習近平氏、統一市場と海洋経済の高度化を指示 中国経済政策の新たな軸
2025年に中国で開かれた中央財経委員会(CCFEA)の会議で、習近平国家主席は、国内の統一された全国市場づくりと海洋経済の高品質な発展を、今後の中国経済をけん引する重要なテーマとして強調しました。世界経済の大きなプレーヤーである中国の動きは、日本やアジアのビジネスにも少なからず影響を与えます。
統一された全国市場づくりを加速
会議では、習近平氏が掲げる新たな発展パターンを実現し、高品質な成長を続けるためには、全国でルールや制度がそろった統一市場を築くことが不可欠だと指摘されました。
その前提として、次のような分野での統一が必要だとされています。
- 市場を支える基本的な制度やルール
- 物流・情報網などの市場インフラ
- 中央と地方を含む政府の行動基準
- 規制の執行や監督のあり方
- 労働力・資金・土地・エネルギーなど生産要素や資源の市場
- 国内外への開放を一体的に進める仕組み
これらをバラバラではなく全国レベルで調整し、部門や地域をまたいで相乗効果を高めていくことが強調されました。
価格競争や政府調達のルールを整理
中央財経委員会は、統一市場づくりの具体的な方向性として、企業や地方政府の行動ルールをより明確にする必要があると指摘しました。
特に、次のような課題への対応が挙げられています。
- 法律や規則に基づき、行き過ぎた値下げ競争などの無秩序な価格競争を是正すること
- 政府調達や入札・落札のプロセスを標準化し、透明性と公正性を高めること
- 地方政府による企業誘致の手法を整理し、過度な優遇競争を防ぐこと
- 輸出向けに生産された製品が、国内市場でも円滑に販売できるよう支援すること
こうした取り組みを通じて、企業が全国どこでも共通のルールのもとで活動しやすくなり、市場の一体性と予見可能性を高める狙いがあります。
財政・統計・信用システムもアップデート
会議では、制度面の整備も欠かせないとされました。統一市場を支える基盤として、次の分野の改善が求められています。
- 財政・税制の仕組みを見直し、成長と分配のバランスを取りやすくすること
- 統計や会計の制度を整え、地域間や業種間でデータを比較しやすくすること
- 企業や個人の信用情報システムを改善し、資金の循環をスムーズにすること
- 高品質な発展をどう評価するかという指標や、幹部の業績評価の仕組みを洗練させること
単に成長率を追うのではなく、質の高さや持続可能性をどう測るかが、中国にとって重要なテーマになっていることがうかがえます。
中国式モダナイゼーションと海洋経済
習近平氏はまた、中国式の現代化を進めるうえで、海洋経済の高品質な発展が不可欠だと強調しました。海洋資源を活用して国の力を高める中国の道を切り開くことが掲げられています。
会議では、海洋経済をめぐって次のような方向性が示されました。
- 技術革新を原動力とする成長へのシフト
- 関連部門や地域の連携を高める効率的なコーディネーション
- 産業の高度化や新しい海洋産業の育成
- 人と海の調和を重視した開発と保護
- 他国とのウィンウィンの協力関係の構築
単に海の資源を開発するだけでなく、環境保護や国際協力も含めた総合的なアプローチが意識されていることがわかります。
技術革新・エコ保護・国際協力がキーワード
中央財経委員会の議論では、具体的な重点として次の点が挙げられました。
- 海洋科学技術のイノベーション能力を高めること
- 既存の海洋関連産業を強化・最適化し、新たな分野も含めて産業規模を拡大すること
- 海洋生態系の保護を一段と強化すること
- 海洋科学研究や災害の予防・軽減、ブルーエコノミー(海洋資源を持続的に活用する経済)の分野で、世界との協力を進めること
政策面での支援を増やし、民間資本の参入も積極的に促す方針が示されているため、今後は海洋関連の技術や産業で、新たな投資機会や協力プロジェクトが広がる可能性があります。
なぜ今、統一市場と海洋なのか
今回の方針の背景には、広大な国内市場をより効率的に活用しつつ、外部環境の変化にも対応できる経済構造をつくるという狙いがあると見られます。
統一された全国市場が整えば、企業は地域ごとに異なるルールへの対応コストを抑え、イノベーションや設備投資により多くの資源を振り向けやすくなります。また、海洋経済の高度化は、エネルギー、物流、食料、環境といった幅広い分野に関わるテーマであり、中国の長期的な発展戦略と結びついています。
日本やアジアへの含意
日本やアジアの企業・研究機関にとっても、中国の統一市場づくりと海洋経済戦略は無関係ではありません。
例えば、政府調達や入札プロセスの標準化が進めば、中国市場で事業を行う企業にとってルールがより明確になり、ビジネス環境の予見可能性が高まることが期待されます。
また、海洋科学研究や災害対策、ブルーエコノミーでの国際協力が進めば、日中間やアジアの国々との共同研究、技術交流、新しいビジネスモデルの創出など、多様な連携の可能性が広がる余地があります。
今後の注目ポイント
今回の中央財経委員会には、李強氏や蔡奇氏、丁薛祥氏など中国指導部の主要メンバーも出席しており、統一市場と海洋経済が今後の政策運営の重要テーマであることがうかがえます。
今後、次のような点に注目していくと、政策の具体像が見えやすくなります。
- 各地域で、統一市場に向けた制度やルールの調整がどのように進むか
- 海洋科学技術や産業育成に関する具体的な支援策やプロジェクトがどの程度打ち出されるか
- 海洋環境の保護や災害予防で、どのような国際協力の枠組みが構築されるか
- 民間資本の参加を促すための仕組みがどのように設計されるか
中国経済の方向性を読み解くうえで、統一された全国市場と海洋経済の高品質な発展は、今後しばらくキーワードとして押さえておきたいテーマと言えそうです。
Reference(s):
President Xi calls for unified market, high-quality marine economy
cgtn.com








