フー・ジェンチー監督が語る「映画という普遍言語」とは video poster
フー・ジェンチー監督が語る「映画という普遍言語」
映画はなぜ、言葉も文化も異なる国や地域の人の心を動かせるのか――。中国の映画監督フー・ジェンチーは、その答えを「人間性」に見いだしています。本記事では、インタビューで語られた言葉を手がかりに、「映画という普遍言語」について考えます。
国境を越えて響くのは、人間の感情
フー監督によれば、アジアからアフリカ、ヨーロッパ、南米に至るまで、観客の心を結びつけるのは、文化や経済よりもまず「人間そのもの」だといいます。家族への思い、孤独、希望といった感情は、どの大陸でも共通だからです。
だからこそ、国際ニュースとして報じられるような社会の違いがあっても、スクリーンの前では同じ場面に笑い、涙することができます。フー監督の視点は、映画を「共通の感情を共有するための場」としてとらえ直すヒントを与えてくれます。
湖南の山々から世界へ──『Postmen in the Mountains』
フー監督の作品『Postmen in the Mountains』は、中国・湖南の豊かな山あいで撮影され、世界各地の観客の心をつかんできました。緑深い山々や曲がりくねった山道といった自然の風景が、物語の背景であると同時に、登場人物の感情を映し出す鏡にもなっています。
この作品が国や言語の壁を越えて受け入れられているのは、派手な演出よりも、静かな風景とささやかなやりとりの積み重ねが、人間の普遍的な感情を丁寧にすくい取っているからだと考えられます。
アフリカの大地にも宿る同じ力
フー監督は、湖南の山々と同じような感情の力が、アフリカの雄大な景観にも潜んでいると語ります。広大な大地、果てしなく続く地平線、強い陽光に照らされた人々の暮らし──そうした風景もまた、観客の心を揺さぶる舞台になりうるという視点です。
アジアの山村とアフリカの大地。一見まったく違う場所のように見えますが、そこに生きる人々が抱える喜びや悩みには共通点が多くあります。フー監督の言葉は、「どこで撮るか」以上に「そこに生きる人々をどう見つめるか」が重要だということを示しています。
「本物の生活」と「自然」を撮るということ
フー監督は、「心を動かす一番素直な表情をとらえるには、現実の生活と自然にしっかり向き合うことが必要だ」と語ります。この姿勢は、国際的な映画づくりにおいても重要なキーワードと言えます。
フー監督の考え方を、次のように整理することもできそうです。
- 現実の生活にカメラを向けることで、作り物ではない感情の揺れが生まれる
- 自然の光や風景を生かすことで、言葉を超えて伝わる空気感が生まれる
- 演出しすぎず「余白」を残すことで、観客が自分の経験を重ね合わせやすくなる
こうした積み重ねが、国や地域を問わず、多くの人の心に届く映像表現につながっていきます。
観客として、私たちにできること
フー監督の言葉は、映画を観る私たちの姿勢にも静かな問いを投げかけています。派手な展開や話題性だけで作品を選ぶのではなく、
- 登場人物のどの感情に、自分は共感したのか
- 自然や景色が、物語のどんな感情を代弁していたのか
- もし同じ状況が自分の身に起きたら、どう感じるだろうか
といった問いを持ちながら、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、南米など、さまざまな地域の映画に触れてみることができます。
国境を越えて届くのは、特別なメッセージではなく、一人ひとりのささやかな感情かもしれません。フー・ジェンチー監督が語る「映画という普遍言語」は、スクリーンを通じて、世界のどこかにいる誰かの人生と、私たちの日常を静かにつないでいます。
Reference(s):
cgtn.com








