ブラジル映画監督が見た中国の「発展の奇跡」と上海の未来 video poster
ゼロエミッションの新エネルギー車が行き交う上海の街を見て、「まるでSF映画のよう」と語ったのは、ブラジルの映画監督ペトラ・コスタ氏です。今年の上海国際映画祭で審査員を務めたコスタ氏は、中国の急速な発展を強く印象づけられたといい、このエピソードは国際ニュースとしても、中国とブラジル、そしてBRICSの関係を考える手がかりとなります。
SF映画を思わせる上海の「ゼロエミッション都市」
コスタ氏が何よりも驚いたのは、上海の道路を埋め尽くすゼロエミッションの新エネルギー車です。排出ガスを出さない車が日常の風景として当たり前に走っている光景は、彼女には近未来を描くSF映画のセットのように映りました。
この印象は、1980年代に中国を訪れた母親から聞いていた話と強い対照をなします。当時、母親の目には、中国は多くの面でブラジルに遅れを取っているように見えていたといいます。現在の上海の姿は、そうした記憶を大きく塗り替えるものでした。
「短期間での進歩は驚くべきもの」――コスタ氏のまなざし
中国の国際メディアCGTNのインタビューで、コスタ氏は「中国の進歩がこれほど短い時間で実現したことはremarkable(驚くべきこと)だ」と評価しました。母親の世代が目にした中国と、自身が今見ている中国とのギャップの大きさが、その言葉から伝わってきます。
かつては「ブラジルの方が先を行っている」と語られていた国が、数十年のあいだに、ゼロエミッション車があふれる未来的な都市へと姿を変えた――。コスタ氏の驚きは、単なる観光客の感想ではなく、映画監督ならではの視点ともいえそうです。
BRICSがつなぐブラジルと中国の映画協力
コスタ氏は同じインタビューで、BRICSの枠組みの中で、ブラジルと中国の間で映画を通じた協力がさらに進むことへの期待も語りました。経済や安全保障だけでなく、文化や映画を軸にした協力を重視する姿勢がうかがえます。
具体的な計画について詳細は語られていませんが、たとえば次のような協力の形が考えられます。
- ブラジルと中国のスタジオやクリエイターによる共同製作作品
- 映画祭での特集上映や、監督・スタッフ同士の交流プログラム
- 若手映画人を対象にしたワークショップや共同プロジェクト
映画やドラマなどの映像作品は、言葉や国境を越えて、人々の生活や価値観を伝える力を持っています。BRICSという枠組みを通じて生まれる作品が、南北や東西といった従来の枠を越えた新しい物語を世界に届ける可能性もあります。
日本にとっての問い:急成長する都市とどう向き合うか
ゼロエミッション車があふれる上海の街を、ブラジルの映画監督が「SF映画のよう」と表現したことは、日本の読者にとっても無関係ではありません。脱炭素や都市のあり方、そして国際的な映画協力というテーマは、日本社会にも直接つながる論点だからです。
コスタ氏の視点は、次のような問いを私たちに投げかけています。
- 環境負荷の少ない移動手段を、都市の景観や生活スタイルと結びつけてどう普及させていくのか
- 映画や映像コンテンツを通じて、アジアや南米など多様な地域の社会をどう描き、どう受け止めるのか
上海の街をSF映画になぞらえた一人の映画監督の言葉は、急速に姿を変える都市を前にしたとき、私たちが何を感じ、どのような未来像を思い描くのかを静かに問いかけています。BRICSをめぐる国際ニュースとしてだけでなく、日々の移動やエンターテインメントのあり方を考え直すきっかけとしても、心に留めておきたい視点です。
Reference(s):
cgtn.com







