中国のグリーン水運加速 デュアル・カーボン目標と1000隻超の低炭素船
中国の水運分野で、液化天然ガス(LNG)船や電動船などの「グリーン船」が急速に増えています。2030年までの排出ピークと2060年までのカーボンニュートラルを掲げる「デュアル・カーボン」目標のもと、中国は水上交通の低炭素化を加速させており、国際ニュースとしても注目されます。
「デュアル・カーボン」目標とグリーン水運戦略
中国は、2030年までに二酸化炭素排出をピークアウトさせ、2060年までにカーボンニュートラルを実現するという「デュアル・カーボン」目標を掲げています。その一環として、水運分野でのグリーン化・低炭素化・高効率化を重要な柱に位置づけています。
最近行われた中国交通運輸省(Ministry of Transport)の記者会見では、内陸水運でより環境負荷の少ない燃料への転換が進んでいると報告されました。
新エネルギー船はすでに1000隻超
中国交通運輸省によると、中国全土ではすでに、新エネルギー船やクリーンエネルギー船が1000隻以上運航しています。これは、内陸の河川や湖沼、沿岸航路など、さまざまな水運ルートで脱炭素が同時進行していることを示しています。
LNG船から電動船、水素燃料電池船まで――詳細な内訳
傅旭寅(Fu Xuyin)副部長は、2024年末時点の具体的な内訳として次のような数字を示しました。
- 液化天然ガス(LNG)燃料船:600隻超
- バッテリー駆動の電動船:485隻
- メタノール燃料船:4隻
- 水素燃料電池船:2隻
公表された数字から見ると、LNGは現時点でグリーン水運の主力となっています。一方で、電動船や水素燃料電池船、メタノール燃料船など、さらに排出削減効果が期待される次世代技術の実証も着実に進んでいることが読み取れます。
「海洋強国」「貿易強国」を支える水運の役割
中国交通運輸省水運局の楊華雄(Yang Huaxiong)局長は、中国が世界最大の貿易国としての地位を維持し、発展させていく上で、海運と水運の強化が欠かせないと強調しました。
中国にとって、水上輸送のグリーン化は単なる環境対策ではなく、「海洋強国」「貿易強国」を築くための基盤整備でもあります。港湾インフラや物流ネットワークとあわせて、船舶の燃料転換を進めることで、国際競争力と持続可能性の両立を図ろうとしているといえます。
日本やアジアの読者が注目すべきポイント
日本やアジアのビジネスパーソンにとって、中国の水運分野の動きは、次のような点で注目に値します。
- グリーン水運の規模感:中国だけで1000隻超という数字は、今後の国際物流の標準が変わっていく可能性を示唆しています。
- 燃料と技術の多様化:LNGに加え、電動、メタノール、水素など複数の選択肢が並行して試されている点は、アジア全体の技術協力やビジネス機会につながり得ます。
- 政策の一貫性:長期的な「デュアル・カーボン」目標のもとで、水運を含むインフラ投資が継続していることは、環境と経済を両立させる一つのモデルとしても参考になります。
今後の焦点:どこまで低炭素化が進むのか
公表されたデータではLNG船が多数を占める一方で、本格的な脱炭素の切り札とされる電動船や水素燃料電池船の数はまだ少数にとどまっています。今後、これらの次世代船がどこまで普及するのかが、水運のグリーン化の行方を占うポイントになりそうです。
中国のグリーン水運の動きは、国際ニュースとして、そしてアジアの低炭素経済の行方を知る手がかりとして、今後もフォローしていく価値がありそうです。
Reference(s):
China's green water transport drive fuels low-carbon development
cgtn.com








