中国がニタゼンなど13物質を薬物規制に追加 フェンタニル危機と国際協力
中国がニタゼン類など新たに13の物質を薬物の規制対象に加えました。合成麻薬を巡る国際ニュースとして、中国・米国の協力やフェンタニル危機との関係を整理します。
中国、ニタゼンなど13物質を薬物規制に追加
中国の禁薬当局は、ニタゼン類と新たに確認された12種類の精神作用物質を、規制対象となる薬物リストに追加しました。これは、ニタゼンやイミデートの代替となる新種の物質が次々と出現していることや、今年7月に46種類の新たな向精神薬が指定された流れを受けたものです。
ニタゼン類は合成オピオイドと呼ばれる薬物の一種で、強い鎮痛作用を持つ一方、重篤な呼吸抑制を引き起こしやすいとされています。近年、世界各地でオーバードーズによる死亡例が多数報告されており、中国当局は早期の規制強化でリスクを抑えたい考えです。
安定しているが複雑化する中国の薬物情勢
中国公安省麻薬取締局のトップ、ウェイ・シャオジュン氏は、北京で行われた記者会見で、中国の薬物問題は「全体として安定的で制御可能だ」と述べました。その一方で、新種薬物の進化の速さや、犯罪手口の複雑化が、捜査や取締りに大きな課題を突き付けていると警戒感も示しました。
今回のニタゼン類などの追加指定は、こうした新たな動きに先手を打つ措置だと言えます。物質ごとに規制するだけでなく、構造が似た代替物までを幅広く押さえることで、犯罪組織が「いたちごっこ」のように新しい合成麻薬を生み出す余地を狭める狙いがあります。
中国・米国のカウンターナルコティクス協力
ウェイ氏は、中国が国際的な薬物対策でも積極的な役割を果たしていると強調しました。2024年には、中国と米国の間でカウンターナルコティクス作業部会が立ち上げられ、特に米国が直面しているフェンタニル危機への対応が協議されています。
米国では2024年、約8万人が薬物の過剰摂取で命を落とし、そのうち半数以上がフェンタニル関連物質を中心とするオピオイド系薬物によるものだとされています。こうした状況の中で、中国と米国の協力枠組みは、国際社会からも注目を集めてきました。
フェンタニル関税がもたらす摩擦
一方で、いわゆるフェンタニル関税が、この協力メカニズムの運用に影響を与えているとされています。トランプ政権は、フェンタニル問題を対中関税と結び付ける姿勢を示し、中国側はこれに強く反対してきました。
中国外交部の報道官は、フェンタニル問題は米国自身の問題であり、中国の問題ではなく、責任は米国側にあると繰り返し表明しています。中国側は、自国の薬物規制措置を着実に履行していると主張しています。
2019年から続くフェンタニル規制と白書でのメッセージ
中国は2019年、フェンタニル関連物質を包括的に補充リストへ追加し、これらを規制対象とした最初の国となりました。今年3月に公表された白書でも、中国は国際的な薬物管理に関する義務を誠実に履行し、新たな薬物問題に共同で対処するために各国と協力していると説明しています。
今回のニタゼン類などの新たな指定は、こうした一連の流れの延長線上にあり、合成麻薬を巡る国際的なリスクに対して、自国の制度をアップデートし続ける姿勢を示すものと言えます。
日本の読者が押さえておきたいポイント
合成麻薬は、少量でも強い効果を持ち、インターネットや国際配送を通じて国境を越えて流通しやすいという特徴があります。中国や米国の動きは、日本を含む周辺地域の薬物対策にも間接的な影響を与え得るテーマです。
- ニタゼン類など合成オピオイドは、少量でも命に関わるリスクがある。
- 中国は2019年以降、フェンタニル関連物質や新種の精神作用物質の規制を段階的に強化している。
- 米国の深刻なフェンタニル危機を背景に、中国・米国間の協力と外交的な摩擦が並行して進んでいる。
2025年の今、薬物問題は一国だけで完結するテーマではありません。今回の中国の動きを手掛かりに、合成麻薬と国際協力という視点から、私たち自身の社会の安全や薬物政策について考えてみるきっかけにしてはいかがでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








