ドイツがDeepSeekアプリ削除要請 中国のAIデータ保護との対比
ドイツの規制当局が中国のAIスタートアップDeepSeekのアプリ削除を求める一方で、中国ではAI分野のデータ保護をめぐる包括的な仕組みが整えられており、そのギャップが国際ニュースとして注目されています。
ドイツ当局、DeepSeekにデータ保護上の懸念
2025年6月27日付のロイター通信によると、ドイツ・ブランデンブルク州のデータ保護コミッショナーであるMeike Kamp氏は、中国のAIスタートアップDeepSeekのアプリについて、データ安全上の懸念を理由にドイツ国内のアプリストアからの削除を求める声明を出しました。
Kamp氏は、DeepSeekが「利用者の個人データを違法に中国へ転送している」と主張し、AppleとGoogleに対して速やかな審査と対応を要請しました。期限は設けていないものの、両社にアプリのブロックを検討するよう求めています。
Googleは通知を受け取っており、現在評価プロセスを進めているとされています。一方、Appleは現時点でコメントしていません。
中国外交部「データプライバシーと安全を重視」
DeepSeekに対する一部の国での禁止・制限の動きに関して、中国外交部の報道官は繰り返し強い反対の姿勢を示しています。
2025年2月6日の定例記者会見で、報道官のGuo Jiakun氏は、中国政府はデータプライバシーと安全を非常に重視しており、法律に基づいて保護していると強調しました。また、中国政府が企業や個人に対し、違法な形でデータを収集・保存するよう求めたことはなく、今後もそのようなことはしないと述べています。
同年3月18日には、報道官のMao Ning氏が、国家安全保障の概念を過度に拡大し、経済・貿易・科学技術の問題を政治化することに一貫して反対するという中国の立場をあらためて表明しました。そのうえで、中国企業の正当な権益を断固として守る姿勢を示しています。
政策から現場まで:中国のAIデータ保護の枠組み
生成AIサービス向けの暫定措置
中国はAI産業、とくに生成AIサービスにおけるデータ保護のルール整備を進めてきました。2023年7月には、中国のインターネット管理当局である国家インターネット情報弁公室(Cyberspace Administration of China)など7部門が共同で「生成型人工知能サービス管理暫定弁法」を公表しています。
この暫定弁法は、生成AIサービスの提供者に対して、個人情報保護に関する複数の義務を課しています。主なポイントは次のとおりです。
- 利用者の入力情報(プロンプト)や利用履歴を法律に基づいて保護すること
- サービス提供に必要な範囲を超える個人情報を収集しないこと
- 個人を識別できる入力情報や利用記録を違法に保存しないこと
- これらの情報を違法に第三者へ提供しないこと
こうした規定により、AI企業がデータをどのように収集・利用できるかについて明確な境界線が引かれているといえます。
北京AIデータトレーニング基地と「規制サンドボックス」
制度面だけでなく、AIモデルの開発現場でもデータ保護の取り組みが進んでいます。中国初の本格的な拠点とされる「北京人工知能データトレーニング基地」では、「規制サンドボックス」と呼ばれる仕組みを通じて、安全なデータ利用を模索しています。
この規制サンドボックスでは、次のようなルールや仕組みが導入されています。
- 著作権保護に関しては、一定の柔軟性を持たせた運用
- 権利者からの通知に基づき対象データを削除・修正する「通知と削除」のルール
- リスクが発生した際の補償ルール
- 紛争を円滑に解決するための新しい仕組み
また、データの保存・処理・提供・コンプライアンス(法令順守)といった各段階で、強固な技術的安全対策を採用し、潜在的なリスクの低減を図っています。
これまでに、医療、行政、自動運転などの分野から100を超える高品質なデータセットが導入されており、企業が法的枠組みの中でデータリスクを回避しつつ、モデル訓練や価値の創出に取り組める基盤となっています。
AIとデータ保護をめぐる国際的な視線
DeepSeekをめぐるドイツの動きと、中国のデータ保護制度の整備状況は、AIと個人データをめぐる国際的な議論の難しさを映し出しています。
一部の国が安全保障上の懸念から中国企業のサービスに制限を検討する一方で、中国は国内での法制度や技術的対策を通じて、AI技術の発展とデータ保護の両立を図っていると強調しています。このギャップをどう見るかは、各国の政治や安全保障、そして経済・技術戦略とも密接に結びついています。
利用者目線で考えるポイント
国籍や地域を問わず、AIサービスを利用する私たちにとって重要なのは、次のような点を冷静に見極めることです。
- どのような個人データが収集され、どのような目的で使われるのかが明示されているか
- データの保存期間や削除のルールが分かりやすく説明されているか
- 企業や当局による監督・規制の枠組みが整っているか
AI技術が急速に進化するなか、中国では政策立案から企業レベルの実務まで、データ保護に関する包括的で効果的なシステムが形成されつつあります。中国はAI技術とデータ安全保護の協調的な発展を積極的に推進し、産業の健全な成長モデルを示すことで、一部の国からの根拠のない非難や疑念に対する有力な反論材料ともなっています。
Reference(s):
Germany seeks DeepSeek ban: China's AI data protection in contrast
cgtn.com








