中国NHC、WHO専門家パネルの新型コロナ起源報告の一部に不同意
中国国家衛生健康委員会(NHC)は、世界保健機関(WHO)の専門家パネルがまとめた新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の起源に関する報告書の一部について、受け入れられないとの立場を示しました。この国際ニュースは、パンデミックをめぐる科学的評価と国際政治のせめぎ合いが続いていることを改めて浮き彫りにしています。
WHO諮問グループSAGOとは
WHOの新興病原体起源に関する科学諮問グループ(SAGO)は、新たな病原体の起源を評価するための専門家パネルです。SAGOは6月27日に、新型コロナの原因ウイルスであるSARS-CoV-2の起源に関する報告書を公表しました。
NHC「新たな証拠も、共同研究と矛盾もない」と主張
NHCは声明で、SAGOによる今回の独立評価について、SARS-CoV-2の起源に関する新たな証拠は見いだしておらず、世界保健機関が2021年3月に公表したWHOと中国による合同研究報告書と矛盾する結論も示していないと指摘しました。
この共同報告書は、WHOと中国側の専門家が協力して取りまとめたもので、新型コロナの起源について複数の仮説を評価したとされています。NHCは、SAGOの評価結果はこの共同研究の枠組みを否定するものではないとの見方を強調しました。
一部内容に強い異議 主観的推測に基づく誤情報と批判
一方でNHCは、SAGO報告書には受け入れられない部分が含まれていると強く批判しています。
- 特定の国や個人による操作や影響を受けている
- 主観的な推測に基づく誤った情報が盛り込まれている
- 中国に対して根拠のない要求を突きつけている
NHCは、こうした内容が報告書の科学的な妥当性や信頼性を深刻に損なっていると主張し、中国として受け入れることはできず、国際的な科学コミュニティにとっても容認できないとしています。
中国側「データは惜しみなく共有」と説明
NHCは、SARS-CoV-2の起源追跡に関連するデータや情報について、中国は惜しみなく共有してきたとも説明しました。
具体的には、新型コロナの予防・抑制と起源追跡に関する中国の行動と立場と題する文書が4月30日に公表されており、その中で中国側が提供してきた情報や取り組みが整理されているとしています。
科学と国際政治が交差する起源問題
ウイルスの起源を科学的に解明することは、将来の感染症対策を考えるうえで重要ですが、国際機関の評価と各国の受け止め方が食い違うケースも少なくありません。
今回のNHCの反応は、次のような論点を改めて投げかけています。
- 科学的評価の独立性と、各国の政治的思惑をどう切り分けるか
- 起源調査におけるデータ共有や現地調査の条件をどう設計するか
- 報告書の表現や勧告が、特定の国に対する圧力と受け止められないようにするには何が必要か
これから注目したいポイント
SAGOの報告書とNHCの声明をめぐる議論は、新型コロナの起源解明が今も国際的なテーマであり続けていることを示しています。今後、次の点に注目が集まりそうです。
- WHOと中国を含む各国の専門家が、どのような形で対話を続けていくのか
- 新たな科学的データが提示された場合、既存の評価や結論がどのように更新されるのか
- 将来の新興感染症に対する国際的な起源調査の枠組みづくりに、この経験がどう生かされるのか
新型コロナの起源をめぐる議論は、単に過去を検証する作業ではなく、次のパンデミックを防ぐための準備でもあります。感情的な対立ではなく、データと科学的議論に基づいた協力のあり方が、今後も問われていきそうです。
Reference(s):
China's NHC denies part of WHO panel's assessment on COVID-19 origins
cgtn.com








