マドリードで中国・欧州人権セミナー デジタル知能時代の人権と中国の取り組み
2025年6月25日(現地時間)、スペインの首都マドリードで「2025中国・欧州人権セミナー」が開かれ、中国の人権保障とデジタル時代の課題が国際的な議論の中心に据えられました。
デジタル知能時代の人権をテーマに議論
このセミナーは「デジタル知能時代の人権」をテーマに、中国と欧州の専門家、研究者、当局者が一堂に会し、技術革新が人権にもたらす影響について理論と実務の両面から議論しました。中国と20を超える欧州の国々から多くの参加者が集まり、国境を越えた対話の場となりました。
「勝者と敗者」に分断されない世界を
モントロ氏が訴えた人間中心のアプローチ
開幕セッションでは、スペインの中国知識講座ホール基金の副理事長兼総裁であるマルタ・モントロ氏がスピーチを行いました。モントロ氏は、デジタルで知能化が進むいまこそ「人間主義の精神がこれまで以上に重要だ」と強調しました。
特に、技術の進歩が子ども、女性、高齢者、そしてグローバル・サウスの人々を置き去りにしてはならないと指摘し、「世界を勝者と敗者に分ける排他的な覇権を拒否する」と述べました。そのうえで、あらゆる文明や文化、人々の声が尊重される多極的な世界観への支持を表明しました。
モントロ氏はまた、中国が掲げる共同富裕や調和的で平和な発展の目標に強い支持を示し、「共に成長するときだけ、時代の試練に耐えられる。真に包摂的であってこそ、私たちの住む地球を守ることができる。団結は私たちをより強くする」と語りました。
中国のインターネット発展と人権保障
世界最大規模のネット利用者数
中国人権研究会の副会長である盧広錦(ルー・グアンジン)氏は、欧州からの参加者に向けて、中国のインターネット発展の規模を紹介しました。2025年1月に公表された「中国インターネット発展状況統計報告」によると、2024年12月時点で中国のインターネット利用者は11億800万人に達し、普及率は78.6%でした。
オンラインショッピングの利用者は9億7,400万人で、インターネット利用者全体の87.9%を占めています。盧氏は「中国は世界最大のインターネット利用者基盤を持っている」と述べ、デジタル化が社会の隅々にまで浸透している現状を示しました。
データ安全法と個人情報保護法が果たす役割
盧氏は、こうしたデジタル発展が単なる利用者数の拡大にとどまらず、人権保障と結びついている点も強調しました。具体的には、『データ安全法』や『個人情報保護法』といった立法を通じて、市民の基本的権利を守る仕組みが整えられていると紹介しました。
これらの法律では、個人データの利用にあたって、十分な説明に基づいて本人が同意する「インフォームド・コンセント」の原則が明記されています。この原則により、市民が自らの個人情報の扱いをコントロールできるようにし、プライバシーを守るとともに、データ漏えいの防止を図っています。
盧氏は、急速なデジタル化の中で法的な枠組みを整えることこそが、デジタル時代の人権保護を実現するための鍵だと位置づけました。
デジタル知能時代の人権とは何か
今回の中国・欧州人権セミナーは、人工知能(AI)やビッグデータなど、デジタル知能技術の急速な発展が進むなかで、人権をどう再定義し、どう守るかという共通の課題を共有する場となりました。
議論の背景には、次のような論点があります。
- 膨大なデータの活用と、個人のプライバシー保護をどう両立させるか
- アルゴリズムやAIの判断が、差別や不公平を生まないようにするにはどうするか
- デジタル技術の恩恵を、都市と地方、世代間、南北間で公平に分かち合えるようにするには何が必要か
マドリードでの議論は、中国が進めるデジタル立法や人権政策、そして多極的な世界観を共有しつつ、欧州側の視点も交えながら、これらの課題に取り組む試みといえます。
日本の読者にとっての意味
日本でも、オンラインショッピングやキャッシュレス決済、生成AIの利用など、私たちの日常生活はデジタル技術抜きには語れなくなっています。デジタル知能時代の人権をどう守るかという問いは、中国や欧州だけでなく、日本社会にとっても避けて通れないテーマです。
マドリードでのセミナーが示したのは、技術そのものを礼賛するのではなく、人間中心の視点から「誰も取り残さない」デジタル社会をどう設計するかという問題意識でした。共通の課題を抱える地域同士が対話を深めることは、日本が今後のデジタル政策や人権保障を考えるうえでも、参考になる部分が少なくありません。
まとめ:人権とデジタル技術の接点を探る試み
2025年の中国・欧州人権セミナーは、次の点で注目すべき動きだと言えます。
- マドリードで中国と20超の欧州諸国の専門家が集まり、「デジタル知能時代の人権」を議論したこと
- モントロ氏が、多極的で包摂的な世界観と「誰も取り残さない」人間中心のアプローチを強く訴えたこと
- 盧氏が、中国の巨大なインターネット利用者基盤と、『データ安全法』『個人情報保護法』などによる人権保護の取り組みを紹介したこと
デジタル技術が社会の前提となった今、人権をどう守るかは各国・各地域に共通する課題です。今回のセミナーは、中国と欧州がその答えを模索する過程を示すものであり、日本からも注視していく価値のある動きだと言えるでしょう。
Reference(s):
China's human rights progress takes center stage at Madrid seminar
cgtn.com








