上海アジアブレイキン選手権 16歳郭璞がユース&成人2冠、日本のシゲキックスもV video poster
この週末、中国・上海市で開かれた世界ダンススポーツ連盟(WDSF)アジア・ブレイキン選手権で、16歳の中国のBガール郭璞(グオ・プー、ステージネーム:B-Girl Royal)がユースと成人の2部門を制覇しました。男子では、日本の中来滋之(なからい・しげゆき、B-Boy Shigekix)が優勝し、中国と日本のブレイキン・シーンの拮抗した実力が改めて示される大会となりました。
上海で開かれたアジア最高峰のブレイキン大会
WDSFアジア・ブレイキン選手権は、アジア地域でトップレベルのBボーイ、Bガールが集うハイレベルな国際大会です。今大会は中国・上海市で開催され、男女それぞれユース(若年層)と成人のカテゴリーで熱戦が繰り広げられました。
シニア(成人)部門の準決勝に進んだ男女8人全員が中国と日本の選手という構図となり、アジアのブレイキンをけん引する2つの国のライバル関係がより鮮明になりました。
16歳B-Girl Royalがユース&成人2冠の快挙
最も強いインパクトを残したのが、中国の16歳・郭璞です。ステージネームのB-Girl Royalとして出場した彼女は、ユース部門と成人部門の両方で頂点に立ち、わずか2日間で2つのタイトルを手にしました。
女子成人準決勝では、同じ中国のB-Girlであり、パリ五輪で銅メダルを獲得した劉清漪(Liu Qingyi/B-Girl 671)との対戦を制し、決勝へ進出。決勝では日本の津波古莉子(Riko Tsuhako/B-Girl Riko)と対戦し、クリーンなムーブと音楽性、堂々としたステージングで大差の勝利を収めました。
郭は「今日のバトルは昨日よりもさらにタフに感じました。でも、今回は本当に自分のために踊ることができました。リラックスして、楽しみながら自分を表現することに集中できました。これからも国を代表して、もっと国際舞台に立てたらうれしいです」と語り、自分のスタイルを出し切れた手応えと、今後の抱負を口にしています。
前日には女子ユース部門の決勝で、日本の山田陽世(Hiyo Yamada/B-Girl Hiyo)を相手に、3ラウンドすべてで審判の満場一致の支持を集めて優勝しており、週末を通じて「ユース+成人」の完全制覇を達成しました。
女子のメダル争い:実力者が激突
- 女子ユース優勝:郭璞(B-Girl Royal、中国)
- 女子ユース決勝の相手:山田陽世(B-Girl Hiyo、日本)
- 女子成人優勝:郭璞(B-Girl Royal、中国)
- 女子成人準優勝:津波古莉子(B-Girl Riko、日本)
- 女子成人3位決定戦勝利:劉清漪(B-Girl 671、中国)※日本のB-Girl Ayaneとの対戦
経験豊富な実力者たちが揃う中で、10代の郭が堂々とタイトルをさらっていった構図は、「ポスト五輪」時代の新世代スター誕生を印象づける結果となりました。
男子はシゲキックスが貫禄の優勝
男子部門では、日本の中来滋之(B-Boy Shigekix)が安定した強さを見せ、優勝を果たしました。杭州アジア大会の金メダリストでもある中来は、今大会でもノックアウトラウンドを通じて高い完成度のパフォーマンスを維持しました。
中国勢は、戚祥宇(Qi Xiangyu/B-Boy Lithe-ing)、王瑞淼(Wang Ruimiao/B-Boy MonkeyZ)、尚孝宇(Shang Xiaoyu/B-Boy X-rain)の3人がベスト4に進出。準決勝では中来が王を3-0で下し、決勝では戚に対しても3-0のスコアで勝利しました。
中来は「スコアだけ見ると一方的に見えるかもしれませんが、どちらの試合も本当にタフでした。中国のBボーイたちはここ数年で驚くほどレベルアップしています。彼らとのバトルは自分を押し上げてくれる存在であり、単なるライバルではなく、一緒に成長していく“仲間”でもあります」と語り、激しい競争の中にある相互のリスペクトと協力関係を強調しました。
中国と日本が独占した準決勝
大会の特徴的な点は、男女ともに準決勝進出選手8人全員が中国と日本の出身だったことです。女子では郭、劉、津波古、B-Girl Ayaneらが、男子では中来と3人の中国選手が入り、アジアのブレイキンがこの2カ国を中心に急速にレベルアップしている様子がうかがえます。
中来の妹であるB-Girl Ayaneも女子成人部門でベスト4に進出しており、兄妹でアジアトップクラスの舞台を経験する形になりました。中来は、妹の存在が自身が幼い頃にブレイキンを始める大きなきっかけになったと振り返っています。
敗れた選手も次への課題を言語化
男子決勝で中来に敗れた戚祥宇は、試合後、「タイトル獲得を目指して来ていたので、毎ラウンドでプレッシャーを感じていました。決勝ではスピード、パワー、精度、ムーブの明確さの面で差を感じました。これらが、これから重点的に取り組むべき課題です」と語りました。
自分の弱点を具体的に言葉にし、次のステップに結びつけようとする姿勢は、トップアスリートの共通点でもあります。郭や中来と同様、敗れた選手たちもすでに「次のバトル」を見据えていることがうかがえます。
ポスト五輪世代が示すメンタリティ
今大会で印象的だったのは、技術だけでなく「心の持ち方」を語る選手の言葉でした。郭は「リラックスして、自分のために踊る」ことを強調し、中来は激しい競争の中にも「一緒に成長する仲間」としてライバルをとらえています。
こうした姿勢は、五輪種目にも採用されたブレイキンが、単なる勝ち負けだけでなく、自己表現や相互のリスペクトを重んじるカルチャーであることを改めて示しています。アジア発のストリートカルチャーが国境を越えて広がる中で、若い世代のメンタリティは今後の国際シーンにも大きな影響を与えていきそうです。
なぜこのニュースが重要なのか
今回のアジア・ブレイキン選手権は、次のような点で注目に値します。
- 16歳の郭璞がユース&成人2冠を達成し、「ポスト五輪」世代の新星として台頭したこと
- 男子で日本のシゲキックスが優勝し、中国勢との高いレベルの競り合いが続いていること
- 準決勝進出者が全員中国と日本の選手で、アジアの競技レベルの高さと厚みが際立ったこと
- 選手たちのコメントから、勝敗を超えたリスペクトと「ともに強くなる」という価値観が見えたこと
国際ニュースとしての結果だけでなく、アジアの若いダンサーたちがどのような価値観で競い合い、支え合っているのかを知ることで、ブレイキンというカルチャーや、これからのスポーツのあり方について考えるきっかけにもなりそうです。
今後、郭璞や中来滋之、劉清漪らアジアのトップダンサーたちが、どのように世界のステージで存在感を示していくのか。引き続き注目していきたいところです。
Reference(s):
Chinese B-Girl Guo Pu sweeps youth and adult Asian breaking titles
cgtn.com








