中国の李強首相とベトナムのチン首相が会談 国交75周年で協力強化へ
中国の李強首相は、中国北部の天津市で開かれている2025年サマーダボスに出席しているベトナムのファム・ミン・チン首相と会談しました。国交樹立75周年の節目にあたる今年、両国は政治・経済・人的交流の全方位で関係を一段と深める姿勢を示しました。
天津での首脳会談 「同志かつ兄弟」の関係を再確認
会談は、2025年のサマーダボス(夏季ダボス会合)の開催地である天津市で行われました。李強首相は、中国とベトナムの関係について、長年続く「同志かつ兄弟」の深い友情は時を経ても色あせていないと強調しました。
李首相は、今年4月に中国共産党中央委員会総書記で中国国家主席の習近平氏がベトナムを訪問して以降、両国の「包括的戦略的協力」が着実に前進していると評価しました。そのうえで、習主席の訪問成果をさらに具体化し、両国の人々にもたらされる実利を一層拡大していく考えを示しました。
不透明な国際情勢の中で「連帯と戦略的対話」を強調
李首相は、現在の国際情勢では不安定さと不確実性が増していると指摘し、中国とベトナムが次の3点を強化すべきだと呼びかけました。
- 両国の「団結」を強めること
- 戦略的コミュニケーションを深化させること
- 互恵的な協力を拡大すること
こうした取り組みは、両国だけでなく、地域全体、そして世界にとってもプラスになると位置づけています。東南アジアと中国の関係が地域秩序に与える重みを示すメッセージともいえます。
経済協力:一帯一路と「二廊一圏」の連携強化
経済面では、李首相はベトナムとの開発戦略の連携を加速させる方針を示しました。具体的には、中国の一帯一路構想と、ベトナムの「二廊一経済圏(Two Corridors and One Economic Circle)」戦略の協力計画を着実に実行に移すとしています。
さらに、次のような新分野での協力拡大も打ち出しました。
- 人工知能(AI)
- デジタル経済
- グリーン開発(環境に配慮した成長)
これらの分野で新たな成長エンジンをともに育てていくことで、両国経済の質の高い発展をめざす考えです。
文化・観光・教育… 人的交流を広げる「中国・ベトナム人文交流年」
会談では、経済だけでなく、人と文化のつながりを深める重要性も確認されました。李首相は、文化、観光、教育、メディアといった分野での交流・協力を拡大し、「中国・ベトナム人文交流年」に合わせて一連の行事を共同で開催する方針を示しました。
人的交流の強化は、政治や経済の関係を長期的に支える土台となるだけでなく、両国の社会の相互理解を深める役割も期待されています。
ベトナムのBRICS連携と「多極化」への期待
李首相は、中国としてベトナムがBRICSのパートナー国となることを歓迎する姿勢を明らかにしました。そのうえで、自由貿易と多角的な貿易体制を共に守り、次のような国際秩序の構築を目指すと述べました。
- 各国がより平等で秩序立った形で関与する「多極化した世界」
- すべての国に裨益し包摂的な経済グローバル化
こうした協力を通じて、世界の平和と発展により多くの安定と「ポジティブなエネルギー」を注ぎ込みたい考えです。
ベトナム側:トップ同士の合意を具体化し、信頼と実務協力を強化
ファム・ミン・チン首相は、中国とベトナムの両党トップがこれまでに達成した重要なコンセンサスを共に実行に移していきたいと表明しました。そのうえで、次の点を挙げて関係強化への意欲を示しました。
- ハイレベル交流のさらなる強化
- 政治的な相互信頼の向上
- 戦略的コミュニケーションの緊密化
- 実務協力の推進
- 人的・文化交流の一層の深化
また、ベトナムは習近平国家主席が提唱する三つのグローバル・イニシアチブを堅く支持すると述べ、中国との多国間協力を強化し、マルチラテラリズム(多国間主義)を守り、共通の利益を保護していく考えを示しました。
日本の読者にとってのポイント
今回の中国・ベトナム首脳会談は、日本にとっても無関係ではありません。東アジアの国際ニュースとして、少なくとも次のような視点で注目することができます。
- 地域経済とサプライチェーン:中国とベトナムの協力強化は、東アジアの生産ネットワークや日系企業の拠点戦略にも影響しうるテーマです。
- デジタル・グリーン分野の競争と協調:AIやデジタル経済、グリーン開発は、日本も含む各国が重点を置く分野であり、地域内での協力枠組みの組み方が今後のルールづくりに関わってきます。
- 多極化する国際秩序:BRICS拡大や「多極化」の流れの中で、中国とベトナムがどのように役割を果たしていくかは、国際機関や貿易ルールをめぐる議論にも影響を与える可能性があります。
国交75周年の節目で開かれた今回の会談は、中国とベトナムが二国間関係を超え、地域と世界の課題にどう向き合おうとしているのかを読み解く手がかりとなりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








