新疆・若羌県の紅いナツメ、0.2元にかける農家の攻防と未来 video poster
新疆ウイグル自治区・若羌県の小さな村で、たった0.2元の価格差をめぐる静かな攻防が続いています。赤く熟したナツメ(デーツ)の実は、農家の1年の努力と、村の未来への期待を背負っています。
新疆・若羌県の果樹園で起きていること
若羌県のグレ・アイルク村(Gule Airike Village)の果樹園では、枝もたわむほどの赤いナツメが実り、収穫シーズンの空気は甘い香りで満たされています。農家や商人が行き交い、トラックが出入りするにぎやかな風景の裏側で、価格交渉というもう一つの「仕事」が進んでいます。
村長の賈輝(ジャ・フイ)さんは、買い手と8.3元にするか8.5元にするか、わずか0.2元の違いをめぐって粘り強く交渉しています。この差は一見すると小さく感じられますが、収穫量が多い村全体では、合計で数千元もの収入の違いにつながります。数字の上では0.2という小さな差でも、農家にとっては1年の働きに見合う対価を守るための大きな戦いなのです。
なぜ若羌のナツメは特別なのか
若羌のナツメが評価されている理由は、その品質の高さにあります。果肉が厚く、味わいが濃く、糖度(甘さ)が高いのが特徴です。かむとしっかりとした食感があり、後味はすっきりとしながらもコクが残ります。
こうした味を生み出しているのが、現地の気候条件です。長い日照時間と、昼夜の大きな寒暖差があることで、ナツメの実にゆっくりと糖分が蓄えられます。その結果、香りが豊かで、ほかの産地と比べても負けない個性を持ったナツメが育つとされています。
0.2元に込められた暮らしと未来
1粒のナツメは、農家の手間と時間の積み重ねの結果です。剪定(せんてい)、灌漑(かんがい)、害虫対策、収穫、選別――どの工程にも人の手と経験が欠かせません。その積み重ねが、最終的には「1キロいくら」というシンプルな価格に置き換えられます。
だからこそ、賈さんがこだわる0.2元の差には、村人たちの生活が重なっています。子どもの学費、家の修繕費、新しい農機具への投資など、価格交渉の背後には具体的な暮らしのイメージがあります。農家にとって、今年の収穫価格は、来年以降の挑戦にも直結する指標なのです。
数字だけでは語れないナツメの物語
このナツメの物語は、単に「何元で売れたか」という数字の話ではありません。畑に立つ農家の姿、実の状態を一つひとつ確かめる手つき、早朝から続く収穫作業。それらすべてが、1袋のナツメとその値札の裏側にあります。
村の人々にとって、今年の収入は単なる売上ではなく、「来年はもっと良い実をつくろう」という意欲や、「子どもたちにはさらに良い教育を受けさせたい」という思いと結びついています。1粒の実は、それ自体が小さな希望のかたまりだと言えるかもしれません。
ローカルから広がる可能性
若羌県のナツメは、今は主に地域の市場や取引を通じて価値を生んでいますが、その品質やストーリーには、より広い世界へと広がる可能性も秘められています。産地ならではの味と気候、農家の技と工夫をしっかりと伝えることができれば、単なる農産物としてだけでなく、「物語のある食べ物」として受け止められる余地があります。
特に、消費者が「どこで、誰が、どのようにつくったのか」に関心を持つようになっている今、若羌のナツメのように、産地の顔が見える農産物は注目を集めやすくなっています。グレ・アイルク村の果樹園での静かな価格交渉も、見方を変えれば、地域の名前をどのように世の中に届けていくかという挑戦の一場面だと捉えられます。
「甘さ」の先に見えるもの
枝いっぱいに実る赤いナツメ、畑に広がる甘い香り、0.2元をめぐる慎重な交渉。そのすべては、農家の1年分の努力と、より良い暮らしへの静かな決意の表れです。
若羌のナツメがこれからどこまで知られるようになるのか、どんな形で世界の食卓に近づいていくのかは、まだ分かりません。ただ一つ言えるのは、グレ・アイルク村の果樹園で生まれる1粒1粒の実に、すでに豊かな物語と未来への可能性が詰まっているということです。
新疆の小さな村から生まれるこの「甘さ」が、これからどのようなつながりと変化をもたらすのか。今後の動きにも注目していきたいところです。
Reference(s):
cgtn.com








