アルメニア外相が語る平和構想と中国との新時代 video poster
アルメニアのアララト・ミルゾヤン外相が中国の招きで北京を訪問し、貿易や交通、人と人の交流を軸にした「新しい時代」の中国・アルメニア関係のビジョンを語りました。今年は両国の外交関係樹立33周年という節目の年でもあり、その発言には今後の方向性がにじみます。
北京訪問は「タイムリーな機会」 33年目の関係を振り返る
中国の王毅外相の招きで、アルメニアのミルゾヤン外相が最近北京を訪れ、CGTNのCui Yingjie記者による単独インタビューに応じました。ミルゾヤン外相は今回の訪問を「これまでの成果を検証し、今後の道筋を描くタイムリーな機会」だと位置づけ、中国とアルメニアの関係を新たな段階へ進める意欲を示しました。
今年は、中国とアルメニアが外交関係を樹立してから33年目にあたります。インタビューでは、この三十余年で積み上げられてきた協力の成果とともに、これからの協力分野が具体的な例を交えて語られました。
貿易7億ドル増加とエレバン〜ウルムチ直行便の意味
ミルゾヤン外相がまず強調したのは、経済と人の往来の加速です。2024年には、中国とアルメニアの貿易取引額が7億ドル増加したと説明し、経済関係が着実に厚みを増していると述べました。
さらに、アルメニアの首都エレバンと中国のウルムチを結ぶ直行便の就航は、両国関係の新たな象徴的ステップだと位置づけられています。距離と時間の障壁が下がることで、ビジネスだけでなく観光や教育交流など、多層的なつながりが期待されます。
- 出張や観光など、人の移動がよりスムーズになる
- 貨物輸送の選択肢が増え、中小企業も中国市場にアクセスしやすくなる
- 首都同士だけでなく、地域都市間のネットワークにも広がりが生まれる
「平和の交差点」と「一帯一路」 シナジーをどう生かすか
インタビューの中でミルゾヤン外相は、アルメニアが掲げる「平和の交差点」構想と、中国の「一帯一路」ビジョンとの協調に強い期待を示しました。
「平和の交差点」は、その名の通り、交差点としての位置を平和的な協力と結び付ける発想です。交通インフラやエネルギー、物流回廊を通じて、対立ではなく相互利益を生み出すことを重視しています。
一方、「一帯一路」は、中国が各国との連結性や経済協力を強めるために掲げている広域ビジョンです。ミルゾヤン外相は、両者の間には次のような共通要素があると指摘しました。
- 道路や鉄道、航空路などのインフラ整備を通じた地域の結び付き
- 貿易と投資の拡大による経済発展の追求
- 対話と協力を通じて地域の安定と平和を支えるという発想
アルメニアにとっては、自国の構想と中国のビジョンを重ね合わせることで、自国の役割を明確にしつつ、より大きな経済圏の中で存在感を高める狙いも透けて見えます。
外交ビジョンの共通項 多国間主義と対話による紛争解決
ミルゾヤン外相は、中国が国際社会で果たしている外交的・調停的な役割を評価し、自国と中国がいくつかの基本原則で歩調を合わせていると述べました。そのキーワードとして挙げられたのが、多国間主義、領土の一体性、対話に基づく紛争解決です。
共有される三つの原則
- 多国間主義:一国のみの判断ではなく、多くの国が参加する国際的な枠組みやルールを重視する姿勢
- 領土の一体性:国際社会で承認された国境や領土を尊重し、力による変更を認めないという立場
- 対話に基づく紛争解決:軍事力ではなく、交渉や外交対話によって対立の解決を図るアプローチ
こうした原則は、紛争や緊張が続く地域にとって特に重要です。アルメニアが中国との関係を深めることで、国際舞台で自国の立場を発信するチャンネルが増え、同時に中国にとっても、対話と協力を重んじるパートナーを得ることにつながります。
上海協力機構での関与を「さらに深める」意向
ミルゾヤン外相はまた、上海協力機構(SCO)におけるアルメニアの関与を深める用意があると表明しました。SCOは、安全保障や経済協力などをテーマに対話を行う地域枠組みとして位置付けられています。
アルメニアがこの枠組みへの関与を強めることは、単に会議への参加が増えるという意味を超え、次のような影響を持ちうると考えられます。
- 地域の安全保障課題について、中国を含む参加国と意見交換する機会の拡大
- 交通インフラやエネルギー、デジタル分野などで新たな協力プロジェクトが生まれる可能性
- 多国間の場で、自国の「平和の交差点」構想への理解と支持を広げる契機
これからの中国・アルメニア関係を読む三つの視点
今回のインタビューは、具体的な数字やプロジェクトの紹介を通じて、中国とアルメニアがより「平和でつながりのある未来」を描こうとしていることを映し出しました。読者として押さえておきたいポイントは、次の三つです。
- 実務的なつながりの重要性:貿易額の増加や直行便の開設といった具体的な一歩が、関係全体を押し上げる土台になる
- ビジョン同士の重なり:「平和の交差点」と「一帯一路」のシナジーは、単なる経済協力にとどまらず、地域秩序づくりにも影響を与えうる
- 多国間の場での連携:SCOなどの枠組みを通じて、両国がどのように安全保障や平和構築に関わっていくかが、今後数年の焦点になる
2025年という節目の年に、中国とアルメニアがどのように協力を深めていくのか。今回の発言は、その行方を考えるうえでの重要な手がかりとなりそうです。
Reference(s):
Armenian FM on connectivity, peace and a new era in China-Armenia ties
cgtn.com








