中国のグリーン転換が加速 全国低炭素デーと省エネ週間の今
中国で2025年の国家エネルギー効率促進週間が水曜日に始まり、全国低炭素デーと重なりました。石炭火力中心だったエネルギー構造から、再生可能エネルギーを軸にしたグリーン転換へと向かう動きが、改めて国内外の注目を集めています。
約5年前に掲げたピークカーボン(排出量のピークアウト)とカーボンニュートラル(実質ゼロ)の目標を土台に、中国政府はエネルギーと産業の構造転換を加速させています。戦略的なトップレベルの設計から各分野の詳細なガイドラインに至るまで、低炭素の考え方を経済・社会のあらゆる分野に組み込む姿勢が一貫して示されています。
省エネ週間と全国低炭素デーが示すもの
今回の国家エネルギー効率促進週間と全国低炭素デーは、中国のグリーン転換を象徴的に映し出しています。かつて煙を上げていた石炭火力発電所の風景から、一面に広がる太陽光パネルの景色へ──そんな変化を国内の市民にも国際社会にも印象づける狙いがあります。
キャンペーン期間中は、省エネや低炭素な暮らし方の啓発だけでなく、最新のクリーンエネルギー技術や企業の取り組みも広く発信されます。グリーン転換を「特別なプロジェクト」ではなく、日常の選択やビジネスの前提条件として根付かせていく試みと言えます。
再生可能エネルギーで世界をリード
中国は、クリーンエネルギーへの移行で世界のリーダーとしての存在感を強めています。国際エネルギー機関(IEA)によると、2030年までに世界で新たに導入される再生可能エネルギー設備容量の約60%を中国が占める見通しです。
実際に、2024年に中国で新たに導入された発電設備容量のうち、86%が再生可能エネルギーによるものでした。また、累計の発電設備容量に占める再エネの比率も、国内全体の56%と過去最高を記録しています。
- 新規設備の86%が再生可能エネルギー(2024年)
- 累計設備のうち、再エネ比率は56%に到達
- 2030年までの世界の再エネ新設の約6割を中国が担う見通し
これらの数字は、単に発電の「量」が増えているだけでなく、電力システム全体の重心が再生可能エネルギーへと移りつつあることを示しています。
電気自動車と低炭素技術のフロントランナー
エネルギーだけでなく、モビリティや産業技術の分野でも中国の動きは加速しています。新エネルギー車(NEV、電気自動車やプラグインハイブリッドなど)の生産と販売は、10年連続で世界トップの座を維持しています。
さらに、中国は太陽光パネル、リチウム電池、二酸化炭素回収(カーボンキャプチャー)といった分野でも、世界をリードする技術拠点として台頭しています。こうした技術の高度化は、自国の脱炭素だけでなく、世界中のクリーンエネルギープロジェクトを支える基盤にもなりつつあります。
世界経済フォーラム(WEF)のエネルギー専門家であるニコラス・ワグナー氏は、新華社との書面インタビューで「中国のエネルギー転換の推進は、印象的であると同時に、世界全体にとって不可欠だ」と評価しています。
カーボン市場と政策で進む「見える化」
制度面でも、中国は低炭素社会に向けた枠組みづくりを進めてきました。2021年7月には、全国統一の炭素排出権取引市場が正式にスタートしました。これは、企業ごとに排出枠を定め、その範囲内で二酸化炭素の排出権を売買できる仕組みです。
この全国カーボン市場は、取引対象となる温室効果ガス排出量ベースで、いまや世界最大規模に成長しています。特に電力部門では、排出量の多い事業者ほどコスト負担が増えるため、効率のよい設備や再生可能エネルギーへの投資を促す効果が期待されています。
- 2021年に全国炭素排出権取引市場を公式に開始
- 対象排出量ベースで世界最大規模のカーボン市場に成長
- 電力部門の炭素排出強度は、市場開始後に8.78%低下
電力1キロワット時あたりの二酸化炭素排出量という「強度」の指標が8.78%低下したことは、単なる省エネだけでなく、電源構成の変化が進んでいることを示しています。市場メカニズムを通じて、企業の投資判断そのものをグリーン方向へ誘導しようとする試みです。
低炭素技術カタログが描く次のステージ
新しい技術開発も、グリーン転換の重要な柱です。中国は今年、第5版となる国家の重点低炭素技術カタログを公表しました。このカタログには、今後の普及が期待される技術が整理されています。
今回のカタログには、例えば次のような技術が含まれています。
- 高効率な太陽電池用の先進材料
- より発電効率の高い風力タービンの設計
- 大容量バッテリーなどのエネルギー貯蔵技術
- 水素燃料電池といった新しいエネルギーキャリア
太陽光や風力といった再生可能エネルギーは、天候によって出力が変動します。高性能バッテリーや水素などのエネルギー貯蔵技術は、その変動をならし、安定した電力供給を実現する鍵となります。中国がこうした分野に力を入れていることは、今後のエネルギーシステムの設計方針を示すものでもあります。
日本と世界はどう向き合うか
中国のグリーン転換は、中国国内にとどまらず、国際的なエネルギー市場やサプライチェーン、気候変動対策の枠組みにも影響を与えています。再生可能エネルギー設備や電気自動車、蓄電池などの分野で中国が存在感を増すなか、各国はその動きをどう位置づけ、自国の脱炭素戦略とどう組み合わせるかが問われています。
日本の読者にとっても、これは単なる「海外ニュース」ではありません。エネルギー価格、再エネ設備のコスト、電動車の普及スピードなど、日々の暮らしやビジネスに直結するテーマです。中国の政策や技術トレンドを冷静に追い、長期的な視点で自国の選択を考えることが、これからより重要になっていきそうです。
石炭から太陽光へ、排出量の「見える化」から市場メカニズムへ。2025年の全国低炭素デーと国家エネルギー効率促進週間は、中国のグリーン転換が量から質へと移りつつあることを映し出しています。その変化をどう読み解き、自分たちの社会とどうつなげていくのか。今後も継続的なフォローが必要なテーマです。
Reference(s):
China accelerates green transition amid national low-carbon week
cgtn.com








