中国商業ロケット「朱雀3号」大型エンジン試験成功 再使用ロケットで宇宙ビジネス加速へ
中国の商業ロケット企業・藍箭宇航(LandSpace)が、再使用型ロケット「朱雀3号」の初飛行に向けて重要な節目となるエンジン試験を実施しました。2025年の初飛行を目指すプロジェクトにとって、実機に近い状態での大規模試験の成功は大きな前進です。
再使用ロケット「朱雀3号」、初飛行に向けた大型試験とは
今回の試験は、朱雀3号ロケットの第1段推進システムを対象とした地上点火試験で、金曜日に中国北西部で行われました。場所は、中国北西部・酒泉衛星発射センター近くの東風商業宇宙イノベーション試験区です。
藍箭宇航によると、この試験は中国でこれまでに実施された中で最大規模かつ高い自動化レベルを持つ「9基エンジン並列クラスター」のホットファイア(燃焼)試験でした。
9基エンジンのクラスター燃焼試験 45秒間で7,542kNの推力
試験では、朱雀3号の初飛行ミッションで使用されるものと技術的に同等の第1段構造が用いられました。つまり、実際の飛行に限りなく近い状態でのテストだったということです。
主なポイントは次の通りです。
- 試験時間は約45秒
- 自社開発の液体酸素・メタンエンジン9基を同時に使用
- 合計推力は7,542キロニュートン(kN)に達したと説明
このホットファイア試験によって、エンジンや加圧・推進薬供給システム、機体構造、電子機器(アビオニクス)など、主要なサブシステム間の互換性が検証されました。また、地上支援設備や打ち上げ管制プロセスの設計が妥当であることも確認できたとしています。
打ち上げ前から飛行中までを「丸ごと再現」
今回の試験は、単にエンジンに火をつけるだけではありません。藍箭宇航の発表によると、打ち上げ前から飛行中までの一連の流れを地上でシミュレーションする、いわばロケットの「総合リハーサル」のような内容でした。
具体的には、次のプロセスが連続して実行されています。
- 推進薬(燃料・酸化剤)の充填
- タンク内の加圧
- エンジンを複数回に分けて順次点火
- 安定した出力での連続運転
- あらかじめプログラムされた手順に従った停止
同社は「実際の飛行条件に極めて近い精度で試験できた」とし、「システムが宇宙でどのように作動するかを、地上試験でそのまま再現した」と強調しています。
朱雀3号ロケットの特徴 20回以上の再使用を想定
朱雀3号は、再使用性を前提に設計された大型商業ロケットです。藍箭宇航が明らかにしている主なスペックは次の通りです。
- ロケット直径:約4.5メートル
- 全長:約66メートル
- 第1段は少なくとも20回の再使用を想定
- 複数の衛星を同時に打ち上げ可能(フラットスタック型衛星などにも対応)
推進薬タンクには高強度ステンレス鋼が採用されています。こうした設計により、使い捨てロケットと比べて打ち上げコストを8〜9割ほど削減できる可能性があるとしています。
「飛行機のように」点検して再び飛ばす構想
朱雀3号の第1段は、回収後にエンジンを機体から切り離さず、そのまま点検できる設計です。燃料を補給することで、飛行機のフライトのように、比較的短いターンアラウンドで再打ち上げを行う運用イメージが示されています。
このコンセプトが実現すれば、ロケットの運用は現在よりも格段に頻度を上げやすくなり、小型衛星や通信衛星などの打ち上げ需要に柔軟に対応できる可能性があります。
商業宇宙ビジネスと中国の民間ロケット企業
藍箭宇航は北京を拠点とする商業ロケット企業で、今回のような再使用型ロケットの開発を通じて、宇宙輸送コストの引き下げと打ち上げ機会の拡大を狙っています。
再使用ロケットは、世界的に見ても宇宙ビジネスを支える重要な技術領域とされています。打ち上げコストが大きく下がれば、地球観測、通信、宇宙インターネットなど、多様な衛星サービスのビジネスモデルにも影響が及びます。
今後の見通し 2025年の初飛行に向けて
今回の第1段エンジンクラスタ試験は、朱雀3号の初飛行に向けた重要なハードルの一つでした。藍箭宇航は、プロジェクトとして2025年の初飛行を計画しており、今回の成果はその実現に近づくステップと位置づけられます。
今後も、さらなる地上試験やシステム検証、実際の打ち上げ準備が進むとみられます。再使用ロケットがどこまで実用的なコスト削減と高頻度打ち上げを実現できるのか、朱雀3号の動向は、商業宇宙分野に関心を持つ読者にとっても注目すべきトピックになりそうです。
Reference(s):
China's reusable rocket Zhuque-3 completes major engine cluster test
cgtn.com








