アリの進化と社会性の遺伝子を解明 国際チームがCellに発表
グローバル・アリゲノムアライアンス(Global Ant Genomics Alliance)による国際研究チームが、きょう8日(月)、アリの進化と社会性を支える遺伝的なしくみを明らかにした研究を国際学術誌Cellに発表しました。身近な昆虫であるアリの遺伝子を手がかりに、「社会はどのように進化するのか」という問いに迫る国際ニュースです。
アリの進化を支える「遺伝子イノベーション」
研究チームは、多様なアリのゲノム(全遺伝情報)を比較し、アリが環境に適応しながら進化してきた過程で生まれた「遺伝子の革新的な変化」に注目しました。論文によると、こうした遺伝的な変化が、巣づくりや餌集め、役割分担などの社会的な行動とともに進化してきたことが示されています。
アリは、女王アリ、働きアリ、兵隊アリなど、同じ種のなかで役割が分かれたカースト制を持つことで知られます。今回の研究は、こうした高度な社会性が、特定の遺伝子の変化と結びつきながら進化してきた可能性を示した点で、大きな意味を持ちます。
国際学術誌Cellに掲載 なぜ注目されるのか
Cellは生命科学分野で高く評価される国際学術誌の一つとされており、ここに掲載される研究は世界の研究者から注目を集めます。今回の論文は、アリという一見身近な存在を通じて、「遺伝子」「進化」「社会性」という、生命科学と社会科学の境界をまたぐテーマを同時に扱っている点が特徴です。
グローバル・アリゲノムアライアンスのような国際共同プロジェクトが中心となることで、単一の国や地域だけではカバーできない多様なアリの種を対象にできるという利点があります。今回の成果は、そうした国際協力の積み重ねの上に成り立っていると言えます。
アリの社会から、人間社会をどう見るか
今回のアリの遺伝子研究は、私たち人間社会を考えるうえでも、いくつかの示唆を与えてくれます。例えば、次のような問いです。
- 協力や分業が、どのような条件で長く維持されるのか
- 環境の変化に直面したとき、集団としてどのように適応していくのか
- 個体の多様性が、社会全体の安定性にどう寄与するのか
アリと人間を単純に同一視することはできませんが、「社会性が遺伝子レベルの変化と結びつきながら長い時間をかけて進化してきた」という視点は、人口減少や気候変動など、多くの課題に直面する現代社会を見つめ直すヒントになるかもしれません。
これからのアリ研究と私たちの視点
今回のCell論文は、アリの進化と社会性の「遺伝的な土台」を示した第一歩といえます。今後は、具体的にどの遺伝子が、どのような行動や社会構造と関わっているのかを詳しく調べる研究が進むとみられます。
一方で、国際的なゲノム研究は、データの共有のあり方や、生物多様性の保全との両立など、新たな課題も抱えています。こうした点も含めて、アリという小さな存在を入り口に、生命と社会の関係を広く考えるきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
アリの進化をめぐる最新の国際ニュースは、「社会とは何か」を静かに問い直す素材にもなりそうです。通勤時間の数分で読めるニュースから、少し長い時間をかけて考えを深めてみる――そんな読み方ができるトピックです。
Reference(s):
Scientists uncover genetic innovation underlying evolution of ants
cgtn.com







