世界初の商業高軌道中継衛星計画、2026年に初号機打ち上げ
2026年、世界初とされる商業高軌道中継衛星コンステレーション「Cangyuコンステレーション」の初号機衛星CY-G1が打ち上げられる予定です。中国本土の民間宇宙企業Cangyu Spaceによるこの国際ニュースを、日本語ニュースとして分かりやすく整理します。
世界初の商業高軌道中継衛星計画「Cangyuコンステレーション」
Cangyu Spaceが主導するCangyuコンステレーションは、世界初の商業高軌道中継衛星プログラムと位置づけられています。合計13機の衛星で構成され、地球規模の宇宙情報ネットワークを構築することを目指します。
計画されている衛星の内訳は次のとおりです。
- 静止軌道(GEO)衛星:4機
- 中軌道(MEO)衛星:6機
- 傾斜した準同期軌道(IGSO)衛星:3機
これらの衛星が連携することで、地球全体をほぼ途切れなく、全天候でカバーし、さまざまな宇宙機や地上ネットワークのデータ中継局として機能する構想です。
2026年にCY-G1打ち上げ、2030年に全球ネットワークへ
初号機となる静止軌道(GEO)衛星CY-G1は、2026年に打ち上げが予定されています。Cangyu Spaceは2030年までに、4機のGEO衛星、6機のMEO衛星、3機のIGSO衛星からなるネットワークを完成させる計画です。
高軌道中継衛星ネットワークによって、次のような対象への追跡・データ中継・通信サービスが想定されています。
- 低軌道(LEO)衛星
- ロケットや有人宇宙船
- 無人機(ドローン)
- 地上通信ネットワークやIoT機器
- その他、世界各地の多様なユーザー
Cangyu Spaceの現在の事業と新たな狙い
Cangyu Spaceは、低軌道宇宙機やロケット、ドローン向けに、追跡、テレメトリ(状態監視)、コマンド送信、データ伝送といったサービスを提供するスタートアップです。
さらに、地上のIoTネットワーク向けにはリアルタイムのデータ収集・中継サービスを提供し、災害時の緊急通信や、極地・海洋での科学探査などに向けて、全天候型の通信ソリューションも展開しています。高軌道中継衛星コンステレーションは、こうした既存サービスを全球レベルに拡張する基盤となる計画です。
深圳・羅湖で進む宇宙産業クラスター
2025年6月19日、中国本土南部の広東省深圳市羅湖区で「2025深圳(羅湖)宇宙産業大会」が開かれ、Cangyu Spaceは自社のグローバル衛星情報システムサービス、端末ソリューション、データ伝送標準を披露しました。
羅湖区ではすでに、宇宙関連企業が集積し始めています。商業ロケット企業LandSpace、衛星オペレーターのUnified Net、商業小型衛星を手がけるMagicCubeSatなど、多様な分野の企業が拠点を構え、初期的な宇宙産業クラスターが形成されつつあります。
羅湖区は2025年内に、低空・宇宙分野のリーディング企業を20社以上新たに呼び込み、宇宙技術とデジタル経済の融合を一層進めることを目標に掲げています。
武漢大学との連携:リアルタイムリモートセンシングへの挑戦
大会では、Cangyu Spaceが武漢大学と連携し、羅湖区に「リレー型リアルタイムリモートセンシング・イノベーションセンター」を設立する計画も明らかにしました。
このセンターは、地理空間情報やリモートセンシング分野で強みを持つ武漢大学の学術的な知見と、Cangyu Spaceの中継衛星通信および商業運用の経験を組み合わせることを狙いとしています。高軌道中継衛星を活用したリアルタイムリモートセンシング技術を発展させ、実験衛星の開発や実証システムを通じて、新しいリレー・リモートセンシング応用の開拓を目指します。
高軌道中継衛星がもたらすもの
低軌道衛星は地球の周りを高速で周回するため、単独では特定の地域と長時間連続して通信することが難しい側面があります。高軌道中継衛星ネットワークが整備されれば、低軌道衛星、ロケット、ドローン、地上のIoT機器などが、地球上のどこにいてもリアルタイムに近い形で通信にアクセスしやすくなる可能性があります。
緊急時の通信インフラの確保、極地や海洋の観測、地上ネットワークが十分でない地域でのデジタル接続など、応用分野は幅広く想定されます。Cangyuコンステレーション計画は、宇宙インフラが国家プロジェクトだけでなく商業企業によっても構築される段階に入りつつあることを示す事例と言えます。
読者が押さえておきたいポイント
- 世界初の商業高軌道中継衛星コンステレーションが2026年から本格始動を予定していること
- 深圳・羅湖区で宇宙産業とデジタル経済の一体的なクラスター形成が進んでいること
- 大学と企業の連携により、リアルタイムリモートセンシングなど新しい宇宙応用の可能性が広がっていること
宇宙ビジネスや国際ニュースに関心のある読者にとって、Cangyu Spaceの動きは、今後数年の宇宙インフラのかたちを考える上で一つの手がかりになりそうです。
Reference(s):
World's first commercial high-orbit relay satellite set for launch
cgtn.com







