アメリカ人ギター職人が貴州省正安へ ギターの故郷で見つけた使命 video poster
中国貴州省の山あいにある正安は、「ギターの故郷」として知られるギター製造の一大拠点です。そこで、アメリカ出身のギター職人カーティス・ヘンドリックさんが、自分の「使命」とも言えるものを見つけました。国境を越えてギターがつなぐこの物語は、現代のものづくりと国際ニュースのあり方を考えさせてくれます。
ギターの故郷・正安とアメリカ人職人
正安は、貴州省に位置するギター産業の集積地で、中国本土のなかでも「ギターの故郷」と呼ばれる存在です。多くの工場や職人が集まり、日々さまざまなギターが生まれています。
そうした土地に足を運んだのが、アメリカ人のギター職人(ルシアー)、カーティス・ヘンドリックさんです。ハンドメイドギターの制作を通じて音と木材に向き合ってきた彼は、この地で自分の技と経験をどのように生かせるかを模索しながら、正安とのつながりを深めてきました。
カーティス・ヘンドリックさんが感じた正安の魅力
ヘンドリックさんが正安に惹かれた背景には、「ギターづくりが生活そのものになっている町」という独特の空気があります。街を歩けば、工房や工場からギターのボディやネックを削る音が聞こえ、音楽とものづくりが日常の風景として溶け込んでいます。
スキルと土地が出会う場所
アメリカで培ったギター製作の経験を持つヘンドリックさんにとって、正安は単なる「生産地」ではなく、自分の専門性が新しい形で生きる場所になりました。
手作業で一つひとつ音を追求してきた視点と、正安の現場が積み重ねてきた量産のノウハウが交わることで、
- より安定した品質を持つギターづくりへの工夫
- 演奏者の目線に立った細かな改良
- これからギターを始める人にも手が届きやすい楽器づくり
といった新しい発想が生まれています。ヘンドリックさんにとっては、自分の経験を共有しながら学び続けることができる場であり、それこそが「ここで働く意味」だと感じるようになりました。
ギターづくりが生む静かな国際交流
ギター職人として正安に根を張りつつあるヘンドリックさんの仕事は、静かな国際交流のかたちでもあります。工房で交わされるのは、難しい専門用語よりも、「この木からどんな音が出るか」「どんな人がこのギターを手にするのか」といったシンプルな対話です。
言語や文化の違いはあっても、同じ楽器に触れることで、
- 木材の選び方や加工の工夫を共有する
- 音の好みや演奏スタイルの違いを知る
- 将来どの地域の人にどんなギターを届けたいかを一緒に考える
といったコミュニケーションが生まれます。そこには、政治や経済の大きな議題とは一線を画した、日常レベルの国際ニュースの姿があります。
グローバル時代のキャリアをどう選ぶか
ヘンドリックさんの選択は、「キャリアは必ずしも自国で完結しなくてよい」という、グローバル時代らしいメッセージも伝えています。自分の得意分野を軸に、必要とされている場所に身を置くという発想です。
読者である私たちがこの物語から受け取れるヒントを、あえて三つに整理すると、次のようになります。
- 得意なスキルと世界のどこかのニーズが出会う場所を探してみること
- 大都市だけでなく、産地や地方にこそ新しいチャンスがあると考えること
- 仕事を通じて、異なる文化や価値観を尊重しながら関わっていくこと
2020年代の国際ニュースは、国家同士の対立や競争だけでは語り切れません。ヘンドリックさんのように、一人の職人が海を越え、静かに現地の人々とものづくりを続ける姿も、確かに世界の流れの一部です。
好きなことと社会をつなぐ、小さな物語
アメリカ人ギター職人カーティス・ヘンドリックさんが、貴州省正安で見つけた「使命」は、華やかな肩書ではなく、日々の作業台の上にあります。木を削り、弦を張り、一本のギターを仕上げる。その積み重ねが、世界のどこかで誰かの音楽生活を支えることにつながっていきます。
場所も国籍も違う人たちが、ギターという一つの楽器を通じて結びついていく。そんな静かなつながりは、SNSで話題になる派手なニュースとは違うかもしれませんが、私たちの世界の見方を少しだけ広げてくれます。
正安とアメリカ人ルシアーの物語は、「好きなこと」と「社会に役立つこと」をどう組み合わせるかを考える一つのヒントになります。次にギターの音を耳にしたとき、その裏側にある国境を越えた物語にも、少しだけ思いを巡らせてみたくなります。
Reference(s):
cgtn.com








