新疆映画『Story of Cotton Field』が中国本土で公開 綿花畑が映す世代を超えた物語
受賞歴のある小説を映画化した新疆映画『Story of Cotton Field』が、2025年6月21日から中国本土の映画館で公開され、静かな注目を集めています。新疆の綿花畑を舞台に、長年にわたって地域の発展を支えてきた人びとの歩みを描く作品です。
受賞小説が映像化 新疆の綿花畑から見えるもの
『Story of Cotton Field』は、受賞歴のある小説を原作とする新作映画です。物語の中心にあるのは、新疆の綿花栽培と、その発展に人生を捧げてきた人びとの物語です。数十年に及ぶ支援と協力の積み重ねが、1つの家族史のようなかたちで描かれます。
作品は、新疆の開発を支えてきた人びとの献身や、土地への愛着、世代を超えて受け継がれる思いを丁寧にすくい取っています。綿花畑という一見素朴な舞台を通じて、社会の変化や人間関係の揺れ動きが浮かび上がります。
70日間の撮影と多地域ロケ 文化協働のベンチマークに
監督を務めた張中監督によると、撮影は2023年9月に始まり、約70日間にわたって行われました。ロケ地は新疆の奇台、木壘、アクスに加え、上海や福建など新疆以外の地域にも広がりました。
こうした多地域での撮影体制により、この作品は「地域間の文化協働のベンチマーク」とも評されています。新疆の風景と他地域の都市風景が一つの物語の中で交差することで、中国本土の多様な表情がスクリーンに刻まれています。
張中監督「歴史的・文化的意義のある作品」
プレミア上映の場で、張中監督は本作を手がけたことへの誇りを口にしました。監督は、歴史的かつ文化的な意義のある作品を任されたことは大きな名誉だとし、キャストやスタッフとともに新疆の物語を映像として残す責任の重さを語りました。
現地での撮影は、綿花畑や小さな町など、過酷さと美しさが同居する環境で行われました。張監督にとっても、各地で出会った人びとの表情や生活の風景が、作品づくりの原動力になったといえそうです。
ベテラン俳優・李雪健が演じる「援助幹部」の重み
作品の要となるのが、援助幹部として新疆に赴いた年長世代の人物です。この役を演じるのは、ベテラン俳優の李雪健さん。長年の経験に裏打ちされた演技で、新疆を第二の故郷と感じるようになった人の心情を、静かでありながら力強く表現しています。
彼が演じる人物像は、任務として赴任しながらも、やがて土地の人びとと共に生き、人生の大部分を捧げるようになった世代の象徴です。映画では、その姿を見つめる若い世代との対比も通じて、仕事や使命、家族、故郷とは何かという問いが投げかけられます。
新疆映画が示す「世代をつなぐ物語」の力
国際ニュースとして中国本土の映画を追いかけるとき、『Story of Cotton Field』は派手なアクションや大作とは違う方向性を示す1本だといえます。テーマは綿花栽培という身近な生活の営みですが、その背景には、長い年月をかけた協力と対話の積み重ねがあります。
- 世代を超えて受け継がれる仕事への誇り
- 地域をまたぐ人と人とのつながり
- 第二の故郷が生まれるまでの時間の重み
こうした要素が織り合わさることで、物語は特定の地域の話を超え、多くの観客が自分の経験に引き寄せて考えられる普遍性を帯びていきます。
ニュースとしてどう読み解くか
『Story of Cotton Field』は、新疆という特定の地域を描きながらも、働き方や地域との関わり方、世代間の価値観の違いといった、私たち自身が向き合っているテーマを静かに照らし出します。
日本から国際ニュースを眺める読者にとっても、この作品は次のような問いを投げかけます。
- 自分にとっての第二の故郷とはどこか
- 仕事や使命のために、どこまで人生を預けられるのか
- 世代や地域を超えて、何を共有し、どう対話していけるのか
新疆の綿花畑をめぐる物語は、中国本土の開発の歴史だけでなく、グローバル化が進む現代における居場所のあり方を考えるきっかけにもなりそうです。
アジアの動きや文化に関心のある読者にとって、『Story of Cotton Field』は今後も注目しておきたい作品です。
Reference(s):
cgtn.com








