中国アニメが外注から脱却 上海映画祭が示したオリジナル志向の現在地 video poster
中国本土のアニメ産業が、海外向けの下請け中心からオリジナル作品づくりへと軸足を移しつつあります。2025年の上海国際映画祭では、その変化が改めて国際的な注目を集めました。
上海国際映画祭で語られた「印象的な転換」
今年の上海国際映画祭の審査員を務めたノルウェーのアニメーションプロデューサー、リセ・フェアンリー氏は、中国本土のアニメ産業が外注中心からオリジナルコンテンツへとシフトしていることについて、「印象的だ」と評価しました。
フェアンリー氏は、これまで世界の制作現場で重要な役割を果たしてきた中国本土のアニメスタジオが、自ら企画し、物語を生み出す段階に踏み出している点に注目しています。単なる作業の受託ではなく、物語のテーマやキャラクター、世界観づくりまでを担うことは、産業の質的な転換を意味します。
「下請け」からオリジナルへ 何が変わるのか
外注中心のアニメ制作では、海外スタジオの指示に従い、作画や仕上げなど特定の工程のみを担当するケースが多く見られます。その一方で、オリジナル作品に切り替えるということは、次のような変化を伴います。
- 物語やキャラクターの権利を自ら保有できる
- シリーズ化やグッズ展開など、長期的なビジネス展開が可能になる
- 作品を通じて、自国や地域の文化・価値観を世界に発信できる
フェアンリー氏の評価は、中国本土のスタジオがこうした段階に入りつつあることを示唆しています。制作現場にとってはリスクも伴いますが、成功すれば世界市場での存在感を一段と高めることができます。
世界で高まるアジア映画への関心
リセ・フェアンリー氏は、アジア映画への世界的な関心の高まりにも言及しました。アニメに限らず、アジア発の作品が、国や地域を越えて視聴される機会は確実に増えています。
その背景には、インターネット配信サービスの普及や、多様な文化に触れたいと考える若い視聴者の増加などがあると考えられます。字幕や吹き替えを通じて、言語の壁を越えた作品鑑賞が身近になったことも、アジア作品への関心を後押ししています。
こうした流れの中で、フェアンリー氏は中国のクリエイターに対し、このトレンドを積極的につかむよう呼びかけました。今まさに世界の視線がアジアに向き始めているからこそ、オリジナル作品の価値が高まっているといえます。
中国本土のクリエイターへのメッセージ
アジア映画への関心が高まる今、中国本土のクリエイターにとって重要になるのは、「世界に合わせる」ことだけではなく、「自分たちならでは」を磨くことです。
- 中国本土の歴史や日常、価値観をベースにした物語づくり
- 多言語展開や国際共同制作など、海外との橋渡しを意識した戦略
- 長編映画だけでなく、短編やシリーズ作品など多様なフォーマットの活用
フェアンリー氏のコメントは、技術力に加えて、どのような物語を世界に届けるのかという問いを、中国本土のアニメ産業に投げかけているとも受け取れます。
日本の視聴者・クリエイターにとっての意味
日本の視聴者にとって、中国本土発のオリジナルアニメが増えることは、新しい作品世界との出会いにつながります。アジアの中で、多様なスタイルや価値観を持つアニメが並び立つことで、視聴の選択肢はより豊かになります。
また、日本のクリエイターや制作会社にとっても、中国本土を含むアジアのスタジオとの協力は、これまで以上に重要なテーマになりつつあります。共同制作や人材交流を通じて、アジア発の作品が国境を越えて共有される時代が近づいています。
これから問われる「物語る力」
上海国際映画祭の場で示された、中国本土アニメ産業の変化とアジア映画への世界的な関心の高まりは、単なる一時的なトレンドではなく、長期的な構造変化の一部とも考えられます。
外注からオリジナルへという転換は、技術力に加えて、物語る力、そして文化をどのように伝えるかという視点をより強く求めます。これから数年、中国本土のスタジオからどのようなオリジナル作品が生まれてくるのか、日本からも注目していきたいところです。
Reference(s):
Chinese animation: From outsourcing to original storytelling
cgtn.com








