AIが織りなす中国の無形文化遺産:成都・蜀錦工房の挑戦 video poster
AI技術が、中国の無形文化遺産をどう守り、そして世界へ届けているのか――中国南西部・四川省成都市の工房で進む取り組みは、伝統工芸と最先端テクノロジーを結びつける国際ニュースとして注目されています。
AIが支える中国の無形文化遺産
中国では、何千年もの歴史を持つ伝統工芸が無形文化遺産として受け継がれています。最近はAI(人工知能)技術が、その保存と継承を支え、世界の人々が新しい形で出会えるようにする役割を担い始めています。
成都・Shujing Hallで進むデジタル化
その一つが、中国南西部・四川省成都市の観光地「Jinmen Scenic Area」にあるShujing Hallです。ここでは、職人たちが毎日、蜀錦(しょくきん)と蜀繍(しょくしゅう)という無形文化遺産の技法を用いて、手工芸品づくりに取り組んでいます。
2016年から現在まで、Sichuan Shujin Communication Co., Ltd.のディレクターでありShujing Hallの責任者でもあるZhong Ming氏は、チームとともにAIによるデジタル画像処理の活用を探ってきました。
この技術では、顧客が指定した画像データをAIがデザイン画に変換し、そのデザインにもとづいて機械が蜀錦の生地を織り上げ、最後に刺繍職人が生地の上に手仕事を加えます。
- 顧客が好みの写真や画像を選ぶ
- AIが画像をもとに柄のデザイン案を生成
- 機械が蜀錦の生地を自動で織る
- 職人が刺繍で細部を仕上げる
AIでスピードと個性を両立
こうしたAIによるデザイン技術の導入により、柄のデザインにかかる時間は大幅に短縮されました。同時に、一つ一つの作品の「唯一性」、つまり他にはない一点ものとしての価値も保たれているといいます。
「見る側」から「つくる側」へ 顧客が共創者に
Zhong Ming氏は、AIを活用した蜀錦と刺繍は、市場のニーズに対する自分たちなりの答えであり、伝統的な手工芸の表現の幅を広げ、消費者を共創者へと変え、蜀繍を何千という家庭に届けることにつながっていると説明します。
このアプローチによって、蜀錦のデザイン期間は短くなり、刺繍や織物を一人一人の好みに合わせてパーソナライズすることが可能になりました。制作のプロセスに顧客自身が関わることで、人々は作品を眺めるだけの見物人から、一緒につくる参加者へと変わっていきます。
- デザイン期間の大幅な短縮
- 顧客ごとに異なるオーダーメイドの図案
- 制作プロセスへの参加による新しい体験
テクノロジーと伝統をつなぐ新しいモデル
中国の無形文化遺産である蜀錦や蜀繍とAI技術の組み合わせは、単に効率を高めるだけでなく、伝統工芸のあり方そのものを問い直す試みでもあります。職人の技とデジタル技術が補い合うことで、長い歴史を持つ工芸が、現代の市場や生活スタイルの中で新たな居場所を見つけつつあることが伝わってきます。
AIが文化や芸術の分野に入り込んでいく流れの中で、成都のShujing Hallのような現場は、テクノロジーを伝統の敵ではなくパートナーとして生かす具体的なヒントを示していると言えます。読者のみなさんは、こうした変化を、文化の継承にどのような可能性をもたらすものとして捉えるでしょうか。
Reference(s):
AI weaves a new future for intangible cultural heritage in China
cgtn.com








