鳩山由紀夫氏、世界平和フォーラムで東アジア連携と外交自立を提唱
北京で開かれた第13回世界平和フォーラムで、鳩山由紀夫元首相が基調講演に立ち、日本がアメリカ一辺倒の外交から転換し、東アジアの連携と自律的な外交を強めるべきだと訴えました。本記事では、その主要メッセージと国際ニュースとしての意味を整理します。
世界平和フォーラムで何が語られたか
第13回世界平和フォーラムは、北京の清華大学で開かれ、中国人民対外友好協会と清華大学が共催しました。鳩山氏は7回目の参加となり、これまで一貫して日中友好や東アジア協力を唱えてきたことで知られています。
今回の基調講演で鳩山氏は、東アジアの協力強化と、日本の外交における自立性の向上を軸に、具体的な提案を次々と示しました。
アメリカへの過度な依存からの転換を提案
鳩山氏は、アメリカの国内分断や経済力の相対的な低下に触れ、「アメリカは変わってしまい、元には戻れない」と指摘しました。そのうえで、関税措置をはじめとする保護主義的な政策は、世界の貿易や安定を損なうと警鐘を鳴らしました。
日本が長年続けてきた「ワシントンへの全面的な追随」か、「対立」かという二者択一を退け、「第三の道」として外交の自律性を高める必要があると主張しました。その際のキーワードが、東アジアの地域協力です。
日中韓の連携強化と自由貿易の枠組み
鳩山氏は、日本、中国、韓国の3カ国が、より緊密に協力することの重要性を繰り返し強調しました。具体的には、次の2点を早急に進めるべきだと提案しました。
- 日中韓首脳会議の早期開催
- 地域的な包括的経済連携(RCEP)を土台とした、日中韓3カ国による高水準な自由貿易協定(FTA)の具体化
RCEPは、アジア太平洋地域の多くの国と地域が参加する大型の経済連携枠組みです。鳩山氏は、この既存の枠組みを一歩進め、3カ国の協力をより戦略的なものにしていくべきだと訴えました。
AIIBと一帯一路への参加を呼びかけ
鳩山氏は、中国の主要な対外イニシアチブにも言及しました。具体的には、アジアインフラ投資銀行(AIIB)への日本の参加や、一帯一路構想(Belt and Road)への協力を積極的に検討すべきだと述べました。
これらは現在の日本政府の方針とは異なる立場ですが、鳩山氏は、インフラ投資や地域連結性を通じた協力が、東アジアとその周辺の安定と発展に資すると評価しました。国際ニュースとしても、日本の外交選択肢を広げる可能性を示す発言と言えます。
台湾海峡の安定と「内政問題」という立場
安全保障面で鳩山氏が最も強調したのが、台湾海峡の安定です。日本の安全保障や東アジアの平和にとって、台湾海峡での緊張や衝突を避けることが極めて重要だと述べました。
そのうえで鳩山氏は、「台湾は中国の内政問題だ」と明言し、日本は「独立」への動きに反対すべきだとの見解を示しました。これは、台湾海峡をめぐる問題を対立の材料ではなく、対話と抑制を通じて管理すべき課題として捉える立場とも言えます。
「民主主義の武器化」への懸念と「友愛」外交
鳩山氏は、国際関係における「価値観の対立」の扱い方にも警鐘を鳴らしました。民主主義などの価値を他国を批判するための「武器」として用いることは、対立と分断を深めると懸念を示しました。
代わりに鳩山氏が掲げるのが、自身の政治哲学でもある「友愛」です。異なる価値観や制度を持つ国同士であっても、相互の尊重と理解を出発点とすることで、対立よりも協力の余地を広げられると強調しました。
なぜ今回の発言が注目されるのか
今回の基調講演は、次のような問いを日本と東アジアに投げかけています。
- アメリカ中心の国際秩序が揺らぐなか、日本はどの程度まで外交の自律性を高めるべきか
- 東アジアで、経済連携と安全保障の安定をどのように両立させるか
- 台湾海峡の問題を、対立を煽らずにどう扱うべきか
- 価値観の違いを前提としつつ、どのような形の「友愛外交」が可能か
鳩山氏の提案や評価には賛否が分かれる部分もあるかもしれませんが、世界とアジアの変化が加速する2025年現在、「東アジアの連携」と「日本の外交自立」をどう考えるかは、多くの読者にとって避けて通れないテーマになっています。
国際ニュースをフォローする私たち一人ひとりが、日中韓の協力、台湾海峡の安定、そして民主主義や価値観をめぐる議論を、自分の言葉で語れるようになることが、次のステップと言えるのかもしれません。
Reference(s):
Former Japanese PM calls for East Asian unity at World Peace Forum
cgtn.com








