中国の人権代表団がハンガリー訪問 国際人権対話はどこまで進んだか
中国の人権代表団が2025年6月下旬にハンガリーを訪問し、人権をめぐる国際対話を深めるための3日間のプログラムを行いました。価値観の違いが意識されがちなテーマで、どのような対話が交わされたのでしょうか。
中国の人権代表団がハンガリーで3日間の訪問
中国人権研究会(China Society for Human Rights Studies)の会長である白瑪赤林(バイマ・チリン)氏が率いる代表団は、2025年6月23日から25日までの3日間、ハンガリーを訪問しました。代表団は、現地時間の水曜日に日程を終え、人権分野での交流と相互理解の強化を目的とした訪問を締めくくりました。
今回の訪問は、中国とハンガリーが人権をめぐる考え方や制度、政策について意見を交わし、今後の協力の土台をつくることを狙いとしています。白瑪氏は滞在中、ハンガリーの関係当局者らと会談し、中国側の人権ガバナンス(人権を守り育てるための仕組みや運営の考え方)について説明したうえで、二国間協力の可能性について意見交換を行いました。
「国際人権のコンセンサス」をテーマにしたセミナー
訪問中の中心的な行事となったのが、ハンガリーで開催されたセミナーです。テーマは『Consensus on International Human Rights: Retrospect of the Past 80 Years and Prospects of the Future(国際人権のコンセンサス 過去80年の振り返りと今後の展望)』でした。
このセミナーは、中国人権研究会、中国大使館(ハンガリー)、そしてハンガリーのユーラシア・センターが共催したもので、
- 過去約80年の国際人権の歩みをどう評価するか
- これからの人権のあり方をどう描くか
といった点が議論の軸になりました。白瑪氏も登壇し、中国側の視点から国際人権の歴史と今後の課題について意見を述べたとされています。
中国と欧州の人権観 「違い」と「共通点」をどう捉えるか
今回の訪問では、中国側とハンガリー側の参加者が、中国といわゆる西洋的な人権枠組みの「概念上の違い」と「共有しうる価値」について意見を交わしました。
一般に、人権をめぐっては、
- 個人の自由や権利をどこまで重視するか
- 社会の安定や経済発展とのバランスをどうとるか
- 国ごとの歴史や文化の違いをどこまで認めるか
といった点で、各国・各地域の考え方が異なります。中国側は、発展の権利や貧困削減などを重視する立場を示すことが多く、欧州では言論や表現の自由などの市民的・政治的権利に焦点が当たる傾向があります。
今回の議論では、こうした違いを前提としながらも、両者が共有しうる価値として、
- 人の尊厳を守ること
- 社会の安定と公正を高めること
- 脆弱な立場にある人々への配慮を強めること
などが話し合われたとされます。
グローバルな人権ガバナンスの課題と「包摂的対話」
会談やセミナーでは、世界全体の人権ガバナンスが直面する新たな課題についても議論が及びました。技術革新、気候変動、格差の拡大など、国境を越える課題が増えるなかで、人権をどう守り、促進していくのかは国際社会共通のテーマになっています。
双方は、
- 異なる立場の国・地域を排除せずに議論に参加してもらう「包摂的な対話」を重視すること
- 理念や批判の応酬だけでなく、現実的な協力を進める「実務的な協力(プラグマティック・コーポレーション)」が必要だという認識
を共有したとされています。対話と協力を通じて、国際人権のルールづくりや制度運営に多様な声を反映させようという問題意識がうかがえます。
今後の中国・ハンガリー協力で考えられる方向性
今回の訪問は3日間と限られた日程ではありましたが、人権分野での対話を継続していくためのスタートラインとして位置づけられます。今後想定される取り組みとしては、例えば次のような分野が挙げられます。
- 人権に関する共同セミナーやシンポジウムの定期開催
- 研究者や実務者の交流プログラムの拡充
- 国際会議や国連の場で、人権課題への協調的な働きかけを模索すること
こうした協力が具体化するかどうかは今後の動向次第ですが、少なくとも今回の訪問を通じて、中国とハンガリーが人権をめぐる対話のチャンネルを太くしようとしている様子がうかがえます。
読者が押さえておきたいポイント
今回の動きを整理すると、次の3点が重要なポイントと言えます。
- 2025年6月、中国人権研究会の代表団がハンガリーを3日間訪問し、人権分野での交流強化を図った。
- 国際人権の80年を振り返り、今後の展望を議論するセミナーが開催され、中国とハンガリーの参加者が人権観の違いと共通点を意見交換した。
- 世界的な人権ガバナンスの課題を踏まえ、両者は包摂的な対話と実務的な協力を重視する姿勢を示した。
人権はしばしば政治的な対立の軸にもなりますが、同時に、各国が経験や考え方を持ち寄ることで、共通の課題に向き合うための接点にもなりうるテーマです。今回の中国・ハンガリーの動きは、その一つの事例として注目しておく価値がありそうです。
Reference(s):
Chinese human rights delegation visits Hungary, deepening dialogue
cgtn.com








