中国アニメ『リンククリック』がミュージカルに 上海発500回超のロングラン video poster
中国アニメを原作とする舞台作品が、いま静かに存在感を増しています。中国の人気アニメ『リンククリック(Link Click)』をもとにしたミュージカルは、2023年に上海でレジデント公演としてスタートし、これまでに500回以上の上演を重ね、2024年には中国の没入型シアター作品の上位にランクインしました。本稿では、その意味を国際ニュースとエンタメの視点から整理します。
中国アニメ発ミュージカル、上海でロングラン
『リンククリック』ミュージカルは、2023年に上海で常設公演として幕を開けました。レジデント公演とは、特定の都市や劇場に拠点を置き、長期にわたって同じ作品を上演し続けるスタイルのことです。
この作品はスタートから短期間で観客の支持を集め、累計500回を超える公演を達成しました。観客動員だけでなく、演出面でも評価され、2024年には中国で高く評価される没入型シアター作品のひとつとして位置づけられています。
ポイント:なぜ『リンククリック』ミュージカルが注目されるのか
- 人気アニメを原作とするレジデント公演として、2023年に上海でスタート
- 累計500回以上の上演を達成
- 2024年の中国における没入型シアターの有力作品として評価
- アニメ・コミック・ゲーム(ACG)ファンと演劇ファンをつなぐ架け橋に
原作アニメ『Link Click』の魅力
原作となるアニメ『Link Click』は、感情豊かな人間ドラマと、時間をさかのぼる能力をめぐる複雑な物語構造で知られています。登場人物たちが過去の瞬間に入り込み、小さな選択が現在や未来を大きく変えてしまう──そんな緊張感のあるストーリーテリングが国内外の視聴者を引きつけてきました。
このような「時間」と「記憶」をテーマにした物語は、舞台演出と相性がよく、照明、音楽、舞台装置を通じて、時間のズレや感情の揺れを立体的に体感させることができます。ミュージカル版『リンククリック』も、こうした原作の強みを生かしつつ、劇場ならではの迫力を加えていると考えられます。
「没入型シアター」とは何か
『リンククリック』ミュージカルは、2024年の中国における没入型シアター作品の上位とされました。没入型シアターとは、観客がただ椅子に座って眺めるだけでなく、作品世界に「入り込む」体験を重視する演劇スタイルです。
例えば、
- 舞台と客席の境界をあいまいにする
- 観客がキャラクターのすぐそばで場面を目撃する
- 音響や照明で「時間の跳躍」を体感させる
といった工夫を通じて、物語世界への没入感を高めます。時間移動がテーマの『リンククリック』と、没入型という演劇スタイルの組み合わせは、アニメの世界観を立体的に再構築する試みだと言えるでしょう。
ACGの「その先」を模索する動き
ここ数年、アジアではアニメやコミック、ゲームを原作とする「2.5次元ミュージカル」が広がってきました。『リンククリック』ミュージカルも、この流れの中に位置づけられますが、単なる「人気IPの舞台化」にとどまらない点が特徴です。
ポイントは、
- 原作アニメの時間もの特有の仕掛けを、舞台ならではの身体性や空間演出で表現していること
- 没入型シアターとして、観客の視点そのものを物語の一部に組み込んでいること
- 長期のレジデント公演という形式で、作品世界を「都市の常設コンテンツ」として根付かせていること
といった点にあります。アニメやゲームを消費するだけでなく、その世界観の中にしばらく身を置く「体験型エンターテインメント」へのシフトを象徴する事例と見ることもできます。
日本の観客・クリエイターにとっての示唆
日本でも、アニメや漫画を原作とした舞台作品は数多く生まれてきましたが、レジデント型の没入型シアターとして長期運営されるケースはまだ限られています。中国・上海発の『リンククリック』ミュージカルは、次のような問いを日本のエンターテインメント業界に投げかけています。
- 人気アニメを、どのように「一度きりの舞台」ではなく、都市に根付いた体験型コンテンツに変えていけるのか
- ストリーミングで視聴される作品世界を、どうやってリアルな場のにおいや温度感を伴う体験へと翻訳するのか
- 観客が作品世界に参加しながらも、物語としてのまとまりを損なわない演出はどこまで可能なのか
こうした問いは、アニメ産業だけでなく、観光や都市開発、ライブエンターテインメント全体とも関わるテーマです。2025年のいま、アジアの都市間でエンタメコンテンツの競争と協力が進む中、『リンククリック』ミュージカルはひとつの重要な参考例になりそうです。
アニメを「観る」から「体験する」へ
2023年の上海でのスタートから500回以上の公演を重ね、2024年には中国の没入型シアター作品として高く評価された『リンククリック』ミュージカルは、中国アニメの新しい可能性を示しました。
スクリーンの中で時間をさかのぼっていた物語が、劇場空間の中で観客の身体と感覚を巻き込みながら進んでいく──そんな変化は、私たちがこれからどのように物語を受け取り、どのように共有していくのかを考えるきっかけにもなります。
アニメファンも演劇ファンも、「アニメを体験する」という新しい潮流に、これからいっそう注目していくことになりそうです。
Reference(s):
Beyond ACG: Musical 'Link Click' brings Chinese animation to life
cgtn.com







