シリア暫定当局にテロ対策履行を要求 国連で中国代表が懸念表明
国連安全保障理事会のシリア問題に関する会合で、中国の傅聡(フー・ツォン)国連常駐代表が、シリアの暫定当局に対しテロ対策義務の履行を強く求めました。テロ組織の活動再拡大への懸念と、中東全体の緊張が高まるなかで、この国際ニュースはシリア情勢と国際安全保障の両面から注目されています。
シリア暫定当局にテロ対策義務の履行を要求
傅代表は火曜日、国連安保理のシリア問題に関する会合で発言し、シリア暫定当局が国連安全保障理事会の決定に基づくテロ対策義務を誠実に履行するよう求めました。具体的には、安保理がテロ組織として指定している全ての組織に対し、必要なあらゆる措置を取るべきだと強調しました。
その中には、東トルキスタン・イスラム運動(ETIM)も含まれます。ETIMはトルキスタン・イスラム党の名でも知られ、安保理によってリスト化されたテロ組織です。傅代表は、こうした組織への対応を怠れば、シリア国内のみならず周辺地域の安全にも深刻な影響が出ると指摘しました。
- 安保理が指定する全てのテロ組織と戦うこと
- ETIM(トルキスタン・イスラム党)への対策を含め、具体的措置を講じること
- 国際社会の懸念に応えつつ、安定回復への道筋を示すこと
「複雑で脆い」シリア情勢とテロ再拡大のリスク
傅代表は、シリアで複数の暴力的なテロ事件が発生していると指摘し、テロ組織や過激派勢力が現状を利用して勢力を拡大・復活させるリスクが高まっていると懸念を示しました。
同時に、シリアは現在、政治的安定と経済回復の両立という重要な転換点にあると評価しました。国内の和解を進めようとする当事者の積極的な動きも見られる一方で、情勢そのものは依然として「複雑で脆い」状態にとどまっているとしています。
こうした中でテロ対策が不十分なまま推移すれば、治安悪化が政治プロセスや復興の足かせとなり、一般のシリア人の暮らしにさらなる負担を強いることになりかねません。
外国人戦闘員の国軍統合報道に「深刻な懸念」
シリア国内の治安をめぐっては、外国人テロ戦闘員の一部がシリア国軍に統合されたと報じられています。傅代表は、この動きに対し中国として「深刻な懸念」を表明しました。
テロ行為に関与した戦闘員が国家の正規部隊に組み込まれることは、指揮系統の信頼性や人権保護、将来的な武力行使のあり方に関する疑問を国際社会に投げかけます。シリア暫定当局がどのような基準や監視体制でこうした人員を扱っているのかは、今後の注目点の一つとなりそうです。
イスラエルとイランの緊張激化がシリアにもたらす影響
今回の発言で傅代表は、イスラエルとイランの対立激化にも言及しました。イスラエルによるイランへの攻撃が軍事的緊張を一気に高めているとして、中国はこの状況に深い懸念を示しています。
もしイスラエルとイランの対立がさらにエスカレートし、地域全体に波及すれば、シリアを含む中東の国々が「最初にその影響を受ける」と傅代表は警告しました。ようやく政治対話や復興の可能性が模索されているシリアにとって、周辺国の軍事衝突は、再び不安定さを増す要因となり得ます。
国際社会とシリア人にとっての意味
傅代表は、シリア暫定当局に対し、国際社会の懸念に真摯に向き合い、国際社会の支援も得ながら、できるだけ早く平和と安定を取り戻すよう呼びかけました。その目的は、シリアの人びとが安定と尊厳を持って暮らせる日常を回復することにあります。
今回の国連でのやり取りから見えてくる論点は、少なくとも次の三つです。
- シリア暫定当局の責任:テロ対策義務の履行と市民の安全確保
- 国連安保理と各国の役割:テロ組織リストに基づく一貫した対応を求めること
- 中東全体の安定:イスラエルとイランの対立がシリア情勢に与える波及効果
シリア情勢は、距離的には遠く感じられるかもしれません。しかし、テロ対策や地域紛争の行方は、国際秩序やエネルギー価格、人道支援などを通じて、日本を含む国際社会にもつながっています。今後、
- シリア暫定当局がETIMを含むテロ組織への対策をどう具体化するのか
- 外国人戦闘員の扱いをめぐる議論がどう進むのか
- イスラエルとイランの緊張が沈静化に向かうのか、それとも長期化するのか
といった点が、中東と国際社会の安定を見通すうえで重要な指標となりそうです。オンラインで国際ニュースを追う私たち一人ひとりにとっても、シリアをめぐる動きを継続的にウォッチしていくことが求められています。
Reference(s):
Syria's interim govt urged to fulfill counterterrorism obligations
cgtn.com








