台湾の伝統建築を読む:赤レンガと燕尾脊が語る美意識
台湾の伝統建築と聞いて思い浮かぶのは、赤レンガの壁、瓦屋根、そして空に向かって反り上がる独特の屋根のラインではないでしょうか。この記事では、閩南と客家のスタイルが溶け合った台湾の伝統建築の特徴を、日本語で分かりやすく解説します。国際ニュースやアジアのカルチャーに関心のある読者が、建築から台湾の物語を読み取るためのガイドです。
閩南と客家が重なる台湾の伝統建築
台湾の伝統建築は、閩南と客家のスタイルを組み合わせたつくりになっています。異なる背景を持つ人びとの暮らし方や価値観が、一つの建物の中に折り重なっているとも言えます。
直線的で実用的な部分と、装飾性の高い部分が同居しているのも、その融合を物語ります。シンプルな構造の上に、豊かな装飾が重ねられることで、日常と祭りの空気が同時に感じられるような建築になっています。
赤レンガと瓦がつくるあたたかい外観
そうした伝統建築の外観を支えているのが、赤レンガと瓦です。赤レンガの壁は、街並みにリズムを与えながら、どこか懐かしく落ち着いた印象をつくり出します。
瓦屋根が幾重にも連なることで、建物のスケール感がやわらぎ、人が歩く目線に近いスケールで空間が構成されます。現代の高層ビルとは対照的に、歩きながらじっくり眺めたくなるような風景です。
燕尾脊と馬背の屋根が描くシルエット
台湾の伝統建築を遠くから見たとき、まず目を引くのが屋根のシルエットです。燕の尾のように両端が反り上がった燕尾脊と、馬の背中のようなカーブを描く馬背の破風が、空に向かって伸びる独特のラインを形づくります。
まっすぐではなく、少し跳ね上がる屋根のラインには、軽やかさや前向きなエネルギーが感じられます。建物の輪郭そのものが、そこで暮らす人びとの活気や願いを表現しているようです。
交趾陶・門神・石の窓格子に込められた吉祥
台湾の伝統建築のもう一つの大きな特徴が、装飾の豊かさです。細部を見ていくと、吉祥、つまり幸運や繁栄への願いが、さまざまなモチーフとしてちりばめられています。
- 陶器による装飾である交趾陶(Cochin pottery)
- 力強いタッチで描かれた門神の絵(painted door gods)
- 光と影の模様を生む石の窓格子(stone window grilles)
これら一つ一つの装飾は、美しさのためだけではなく、縁起の良さを建物にまとわせる役割も担っています。窓や扉といった、家の出入り口や光が差し込む部分に重ねて表現されることで、生活空間そのものに吉祥の意味が染み込んでいきます。
軒を飾る切り貼りの技法と鮮やかな色彩
視線を少し上げて軒先を見てみると、そこにも細かな装飾が連なっていることに気づきます。特徴的なのが、さまざまな素材を切って貼り合わせ、模様や場面を作り出す切り貼りの技法です。英語では cutting and sticking techniques とも表現されます。
この技法による装飾は、遠目にもわかるほど明るく、鮮やかな色で仕上げられます。赤、青、緑などの強い色が組み合わさり、重厚な赤レンガと瓦の外観に、華やかさと遊び心を加えています。軒のラインに沿って続くこの色彩の帯が、街並みにリズムと物語性を与えています。
2025年のいま、建築から読み取る台湾の物語
2025年のいま、世界の動きや国際ニュースに注目する私たちにとっても、地域の伝統建築はその土地の歴史や価値観を理解する手がかりになります。台湾の伝統建築に刻まれたモチーフや色使いを読み解くことは、統計やデータだけでは見えてこない暮らしの感覚に触れることでもあります。
- 閩南と客家のスタイルが重なる、多層的な文化背景
- 赤レンガと瓦に象徴される、落ち着きのある生活空間
- 交趾陶や門神、石の窓格子に込められた吉祥への願い
- 軒先の切り貼り装飾が生み出す、鮮やかでにぎやかな表情
もし台湾を訪れる機会があれば、こうしたポイントを意識して街並みを眺めてみてください。赤レンガの壁、燕尾脊の屋根、軒先のカラフルな装飾がつながり合い、Taiwan through the ages、つまり時間を超えて続いてきた台湾の物語が、静かに立ち上がってくるはずです。ハッシュタグ Taiwanthroughtheages を付けて写真や感想を共有すれば、建築を通じて見えた台湾の姿を、他の人とも分かち合うことができるでしょう。
Reference(s):
Taiwan Through the Ages: Features of Traditional Taiwan Architecture
cgtn.com








