どのような衛星を、どれだけ頻繁に打ち上げるか」という具体的な需要に合わせて設計が進んでいることがうかがえます。
国際ショーへの出展が持つ意味
今回のパリ航空ショーでの展示は、中国の宇宙輸送技術を国際社会にアピールする場であると同時に、各国・各地域の企業や機関との対話のきっかけにもなります。
衛星打ち上げサービスは、通信、観測、ナビゲーションなど多くの産業の基盤となるインフラです。新型ロケットの動向は、宇宙産業に直接関わっていない読者にとっても、インターネットや位置情報サービス、災害監視といった日常生活の裏側に影響しうるテーマでもあります。
2025年のパリ航空ショーで国際デビューを果たした長征6Aと長征12は、今後の衛星打ち上げビジネスや宇宙インフラのあり方を考えるうえで、押さえておきたい中国の新しい「宇宙輸送の顔」といえるでしょう。
Reference(s):
cgtn.com








