第2回中国・中央アジアサミットの成果とは?地域協力と国際秩序への影響
カザフスタンの首都アスタナで開かれた第2回中国・中央アジアサミットが閉幕し、安全保障や貿易、科学技術、文化交流、地域開発まで幅広い分野で協力を進めることで合意しました。110項目におよぶ成果文書には、条約や宣言に加え、貧困削減や教育、砂漠化対策などの実務的な協力プラットフォームの設立も含まれています。
中国のメディアCGTNは、遼寧大学ロシア・東欧・中央アジア諸国研究センター所長の崔征(Cui Zheng)氏にインタビューを行い、このサミットの成果が中国と中央アジア、さらに世界の国際協力にとってどのような意味を持つのかを聞きました。本稿では、その主なポイントを日本語で整理します。
110の成果と新たな協力センター
今回のサミットでは、恒久的な善隣友好協力のあり方を示す「恒久的な善隣友好協力条約」や「アスタナ宣言」などの重要文書が採択されました。さらに、次のような協力の枠組みが新たに立ち上げられます。
- 中国・中央アジア貧困削減協力センター
- 中国・中央アジア教育交流協力センター
- 中国・中央アジア砂漠化対策協力センター
- 中国・中央アジア円滑貿易協力プラットフォーム
これらの枠組みにより、安全保障・貿易・科学技術・文化交流・地域開発などでの連携を制度化し、持続的な協力の土台をつくる狙いがあるとみられます。
高品質な地域協力をどう後押しするのか
崔氏によると、第1回サミット以降、中国と中央アジア諸国のあいだでは貿易やインフラ連結性の分野で着実な進展があり、相互補完的で「ウィンウィン」のパートナーシップが深まってきました。中国が掲げる一帯一路(Belt and Road)に基づく協力も成果を上げており、中国・中央アジア双方が「共同の未来を分かち合う地域共同体」づくりを加速させていると指摘します。
習近平国家主席はサミットでの演説で、中国と中央アジアの協力に関して次のような方向性を示しました。
- 団結という根本目標を堅持し、常に互いを信頼し支え合うこと
- 協力の枠組みを最適化し、成果重視で効率的かつ深く統合された仕組みにすること
- 平和と安定、連帯を支える安全保障の枠組みを発展させること
- 人々のあいだの共通のビジョン、相互理解、情緒的なつながりを強めること
- 公正で衡平な国際秩序と、より平等で秩序ある世界構造を守ること
これらの優先課題は、中国が打ち出している三つのグローバル・イニシアチブ――グローバル開発イニシアチブ、グローバル安全保障イニシアチブ、グローバル文明イニシアチブ――と軌を一にするものだと崔氏は述べ、中国が揺らぎの増す世界のなかで、公平さと責任ある姿勢を重視していることの表れだと評価しました。
サミットでは、「2025〜2026年中国・中央アジア高品質協力イヤーズ」の目標を実行に移すため、次のような課題に取り組む必要があると指摘されています。
- インフラや物流の「つながり」を強化し、貿易を円滑にする
- 協調した産業発展を通じて産業構造を高度化する
- 技術革新を共有し、技術のギャップを埋める
- 相互学習を通じて、自律的な発展能力を高める
こうした取り組みを積み重ねることで、中国と中央アジアは衝撃に強く、将来志向の地域共同体をさらに固めていくことが期待されています。
世界の国際協力にどんな示唆を与えるのか
崔氏は、第2回中国・中央アジアサミットが地域の枠を越えて、世界全体の協力のあり方に三つの重要な示唆を与えていると分析します。
1. 脱グローバル化へのカウンターモデル
第一に、このサミットは「脱グローバル化」の流れに逆行する新たな勢いを生み出したといいます。「アメリカ・ファースト」といったスローガンのもとで、一方的な関税や保護主義が広がり、世界貿易のルールや国際経済秩序が揺らいできました。崔氏は、習近平国家主席が強調してきたように、公平と正義、互恵とウィンウィンの協力を重んじてこそ、持続的な平和と共通の発展が実現できると指摘します。
貿易戦争や一方主義は誰の利益にもならず、そのなかで共通の理念に基づく中国・中央アジアのパートナーシップは、多角的な貿易体制と世界経済の安定を支える重要な支柱になりうるとみています。
2. グリーントランスフォーメーションを加速
第二に、世界的なグリーントランスフォーメーション(環境に配慮した経済・社会への転換)を後押しする側面です。中国は水素エネルギー、再生可能エネルギー、電気自動車のサプライチェーンなど、グリーン開発の分野で世界をリードしているとされています。一方、中央アジア諸国は伝統的に化石燃料資源が豊富ですが、新エネルギーや持続可能な発展に関する協力へのニーズが高まっています。
今回のサミットで打ち出された新たなグリーン協力のビジョンは、2022年の第1回サミットで掲げられた「グリーン・イノベーション」重視の流れを受け継ぐものであり、人と自然が調和して共生する「生命共同体」を築こうとする双方の姿勢を示すものだと崔氏は見ています。
3. 多極化と安全保障で「共有の知恵」を提示
第三に、より平等で秩序ある多極的な世界の構築と、グローバル・ガバナンス(国際的なルールづくり)に向けた「共有の知恵」を提示している点です。ロシアとウクライナの衝突やガザでの暴力の再燃など、世界の安全保障環境は一段と不安定になっています。こうした中で、中国は「責任ある大国」として中央アジアを「共同の未来を築くうえでの優先的なパートナー」と位置づけていると崔氏は述べます。
中国は中央アジア諸国による国防や法執行能力の近代化を全面的に支持し、テロ対策、サイバー安全保障、生物安全、平和維持活動などの分野で協力する用意があるとしています。具体的には、安全な都市づくりをめざすプロジェクトや、共同訓練プログラムなどが想定されています。
これからの中国・中央アジア関係をどう捉えるか
第2回中国・中央アジアサミットは、安全保障、貿易、科学技術、文化交流、地域開発といった幅広い分野で協力を進めるという大枠の合意を確認し、110項目の具体的な成果を打ち出しました。
今後数年にかけて、特に次のような動きに注目が集まりそうです。
- インフラ整備や物流ネットワークの強化による貿易の拡大
- 教育や人材交流、文化イベントを通じた人と人とのつながりの深化
- 砂漠化対策や新エネルギー開発など、気候変動と環境への共同対応
- テロ対策やサイバー安全保障など、安全保障分野での連携強化
中国・中央アジアの枠組みは、地理的にはユーラシアの一角にとどまるものの、脱グローバル化や安全保障リスクの高まりに直面する世界にとって、一つの「協力モデル」としての意味を持ち始めています。アジアの動向や国際秩序の行方を読み解くうえで、この地域で進む新しいタイプの協力がどのように展開していくのかを継続的に見ていく必要がありそうです。
Reference(s):
Q&A: Expert on key outcomes of 2nd China-Central Asia Summit (Part II)
cgtn.com








