中国・Qinghai-Xizang高原の草地が巨大な炭素シンクに 新研究が仕組み解明
中国西部のQinghai-Xizang Plateauの高山草原が、地球温暖化を抑える「炭素シンク」としてどのように機能しているのか。その鍵となる仕組みを明らかにした研究が2025年、国際誌に掲載されました。生態系の「見えない働き」を解き明かすことで、地域の生態安全保障を支える科学的な土台づくりが進んでいます。
中国西部の高原が担う「炭素シンク」
今回明らかになったのは、Qinghai-Xizang Plateauの高山生態系が重要な炭素シンク(大気中の二酸化炭素を吸収・貯蔵する場所)として機能しているという点です。この高原の草地は、季節ごとや年ごとに変化しながら二酸化炭素を取り込み、その吸収力が気候要因によって調節されているとされています。
研究を率いたのは、中国科学院傘下のNorthwest Institute of Plateau Biology(NWIPB)の研究チームです。NWIPBは高原生態系の研究を専門とする機関で、今回の成果は同分野の専門誌Agricultural and Forest Meteorologyに掲載されました。
今回の研究はどこが新しいのか
高山草原が炭素シンクとして重要だという今回の指摘に対し、研究チームは、その吸収量がどのような仕組みで変動しているのかに焦点を当てました。単に「どれだけ吸収しているか」ではなく、「なぜその量になるのか」を説明しようとした点に意義があります。
論文によると、Qinghai-Xizang Plateauの高山草原では、炭素の「同化能力」(植物が光合成によって二酸化炭素を取り込む力)が、季節的および年々の変化とともに大きく揺れ動きます。そして、その揺らぎを左右しているのが気候要因だと結論づけています。
気候要因が左右する草地の炭素吸収
研究チームは、気候が高山草原の炭素吸収をどのように調節しているかを詳しく解析しました。詳しい数値や手法は論文に譲りますが、少なくとも次のような点が鍵になっているとされています。
- 季節ごとの気候条件の違いが、草地の炭素同化能力にどのような影響を与えるか
- 年ごとの気候の変動が、長期的な炭素吸収量の増減にどう関わるか
- こうした変動を理解することで、この地域全体の炭素循環メカニズムをより正確に把握できること
NWIPBの研究者He Fuquan氏は、「この地域の炭素循環メカニズムをよりよく理解することが重要だ」と述べ、Qinghai-Xizang Plateauの高山草原が気候変動研究にとって重要なフィールドであることを強調しています。
「生態安全保障」への科学的な裏づけ
今回の研究は、単に炭素の出入りを測るだけでなく、「生態安全保障」の観点からも意味を持つとされています。生態安全保障とは、気候や水、土壌、植生といった自然環境が、社会や経済活動を安定して支える状態を維持することを指す考え方です。
高山草原が安定して炭素を吸収し続けることは、地球温暖化の緩和だけでなく、地域の水資源や生物多様性の保全にも関わると考えられます。Qinghai-Xizang Plateauの草地がどのように炭素を蓄え、どのような条件でその機能が変化するのかを理解することは、長期的な生態系の安定を守るうえで重要な一歩です。
2025年の気候危機と高山研究の意味
2025年現在、気候変動は世界各地で極端な気象現象や生態系の変化として現れています。そのなかで、都市や沿岸部だけでなく、高山や草地といった遠く離れた場所の生態系が果たす役割にも注目が集まっています。
今回のように、中国西部の高原地域で明らかになった炭素シンクのメカニズムは、アジア全体の気候や環境政策を考えるうえでも参考になる知見です。国境を越えて広がる気候問題に対して、地域ごとの生態系研究を積み重ねていくことが、より現実的な対策につながっていきます。
このニュースから考えたい3つのポイント
最後に、newstomo.comの読者として押さえておきたい視点を3つにまとめます。
- 気候変動対策は、都市や工業だけでなく、高山草原など多様な生態系の役割を踏まえる必要があること
- 地域ごとの生態系研究が、「生態安全保障」という広い意味での安全保障政策の基盤になりうること
- アジア各地で進む環境研究を、日本語で継続的にフォローすることで、自分の視点や議論の材料をアップデートできること
遠くの高原で進む基礎研究も、私たちの日常と無関係ではありません。こうした国際ニュースに目を向けることが、気候危機の時代をどう生きるかを考えるヒントになりそうです。
Reference(s):
Study finds grassland carbon sink mechanism in Qinghai-Xizang Plateau
cgtn.com








