中国の科学者が解明 鳥が酸っぱい味を平気で食べられる理由
鳥はなぜ酸っぱいものを平気で食べられるのか――長年の謎に、中国の研究者チームが分子レベルの答えを示しました。科学誌『サイエンス』に金曜日付けで掲載された最新論文によると、酸味を感じる受容体であるOTOP1遺伝子の変異が、鳥が強い酸味を「嫌がらない」カギになっているといいます。この国際ニュースの内容を、日本語ニュースとして分かりやすく整理します。
中国の研究者が解明した「酸味に強い鳥」の仕組み
今回の国際ニュースの主役は、酸性の果実を好んで食べるソングバード(さえずりの美しい小鳥)です。研究チームは、これらの鳥が高度に酸性のエサを口にしても強い嫌悪感を示さない背景には、酸味受容体OTOP1の特別な変異があると報告しました。
OTOP1は、口の中で酸(すっぱい成分)を検知し、その情報を脳に伝える役割を持つ受容体です。論文によると、一部の鳥類ではこのOTOP1遺伝子に「鍵となる変異」が生じており、その結果、非常に酸っぱい食品を口にしても「不快な酸っぱさ」として感じにくくなっているとされています。
なぜ酸っぱいものに強いことが有利なのか
多くの哺乳類は、強い酸味を「腐敗や危険のサイン」として避ける傾向があります。一方で、ソングバードのような鳥は、熟しきって酸味が強くなった果実や、発酵が進んだようなエサも積極的に食べることがあります。
酸味への耐性は、例えば次のような点で有利だと考えられます。
- 他の動物が避ける強酸性の果実を、競争相手が少ない中で独占できる
- 酸味の強い果実を食べ、種子を運ぶことで、植物との共生関係を築きやすくなる
- 季節や環境によって食べ物が限られる状況でも、利用できる食資源の幅が広がる
今回の研究は、こうした生態的な「戦略」を、遺伝子と分子のレベルから説明する手がかりを与えたといえます。
味覚研究としての意味:人間の「すっぱさ」と何が違う?
酸味を感じる仕組みは、人間を含む動物に共通する基本的な感覚です。その中核にあるOTOP1受容体の働き方が、種ごとにどう違うのかが見えてくると、「なぜこの動物はこの味を好むのか」という問いに、より具体的に答えられるようになります。
今回の鳥類の研究は、人間の味覚を直接変えるものではありませんが、次のような広がりを持つ可能性があります。
- 味覚の仕組みを応用した、新しい食品設計やフレーバー開発のヒント
- 動物ごとの味覚の違いを踏まえた、野生動物対策や農作物保護の工夫
- 脳と感覚のつながりを理解するための基礎データ
味覚は「好き嫌い」の話にとどまらず、進化、生態、神経科学が交わる分野です。中国の研究者による今回の成果は、その交差点に新しい一石を投じたと言えるでしょう。
これから私たちが注目したいポイント
今回のニュースをきっかけに、次のような問いを考えてみるのもおもしろいかもしれません。
- 人間の「酸っぱい食べ物の好み」は、どこまで生まれつきで、どこからが文化や経験によるものなのか
- もし他の動物にも、OTOP1のような味覚受容体に特徴的な変異が見つかれば、どんな行動や生態の違いを説明できるのか
- 気候変動や環境変化が進む中で、味覚の違いが「生き残り戦略」としてどのような意味を持つのか
科学誌『サイエンス』に掲載された今回の研究は、分子レベルの発見でありながら、「なぜこの世界はこんなふうに見え(味わえ)るのか」という素朴な疑問にもつながっています。通勤時間のちょっとしたスキマに眺めるニュースとしても、友人との会話のネタとしても、シェアしやすいトピックではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








