習近平氏、中国・中央アジア精神の堅持を呼びかけ 第2回サミット詳報
カザフスタンの首都アスタナで開かれた第2回中国・中央アジアサミットで、中国の習近平国家主席は「中国・中央アジア精神」を掲げ、高品質な協力の加速と「共に未来を築く共同体」の構築を呼びかけました。中国と中央アジアの関係は、今どこまで進み、どこへ向かおうとしているのでしょうか。
第2回中国・中央アジアサミットで何が話し合われたか
習近平国家主席はサミットで、中国と中央アジア5カ国との高品質な協力をさらに前進させる必要があると強調しました。そのうえで、6カ国が共有する価値として「中国・中央アジア精神」を堅持し、中国・中央アジアの「共に未来を築く共同体」の構築を加速するよう呼びかけました。
習主席は、関税や貿易を巡る対立について「関税・貿易戦争に勝者はいない」と述べ、一方主義や保護主義は誰の利益にもならないと指摘しました。そして、人類は「弱肉強食の論理」に戻るべきではなく、「人類運命共同体」の構築を目指すべきだと訴えました。
「満開のザクロ」が象徴する協力の広がり
習主席は、第1回サミットが開かれた2023年の中国・西安を振り返り、「西安で一緒に植えた6本のザクロの木は、今では満開になっている」と述べました。ザクロの木は、中国と中央アジア6カ国のパートナーシップが「満開」を迎えつつあることの象徴として示されました。
この2年間で、具体的な成果も数字として示されています。
- 過去2年で中国と中央アジアの貿易は35%増加
- グリーンマイニング(環境への配慮を重視した資源開発)、科学技術、インフラ整備などの分野で協力が拡大
- 中国・キルギス・ウズベキスタン鉄道や、トランス・カスピ海国際輸送ルートのアップグレードなど、物流・交通の大規模プロジェクトが進行
- 中国から中央アジアへの新エネルギー車や太陽光発電関連製品の輸出が進む一方、中央アジア産の農産物が中国の家庭の食卓を豊かにしている
こうしたプロジェクトは、地域内の結びつきを強めると同時に、双方の経済構造を「高品質な発展」へと転換していくことを目指した取り組みと位置づけられています。
ビザ免除と文化交流:人の往来が加速
経済協力に加え、人と人の交流も急速に広がっています。習主席は、中国のテレビドラマや芸術祭などの文化イベントが中央アジアで人気を集めていると指摘しました。
中国とカザフスタンとの間では査証(ビザ)の相互免除が進み、2024年だけで120万人以上の往来が生まれたとされています。また、都市間の結びつきも深まり、姉妹都市の提携は100組に到達しました。中国・中央アジアの協力メカニズムの下では、閣僚級の協力プラットフォームも13に増えています。
人の移動と文化交流の積み重ねは、相互理解と信頼を支える土台として重視されていることがうかがえます。
キーワードは「中国・中央アジア精神」
今回のサミットで習主席が繰り返し強調したのが、「中国・中央アジア精神」という新しいキーワードです。中国と中央アジア5カ国は、次のような価値を共有する枠組みとして、この精神を形成したと説明されています。
- 相互尊重
- 相互信頼
- 互恵
- 相互支援
- 高品質な発展を通じた共同の近代化の追求
習主席は、この精神を6カ国の理解、発展、友好を進めるための「基本的な指針」と位置づけました。その中身として、次のような点を挙げています。
- 国の大小にかかわらず対等なパートナーとして接し、相互尊重の姿勢を貫くこと
- 重要な課題は協議を通じて解決し、コンセンサス(合意)に基づいて決定すること
- 独立、主権、領土の一体性、国家の尊厳を守る努力を互いに支持し、相手の中核的利益を損なう行動は取らないこと
- 互いを優先的なパートナーと見なし、利益を分かち合う共生・互恵の関係を築くこと
- 困難なときには助け合い、リスクに共に向き合い、地域の平和と安定を守ること
習主席は、「中国・中央アジア精神」は世代を超えて友情と協力を受け継ぐための重要な指針であり、これを堅持し、「永遠に輝かせていくべきだ」と語りました。
習近平国家主席の「5つの提案」
サミットで習主席は、中国と中央アジア5カ国との関係を政治、経済、安全保障、人と人の交流、国際ガバナンスの各分野で一段と深めるため、「5つの提案」を打ち出しました。
1.団結と相互支持を軸にした関係
第一の提案は、6カ国の「団結」という基本目標を堅持し、常に互いを信頼し支え合うことです。習主席は、中国が一貫して中央アジアを外交の優先分野と位置づけてきたとしたうえで、「親・誠・恵・容」(友好的で誠実、互恵的で包摂的)という原則に基づく善隣友好を続けると表明しました。
2.実務協力の高度化と「高品質な協力の年」
第二に、協力の枠組みを最適化し、より成果重視で効率的かつ深く統合されたものにしていく必要性が示されました。習主席は、2025年と2026年を「中国・中央アジア協力の高品質発展の年」と定め、次の分野での連携強化を提案しました。
- 円滑な貿易
- 産業投資
- 交通・物流などのコネクティビティ(つながり)の向上
- グリーンマイニング
- 農業の近代化
- 人と人の交流
こうした目標を支えるため、中国は次の措置を取ると表明しました。
- 貧困削減、教育交流、砂漠化防止・抑制の3分野で協力センターを設立
- 貿易の円滑化に関する協力プラットフォームを新設
- 中央アジア諸国の優先課題とする民生・開発プロジェクト向けに、本年中に15億元(約2億800万ドル)の無償援助を実施
- 今後2年間で3,000人分の研修機会を提供
3.安全保障枠組みの構築とテロ対策
第三に、平和と安定、団結を支える安全保障の枠組みづくりが掲げられました。習主席は、地域の安全保障ガバナンスを強化し、テロリズム、分離主義、過激主義と共に闘う必要があると強調しました。
中国は、中央アジア諸国の国防力や法執行能力の近代化を支援し、「スマート技術を活用した安全な都市づくり」を目指す「セーフシティ」プロジェクトを拡大するとしています。また、合同演習や共同訓練を増やす方針も示しました。さらに、近隣国であるアフガニスタンへの協調した支援を通じ、同国が一日も早く平和と発展を実現できるよう後押しする必要性も強調しました。
4.人と人をつなぐ交流の強化
第四の提案は、人と人とのつながりを一段と深めることです。習主席は、「共通のビジョン、相互理解、相互の親近感という絆を強めるべきだ」と述べました。
具体的には、次のような交流拡大が示されました。
- 立法機関(議会に相当する機関)、政党、メディア、女性、若者、シンクタンク間の交流を拡大
- 中央アジアにおける文化センターや大学分校、「魯班工坊」(職業教育拠点)を増設
- 言語学習や技術研修の機会を広げる
- 地方自治体間の協力を深め、旅行の利便性を高める取り組みを進める
5.公平な国際秩序と多極化の推進
第五に、習主席は「公正な国際秩序」を守り、より平等で秩序ある世界構造を推進していく必要があると強調しました。中国は、中央アジア諸国が国際舞台でより大きな役割を果たすことを支持するとともに、覇権主義や強権政治には反対する立場を示しました。
そのうえで、より平等で秩序ある多極的な世界と、すべての国に利益をもたらす包摂的な経済のグローバル化を進めるべきだと述べました。2025年は「世界反ファシズム戦争勝利」と「国際連合創設」から80周年にあたる節目の年でもあり、習主席は歴史的事実と戦後の国際秩序を守る必要性を強調しました。そして、「世界の平和と発展に、より大きな安定性と確実性をもたらすべきだ」と呼びかけました。
中国と中央アジアの関係はどこへ向かうのか
習主席は、中国が「社会主義現代化強国」の建設と「中華民族の偉大な復興」を中国式現代化を通じて推し進めていると述べました。そのうえで、国際情勢がどう変化しようとも、対外開放の姿勢を揺るがせることなく、中央アジア諸国とのより高品質な協力を進め、利益の融合を深め、共通の発展を実現していくと表明しました。
貿易、インフラ、安全保障、文化交流といった複数のレイヤーが重なり合う今回のメッセージは、中国と中央アジアの関係が長期的・包括的な枠組みへと進化しつつあることを示しています。日本にとっても、こうした地域協力が今後の経済連携や安全保障環境にどのような影響を与えるのか、丁寧に見ていくことが求められそうです。
押さえておきたい3つのポイント
- 第1回サミットからの2年間で、中国と中央アジアの貿易は35%増加し、グリーンマイニングやインフラ、技術分野での協力が拡大しているとされています。
- ビザ免除、文化交流、姉妹都市提携の拡大により、人の往来と相互理解が急速に深まっています。
- 経済協力だけでなく、安全保障や国際秩序づくりまでを視野に入れた包括的な「中国・中央アジア精神」が、新たなキーワードとして位置づけられています。
Reference(s):
Xi Jinping calls for upholding the China-Central Asia Spirit
cgtn.com








