杭州ロボット博で見せた中国スマート製造の現在地
2025年6月、中国浙江省の杭州で開催されたHangzhou International Android and Robot Technology Exhibition 2025は、中国で初めてヒューマノイドロボットの産業チェーン全体に特化した専門展示会となり、中国のスマート製造の力を国内外に示しました。
中国初のヒューマノイド産業チェーン専門展とは
Hangzhou International Android and Robot Technology Exhibition 2025は、2025年6月20日から22日まで開催されました。特徴的なのは、ヒューマノイドロボットの産業チェーン全体を対象にした、中国で初めてのプロフェッショナルな展示会である点です。
会場には、テスラやAlibaba Cloud、Unitree Robotics、Wolong Electricなど、世界をリードする企業が200社以上集まりました。ロボット本体だけでなく、クラウドや制御技術、モーターやセンサーといった部品まで、スマート製造を支える多様なプレーヤーが一堂に会したかたちです。
ロボットやAIが産業競争力の鍵となるなか、中国のスマート製造の方向性と実力をコンパクトに映し出す場となりました。
産学が集結した「杭州アンドロイド産業連携大会」
会期中の土曜日には、第1回Hangzhou Android Industry Connection Conferenceも開催されました。ここには大学や研究機関、企業の専門家が集まり、産学連携のプラットフォームとして機能しました。
議論の焦点となったのは、主に次のようなテーマです。
- コア技術のブレークスルーをどう実現するか
- 研究開発の成果をどのように産業化につなげるか
- 持続的なロボット産業エコシステムをどう構築するか
単に最新製品を展示する場にとどまらず、研究段階から実装・量産までの「道筋」を議論する場が設けられたことで、ヒューマノイドロボットを軸にした新たな産業づくりへの意欲が示されたと言えます。
「技術」と「需要」をつなぐマッチングの仕掛け
今回のロボット博では、ヒューマノイドロボットに関する技術製品と応用ニーズの第一弾リストが公表されました。対象となる地域は、杭州、寧波、嘉興などで、次の三つの観点を軸に整理されています。
- 技術的ブレークスルーに向けた協力先を探すニーズ
- 革新的な研究成果の応用先を求めるニーズ
- 完成した製品やサービスの市場を開拓するニーズ
こうしたニーズの可視化は、研究者、スタートアップ、大企業、部品サプライヤーが、それぞれの強みを持ち寄りながら精度の高いマッチングを行うための「橋渡し」となります。産業チェーン全体での連携を前提にした設計になっている点が特徴的です。
先端企業と大学が描くロボット産業の近未来
展示会では、DeepRoboticsやAlibaba Cloudをはじめとする先端企業に加え、各種コンポーネントメーカーや「エンボディード・インテリジェンス」と呼ばれるロボットの知能ソリューションを提供する企業も最新のプロダクトを紹介しました。
単なるコンセプト展示ではなく、現場での活用を意識した「実用寄り」の事例や技術紹介が行われたことで、ヒューマノイドロボットが具体的にどのような場面で役立ちうるのかが示されました。
一方、大学からも重要なメッセージが発信されています。浙江大学党委員会副書記の朱世強氏は、基礎研究から産業応用へとロボット技術を押し上げてきた学術界の取り組みや経験を踏まえて講演しました。研究室レベルの試作機を、産業レベルの製品へと進化させるための課題と知見が共有された形です。
また、蘇州大学機械電気工程学院の孫立寧院長は、ロボット技術が「新しい質の生産力」を生み出す原動力になりうるという視点から将来像を提示しました。ここで語られた新しい質の生産力とは、単なる生産量の増加ではなく、イノベーションと高品質な成長を同時に実現するための力を指しています。
世界に開かれたロボット技術ショーケースへ
このロボット博は、世界に向けて最新のロボット技術を紹介するショーケースになることを目指して企画されました。その方針を反映するように、会場では次のようなプログラムが組まれました。
- ヒューマノイドロボットや関連製品の最先端展示
- 来場者が動きを体感できるロボットデモンストレーション
- 産業関係者が議論を深める多様なフォーラムやセミナー
展示・ショーケース・フォーラムを組み合わせることで、技術そのものだけでなく、ビジネスモデルや都市・地域での活用シナリオまでを含めて議論できる場となっています。
日本の読者が押さえておきたいポイント
今回の杭州での動きから、日本の読者が意識しておくとよさそうなポイントを整理すると、次の三つにまとめられます。
- ヒューマノイドロボットを「産業チェーン」で捉える視点
ロボット本体だけでなく、クラウド、部品、ソフトウェア、サービスまでを一体として育てようとする発想が前面に出ています。 - 産学連携と需要の見える化
会議やニーズリストを通じて、研究と産業、技術と市場をつなぐ仕掛けづくりが進められています。 - ロボットを「新しい質の生産力」と位置づける議論
単なる自動化ではなく、イノベーションと高品質な成長を同時に追求するツールとしてロボットが語られている点が特徴的です。
ロボットやスマート製造の国際ニュースを追ううえで、こうした動きを頭に入れておくと、今後の技術や政策、企業戦略のニュースがより立体的に見えてきます。
Reference(s):
cgtn.com








