IBMの中国戦略:現地イノベーションとAI共創の最前線 video poster
2025年現在、IBMは中国でのビジネス戦略を「オープンイノベーション」「協働による共創」「深いローカルコミットメント」という三つのキーワードで表現しています。中国企業とのAI共創が、IBM自身の技術を磨く場にもなっている点が注目されています。
IBMが掲げる3つのキーワード
第6回青島多国籍企業サミットで、IBMグレーター・チャイナ・グループのテクニカルセールスリーダーであるZhai Feng氏は、中国で事業を進めるうえでの3つの柱として、次のキーワードを挙げました。
- オープンイノベーション(他社やパートナーと連携して技術やアイデアを取り込むこと)
- 協働による共創(企業同士が一緒に新しいソリューションをつくり上げること)
- 深いローカルコミットメント(現地市場への長期的な関与と責任ある関わり方)
IBMは、中国市場を単に製品を販売する場として見るのではなく、現地の企業やパートナーとともに新しい技術やビジネスモデルを生み出す「実験の場」として位置づけていることがうかがえます。
製造・自動車・医療・小売で進むAI共創
Zhai氏によると、中国企業は急速な成長と強いイノベーション志向を背景に、AI(人工知能)の導入を積極的に進めています。IBMは現在、製造業、自動車、ヘルスケア、小売といった分野の現地企業と深く連携し、AIを次のような領域に適用しています。
- 製品設計:顧客ニーズや膨大な設計データをAIで分析し、新製品の企画や品質向上につなげる
- サプライチェーン:需要予測や在庫管理をAIで高度化し、コスト削減と安定供給を両立させる
- スマートマーケティング:購買データやオンライン行動をもとに、より精度の高いプロモーションや顧客体験を実現する
こうした取り組みは、中国企業にとっては競争力を高める武器となり、IBMにとっては実際のビジネス現場でAI技術を試し、改良していく貴重な機会になっています。
「豊富で多様なユースケース」がIBMの技術も磨く
Zhai氏は、中国には「豊かで多様な現実のユースケース」が存在すると述べています。これは、AIの導入を加速させるだけでなく、IBM自身の技術を洗練させ、アップグレードする助けにもなるといいます。
つまり、中国のさまざまな産業で生まれる具体的な課題やニーズが、AI技術のテストベッド(試験場)となり、その結果としてIBMのソフトウェアやソリューションの精度や使い勝手が向上していく、という構図です。
グローバル企業にとって、中国のように多様なビジネス環境は「学びの場」としての意味合いも強く、単なる販売市場を超えた戦略的重要性を持ちつつあります。
国際ビジネスと日本への含意
IBMの中国戦略は、国際ビジネスにおける関係性の変化を象徴しているように見えます。海外企業が一方的に技術や製品を持ち込むのではなく、現地企業と課題を共有しながら解決策を共に設計する「共創型」のアプローチです。
2025年現在、AIは多くの企業にとって競争力の中核になりつつあります。中国のように実ビジネスのユースケースが豊富な市場と組むことは、単に売上を伸ばすだけでなく、自社の技術やビジネスモデルを進化させる近道にもなり得ます。
日本を含む他の国・地域の企業にとっても、中国企業とIBMの取り組みは、次のような問いを投げかけていると言えるでしょう。
- 自社のAI活用は、実際の現場の課題とどれだけ結びついているか
- 現地パートナーとの関係は、単なる取引から「共創」へと進化しているか
- 海外市場を、学びと技術のアップグレードの場として活用できているか
第6回青島多国籍企業サミットで示されたIBMのメッセージは、中国と世界の企業がAI時代にどう向き合うべきかを考える上で、一つの重要なヒントを提供しているように見えます。
Reference(s):
IBM's China strategy: Co-creating the future with local innovation
cgtn.com








