習近平氏アスタナ訪問で中国・中央アジア協力が新段階に
中国の習近平国家主席が2025年、カザフスタンの首都アスタナで開かれた第2回中国・中央アジアサミットに出席しました。中国と中央アジア5カ国の首脳は「中国・中央アジア精神」を掲げ、2025~26年を協力の高品質発展の年と位置付けるなど、関係を新たな段階へと引き上げる青写真を示しました。
会議の成果について、中国共産党中央政治局委員で外交部長の王毅氏が記者団に説明し、100項目を超える協力合意が得られたと強調しました。本記事では、そのポイントを日本語で整理し、今後の地域情勢を見るうえでの手がかりを考えます。
アスタナで「伝統的友情」を再確認
王毅氏によると、今回のアスタナ訪問は、中国と中央アジア諸国の「伝統的友情」を改めて確認し、今後の協力の進むべき方向を共に描く機会となりました。中国と中央アジア5カ国の首脳は、政治・経済・社会など幅広い分野で協力計画を協議し、100件を超える具体的な成果をまとめました。
王毅氏は、2023年に中国・西安で開かれた第1回サミットから、今回の第2回サミットへと場を移したことに触れ、中国・中央アジア協力が継続性を持ち、着実に強化されていると評価しました。
キーワードは「中国・中央アジア精神」
今回のサミットで最も象徴的だったのが、習近平氏が提唱した「中国・中央アジア精神」です。王毅氏は、この精神が今後の協力を方向付ける理念だと位置付け、その中身を次の4点に整理しています。
- 互いを尊重し、対等に接すること
- 相互信頼を深め、互いに支え合うこと
- 互恵・ウィンウィンの協力を追求し、ともに発展を図ること
- 困難な時に助け合い、苦楽を共にすること
中央アジア5カ国の首脳は、この精神を共に支持し、中国・中央アジア協力の「結束力と指針」になるとの認識を共有したといいます。王毅氏は、世界で「百年に一度」とされる構造変化とリスクが重なる中で、この精神に基づき、平和と発展、進歩と公正を共に守っていく考えを強調しました。
2025~26年は協力の「高品質発展の年」
王毅氏は、中国と中央アジアの5カ国はいずれも発展途上国であり、近代化の道を共に歩むパートナーだと説明しました。そのうえで、6カ国の首脳が共同で、2025年と2026年を「中国・中央アジア協力の高品質発展の年」と位置付けたことを、サミットの最も際立ったテーマだとしています。
この期間、協力は次の6分野に重点を置く方針です。
- 貿易を円滑にし、モノとサービスの流れを改善する「スムーズトレード」
- 産業分野への投資拡大
- 交通や物流を含む「コネクティビティ(接続性)」の強化
- 環境に配慮した鉱業(グリーンマイニング)の推進
- 農業の近代化
- 人的交流の活性化
協力の成果をより具体的で実務的なものにすることで、各国の発展戦略とすり合わせながら、地域全体の成長を後押しする狙いがあります。
一帯一路の行動計画と3つの協力センター
サミットでは、習近平氏と中央アジア5カ国の首脳が「一帯一路(ベルト・アンド・ロード)」の高品質な協力に関する行動計画に立ち会いました。中国が近隣地域の全ての国と、地域全体として一括の一帯一路協力文書を締結するのは初めてだとされ、協力の枠組みがより体系的になったことがうかがえます。
王毅氏は、中国が中央アジア諸国にとって最も重要な貿易・投資パートナーの一つであるとしたうえで、関税戦争や貿易戦争に勝者はおらず、一方的な行動や保護主義では行き詰まるという点で、各国の認識が一致したと説明しました。
さらに、中央アジア側の「再活性化と自立的発展能力の強化」への強い期待に応えるため、中国側は中国・中央アジア協力の枠組みの下で、次の3つの協力センターの設立を提案しました。
- 貧困削減に関する協力センター
- 教育交流に関する協力センター
- 砂漠化防止・抑制に関する協力センター
中国は、今後2年間で中央アジア諸国に対し3,000人分の研修機会を提供することも表明し、人材育成や経験共有を通じた支援を打ち出しました。
文化交流と「永遠の善隣友好」
サミットでのもう一つの大きな一歩が、6カ国の首脳による「永遠の善隣友好・友情・協力に関する条約」への署名です。この条約は、互いの善隣友好を長期的に維持するという原則を法的な形で明確にしたもので、中国と中央アジア諸国の政治的信頼が新たな水準に達したことの表れだと王毅氏は述べています。
また、地方政府どうしの連携や人的交流、教育、文化・観光分野でも、新たな協力の枠組みやプロジェクトが合意されました。首脳たちは多数の友好都市(姉妹都市)協定の署名に立ち会い、中国と中央アジア5カ国の間の友好都市の組み合わせは合計100組を超えました。これは、習近平氏が3年前に掲げた目標が達成されたことを意味します。
日本の読者にとっての意味
中国と中央アジアの連携強化は、ユーラシア大陸の内陸部を縦横に結ぶインフラや貿易ルートの整備を通じて、広く国際社会にも影響を与える可能性があります。エネルギー資源や鉱物資源、農産物などの供給ルートが安定すれば、世界のサプライチェーンや価格動向にも波及するからです。
同時に、関税や貿易をめぐる対立を避け、相互に利益をもたらす形で協力を進めるというメッセージは、世界的な保護主義の動きが注目されるなかで、一つの選択肢を示しています。日本の読者にとっても、中国と中央アジアの関係がどのように発展していくのかを追うことは、今後の国際情勢や経済環境を考えるうえで、重要な手がかりとなりそうです。
Reference(s):
FM: Xi's Astana trip renews friendship, charts course for development
cgtn.com








