Qinghai-Xizang高原のシカ類 腸内細菌が担う適応の鍵
中国西部のQinghai-Xizang高原で暮らすシカ類が、どのようにして低酸素・低温といった過酷な環境に適応しているのか。その鍵の一つが体内の腸内細菌であることを示す研究結果が報告されました。中国科学院傘下の高原生物研究機関であるNorthwest Institute of Plateau Biology(NWIPB)の研究チームが実施し、国際学術誌BMC Biologyに発表されたものです。
「世界の屋根」で生きるシカ類と腸内細菌
Qinghai-Xizang高原は、標高が高く気温差が大きいことから、世界の屋根とも呼ばれています。このような極限に近い環境で生きるシカ類には、体の仕組みだけでなく、食べ物の消化・吸収を支える腸内細菌にも独自の適応が求められます。今回の研究は、シカ類の腸内にすむ微生物が、高原の限られた植物資源から効率よくエネルギーや栄養を取り出すうえで重要な役割を果たしている可能性を示しました。
腸内細菌が支える「極限環境への適応」
NWIPBの研究チームは、シカ類の腸内細菌と宿主との関係に注目し、腸内微生物の構成や働きが、低酸素・寒冷・低栄養といった高原特有のストレスに対する適応と深く結びついていることを明らかにしました。腸内細菌は、食物繊維の分解や短鎖脂肪酸と呼ばれるエネルギー源の産生、免疫機能の調整などを通じて、宿主の健康と体力を支えます。こうした共生関係が進化の過程で洗練されることで、シカ類は過酷な環境でも生き抜けるようになったと考えられます。
極限環境研究と国際ニュースとしての意味
今回の成果は、極限環境における動物の適応メカニズムを理解するうえで、腸内細菌という見えにくい存在がいかに重要かを改めて示すものです。中国科学院のNWIPBによる研究がBMC Biologyに掲載されたことで、高原生態系や腸内細菌研究に対する国際的な関心がさらに高まりそうです。
私たちの日常と「見えない共生者」
腸内細菌と宿主の協力関係は、野生動物だけの話ではありません。人間を含む多くの動物にとって、腸内細菌は健康や代謝、ストレスへの耐性などに影響する重要なパートナーです。Qinghai-Xizang高原のシカ類の事例は、私たち自身の生活や健康を考えるときにも、体の中で働く見えない共生者の存在に目を向けてみるきっかけを与えてくれます。
Reference(s):
Role of gut microbiome for cervids on Qinghai-Xizang Plateau uncovered
cgtn.com








