中国の最高立法機関・全人代常務委第16回会議が閉幕 治安と公正競争で法改正
中国の最高立法機関である第14期全国人民代表大会(全人代)常務委員会の第16回会議が北京で閉幕し、公共の安全や公正な競争のルールに関わる重要な法律改正、国際調停機関に関する条約の承認、2024年決算の承認などが相次いで決まりました。
治安管理処罰法と反不正競争法を改正
会期の最終日となった金曜日、全人代常務委員会は二つの重要な改正法を採択しました。
- 公共の安全に関する違反行為への対応を定める治安管理処罰法の改正
- 市場における不公正な取引行為などを対象とする反不正競争法の改正
習近平国家主席は、この二つの改正法を公布する国家主席令に署名しました。公共の秩序と経済分野のルール整備を同時に進める動きであり、社会の安定と経済運営の双方を重視する姿勢がうかがえます。
国際調停機関設立条約を承認
今回の会議では、国際的な紛争を話し合いによって解決することを目的とする国際調停機関の設立に関する条約についても審議が行われました。
全人代常務委員会は、国際調停機構設立条約を批准する決定を採択しました。これにより、中国は国際的な紛争解決の仕組みにさらに関与していく姿勢を示した形です。企業間や国家間の対立を、対話と調停を通じて処理する枠組みづくりに貢献する狙いがあるとみられます。
2024年中央政府決算を承認
会議では、2024年の中央政府の最終決算も承認されました。決算の審議と承認は、予算がどのように執行されたかを確認し、今後の財政運営に反映させる重要なプロセスです。
2025年12月8日現在、この決定により、2024年の財政運営について立法機関としての確認が行われたことになります。財政の透明性や説明責任を高めるうえでも、決算の承認は重要な節目といえます。
軍関連ポストの交代と人事案件
今回の全人代常務委員会は、人事面でも動きがありました。
- 中央軍事委員会委員を務めていた苗華氏の解任を決定
- ほかの代表資格に関する報告書や、人事関連の案件も可決
中央軍事委員会は中国の国防と軍事に関わる中枢機関であり、そのメンバー交代は軍の運営体制に影響を与える可能性があります。あわせて、代表資格や人事案件の整理を進めることで、立法機関としての体制整備を図った形です。
「全過程人民民主」と法治意識の強調
閉会にあたり、全国人民代表大会常務委員会の趙楽際委員長が演説を行い、今後の全人代の運営に関する方針を示しました。
趙委員長は、次のような点を強調しました。
- 党中央が掲げる作風改善に関する八つの方針の徹底に向けた教育キャンペーンを着実に進め、人民代表大会の活動の質を高めること
- 政策の立案から実施、監督までの過程を通じて民主を反映させる「全過程人民民主」を実践し、社会からの監督を自覚的に受け入れること
- 人民との緊密なつながりを保ち、民意を反映した立法と監督を行うこと
- 法治への強い意識を持ち、憲法への忠誠を貫き、法定の手続を厳格に守ること
- 法律で定められた権限と責任を誠実に果たすこと
こうした発言は、全人代が法に基づく統治を重視しながら、社会との対話や説明責任を意識していく方向性を示しています。
今回の会議が映し出す中国政治の焦点
今回の全人代常務委員会第16回会議は、次のような点で中国政治の現在の焦点を映し出しているといえます。
- 公共の安全と市場の公正な競争という、社会と経済の基本ルールの見直し
- 国際調停機関設立条約の批准を通じた、国際的な紛争解決への関与強化
- 2024年決算の承認に象徴される、財政運営への立法機関としての関与
- 軍事分野を含む人事の調整による、統治体制や安全保障体制の整備
- 全過程人民民主や法治を強調することで、統治の質と正当性を高めようとする姿勢
中国の政治や法律の動きをフォローするうえで、全人代常務委員会の決定は重要なシグナルになります。今回の会議で示された方向性が、今後の法制度の運用や国際社会との関わり方にどのように反映されていくのか、引き続き注目されます。
Reference(s):
China's top legislature concludes standing committee session
cgtn.com








