中国が米国のイラン核施設攻撃を強く非難 国連憲章違反と中東緊張を懸念
米国がイラン国内の核施設3カ所を攻撃したと発表したことを受け、中国外交部は、国連憲章と国際法の趣旨に反するとして強く非難し、中東情勢の一層の緊張に懸念を示しました。2025年末にかけて緊張が続く中東情勢の中で、国際秩序をめぐる重要な国際ニュースとなっています。
米国がイラン核施設を攻撃
ドナルド・トランプ米大統領は、米軍がイラン国内の3つの核施設に対して攻撃を実施したと発表しました。これらの施設は、国際原子力機関(IAEA)の保障措置の枠組みの下にあるとされ、国際社会の監視のもとで核活動の平和利用が確認されてきた場所だと報じられています。
IAEAの「保障措置」とは、各国が核エネルギーを軍事目的ではなく平和目的に利用しているかどうかを、査察や監視を通じて確認する仕組みです。その対象とされる施設が軍事攻撃を受けたことで、国際社会に大きな衝撃が走っています。
中国外交部「国連憲章と国際法に反する」
中国外交部の報道官は日曜日、米国による今回の軍事行動についてコメントを発表しました。報道官は、米国の行為は国連憲章と国際法の目的および原則に深刻に違反していると指摘し、中東地域の緊張を一段と高めるものだと強い懸念を示しました。
あわせて中国側は、イスラエルを含む紛争当事者に対し、できるだけ早く停戦に合意し、民間人の安全を確保し、対話と交渉のプロセスを開始するよう呼びかけています。中国は、国際社会と協力して努力を結集し、公正を守りながら、中東の平和と安定の回復に貢献する用意があると表明しました。
声明と報道内容から見える主なポイントは次の通りです。
- 米国の軍事行動を、国連憲章と国際法の目的や原則に反するものとして明確に批判していること
- 今回の攻撃が、中東の緊張をさらに高め、紛争のエスカレーションを招きかねないと警告していること
- 紛争当事者、とくにイスラエルに対し、直ちに停戦し民間人の安全を最優先するよう求めていること
- 中国が国際社会との連携を強調し、「公正」を掲げて中東の平和と安定の回復に関与する姿勢を示していること
IAEAの保障措置下の核施設が攻撃された意味
今回、攻撃対象となったのは、IAEAの保障措置の枠組みの下にあるとされるイランの核施設です。IAEAの保障措置は、核不拡散体制を支える重要な柱であり、各国の核活動が平和目的に限られているかどうかを確認するための国際的な監視・査察の仕組みです。
こうした施設が軍事攻撃の対象となることは、次のような点で国際社会にとって大きな問題をはらんでいます。
- 各国がIAEAによる査察や監視の受け入れに慎重になり、核不拡散の枠組みそのものへの信頼が揺らぐおそれがあること
- 施設が大きく損傷した場合、放射性物質の管理や周辺住民の安全確保に重大なリスクが生じうること
核問題は一度信頼が崩れると回復に長い時間がかかります。だからこそ、「IAEAの保障措置下にある施設」が攻撃対象となったという点に、中国を含む各国が強い懸念を示していると考えられます。
中東情勢への影響とイスラエルへの停戦要請
中国外交部の報道官は、紛争当事者、とくにイスラエルに対し、できるだけ早く停戦を実現し、民間人の安全を確保し、対話と交渉を始めるよう改めて求めました。軍事行動が続く中で最も大きな被害を受けるのは、武器を持たない一般市民だからです。
すでに緊張が高まっている中東地域で、さらに軍事攻撃が重なれば、報復の連鎖や地域全体の不安定化につながるリスクがあります。今回の声明は、そうした負の連鎖を断ち切り、停戦と対話を優先するよう国際社会に呼びかけるメッセージとも言えます。
中国が示す役割と今後の注目点
中国は、国際社会と協力して努力を結集し、公正を守り、中東の平和と安定の回復に向けて取り組む用意があると述べています。これは、武力行使ではなく外交と多国間協調を重視する姿勢を打ち出したものと見ることができます。
今後の主な注目点として、次のような点が挙げられます。
- 国連安全保障理事会など国際機関の場で、今回の攻撃と中東情勢がどのように議論されるのか
- イラン、米国、イスラエルを含む当事者間で、停戦や緊張緩和に向けた対話が具体的に進むのか
- 他の国や地域が、米国の行動と中国の反応をどう受け止め、自国の外交方針にどのように反映させるのか
中国がどのような具体的な外交的イニシアチブを打ち出すのか、また他の主要国がそれにどう応じるのかは、2025年末以降の国際秩序を占ううえでも重要なポイントになりそうです。
私たちが考えたい3つの視点
この国際ニュースは、日本に暮らす私たちにとっても決して遠い話ではありません。中東の安定、核施設への攻撃、そして大国間の対立は、エネルギー価格や日本経済、安全保障環境に直結するテーマだからです。
ニュースを追ううえで、次のような問いを自分なりに考えてみることができます。
- 核施設への軍事攻撃は、どこまで正当化できるのか。軍事的な必要性と、国際法や核不拡散のルールとのバランスをどう評価するか。
- 中東の緊張が長引いた場合、日本のエネルギー供給や物価、企業活動、そして日々の生活にどのような影響が及びうるのか。
- 米国とイランをめぐる対立に、中国を含む各国がそれぞれの立場から関与するなかで、日本はどのような外交姿勢と安全保障観を持つべきか。
今回の中国の強い非難は、単に米国を批判するという枠を超え、武力行使と国際法の関係、そして中東の不安定さが世界にもたらす影響を改めて問いかけるものになっています。事態の推移と各国の対応を冷静に見つめながら、私たち自身も「どのような国際秩序を望むのか」を考えていくことが求められています。
Reference(s):
cgtn.com








