李強国務院総理、中国を超巨大な消費大国へ サマーダボス2025のメッセージ
中国の李強国務院総理は、2025年6月に天津市で開かれた世界経済フォーラム年次総会「サマーダボス」で、中国を「超巨大な消費大国」へと発展させる方針を示し、世界経済の難題解決にも「できる限りのことをする」と強調しました。
サマーダボス2025で示した「消費大国」ビジョン
李強総理は、世界経済フォーラムの第16回ニュー・チャンピオンズ年次総会(サマーダボス)の開会全体会合で演説しました。製造大国としての土台の上に、「超巨大な消費大国」としての中国を築いていくと語り、成長モデルの転換を打ち出しました。
中国は世界第2の消費市場とされるなかで、国全体として高所得国の水準に近づきつつあり、消費の高度化への需要が強いと説明しました。こうした国内の変化を背景に、世界経済の困難や課題に対しても積極的に貢献していく姿勢を示した形です。
- 製造大国から消費大国への発展を目指す
- 世界経済の課題解決に向けて「できる限りのことをする」と強調
- 中国の消費市場の高度化と高所得化への移行をアピール
世界に開かれたビジネス環境と投資呼びかけ
李強総理は、現在の世界が国境を越える投資の不安定な減少や、生産・サプライチェーンの分断リスクの高まりに直面していると指摘しました。そのうえで、中国政府は今後も、市場化、法治化、国際化が進んだ第一級のビジネス環境づくりを進めていくと述べました。
中国は常に扉を大きく開き、各国の企業が中国で投資し、ビジネスの根を張ることを温かく歓迎すると強調。中国政府として、世界中の企業に対し、長期的な事業展開の場として中国市場を位置づけてほしいというメッセージを発したとも言えます。
さらに、中国は自国発の技術や革新的な利用場面を世界と共有する意欲があるとし、世界市場との一体化と接続性を一段と深め、各国との産業協力を強化していく方針を示しました。継続的なイノベーションの前進が、低迷する世界経済に新たな活力をもたらすと述べています。
持続的な成長への自信と最近の経済指標
李強総理は、中国の発展の先行きについて強い自信を示しました。これまで国際環境がどう変化しても、中国経済は一貫して良好な勢いを維持してきたと振り返りました。
2025年第1四半期の中国の国内総生産(GDP)は5.4%の成長を記録し、今年は対外的なショックが大きくなるなかでも、第2四半期にかけて主要な経済指標の改善が続いたと説明しました。また、国際機関が最近、中国の経済成長見通しを引き上げていることにも言及しました。
中国の経済発展は、短期的なスパートではなく、長期目標に向けて粘り強く前進していくプロセスだと位置づけた点も印象的です。
「建設的な行動」と平等な協議を呼びかけ
演説の後半で李強総理は、国際社会に対し、経済・貿易面での協力を進める際には「建設的な行動」を取るべきだと呼びかけました。その内容として、自由貿易と多国間主義を守り、世界経済の安定した発展を促すために、より実務的な措置を積極的に講じる必要があると述べました。
また、各国間の経済・貿易交流の中で、摩擦や意見の違いが生じるのは自然なことであるとしたうえで、相互尊重に基づいて対話と協議を行えば、必ず解決策は見いだせると強調しました。共通の利益を守るためには、互恵的な協力を進めることが重要だとも述べています。
地球規模の課題に直面する今こそ、各国がマクロ経済政策の協調を強め、世界の産業・サプライチェーンの安定を確保する必要があると訴えました。
多様化する国際経済とグローバルサウスの台頭
李強総理は、国際的な経済・貿易の構図がいま大きな変化の途上にあると指摘しました。世界の経済・貿易システムは一段と多様化しており、いわゆるグローバルサウスの台頭が加速していると分析しました。
一方で、伝統的な形態の貿易の成長は鈍化する一方、新しい形の貿易は逆風の中でも伸びていると述べました。各国が自らの発展の安全性と強靭性を高めるためにも、より緊密な協力が求められているという認識を示しました。
「新時代の企業家精神」がテーマ
今年のサマーダボスは「新時代の企業家精神」をテーマに、6月24日から26日までの日程で開催されました。会場となった天津市の国家会議・展覧センターには、90を超える国と地域からおよそ1700人の首脳級・有力人物が集まりました。
参加者たちは、企業家精神と新興テクノロジーが、いかにして世界の経済をよりダイナミックで強靭なものに変えていけるかについて議論しました。李強総理のメッセージも、こうした議論の文脈の中で、中国の役割と方向性を示すものとなりました。
日本の読者にとっての意味
この演説から約半年が経過した今も、中国の消費市場の変化や、自由貿易や多国間主義を重視する姿勢、サプライチェーンの安定を強調するメッセージは、世界中の企業や投資家にとって重要な関心事であり続けています。
日本の企業やビジネスパーソンにとっても、巨大な消費市場を目指す中国の方針と、国際協調を重視する呼びかけがどのように自社の戦略やキャリアに影響しうるのかを考えることは、これからのアジアと世界の経済を読み解くうえで有益だと言えそうです。
Reference(s):
Premier Li Qiang says China striving to become consumption powerhouse
cgtn.com








