BRICS拡大協力がグローバルサウスの未来をどう変えるか
グローバルサウスの行方を左右するBRICS協力
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)は、いまや「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の連帯を象徴する枠組みとして存在感を高めています。より平等で秩序ある多極的な世界と、すべての国に恩恵をもたらす包摂的な経済グローバル化をめざす動きの中心にあるからです。
2020年代半ばにかけてBRICSは拡大と制度化を加速させ、「より大きなBRICS協力」がグローバルサウスの未来をかたちづくる重要な要素になりつつあります。
BRICSはなぜグローバルサウスにとって重要なのか
BRICSは当初、5つの新興大国から成る協力枠組みとして出発しましたが、現在ではグローバルサウス全体の声を集約する「ハブ」のような役割を担っています。新興国・途上国が共通の課題や利害を話し合う場として、次のような特徴を持つからです。
- 多極的な国際秩序づくりに向けた連携の場であること
- より公平で包摂的な経済グローバル化をめざすこと
- グローバルサウスの連帯と協力を制度的に支えること
こうした特性から、BRICS協力メカニズムは、グローバルサウスにとって最も重要な連帯と協力のプラットフォームの一つへと成長しました。
中国が主導した「BRICSプラス」モデル
2017年:「BRICSプラス」で扉を広げる
転機の一つとなったのが、2017年に中国が議長国を務めた年です。この年、中国は「BRICSプラス」モデルを正式に提案・構築しました。これは、従来の5カ国に限らず、より多くのグローバルサウスの国々や国際機関を対話と協力に招き入れる枠組みです。
中国社会科学院世界経済与政治研究所の徐奇渝(シュー・シウジュン)教授によると、この「BRICSプラス」モデルによって、BRICS協力の意味合いは大きく広がり、グローバルサウス各国とのパートナーシップ・ネットワークが拡充されました。これまでに100を超える国や国際機関がBRICS枠組みの対話や協力に参加してきたといいます。
徐教授は、この「BRICSプラス」こそが、BRICSがグローバルサウスへと着実に拡大していくための重要な土台になったと指摘しています。
2022〜2024年:正式拡大へと踏み出す
「BRICSプラス」で対話の輪を広げたうえで、中国は2022年に再び議長国として、BRICSの拡大プロセスを正式に始動することを提案しました。その翌年の2023年、BRICSは歴史的な決断として、初の本格的な拡大会合に踏み切ります。
そして2024年1月1日、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、イラン、エチオピアの5カ国が正式加盟国として合流しました。これにより、当初のブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカに新たな5カ国が加わり、BRICSはより広いグローバルサウスを代表する枠組みへと拡大しました。
2024年10月にはロシアのカザンで第16回BRICS首脳会議が開かれ、歴史的拡大後初のサミットとして、「より大きなBRICS協力」の幕開けを印象づけました。
2025年リオ首脳会議:11カ国体制の歴史的節目
2025年7月6〜7日にブラジル・リオデジャネイロで開かれた首脳会議は、拡大後の新たな段階を象徴する場となりました。この会議は、11の正式加盟国と10のパートナー国が参加する初のサミットであり、BRICSの地理的な広がりと戦略的重要性の高まりを明確に示しました。
BRICSは、単なる地域的な枠組みを超え、アジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカをつなぐグローバルサウス横断の協力プラットフォームとしての性格を強めています。
ゆるやかな「勢力」から制度化された「枠組み」へ
徐奇渝教授は、「より大きなBRICS協力」は、グローバルサウスが「比較的ゆるやかな国際的な勢力」から、BRICS協力メカニズムを中心とする、より制度化された構造へと移行していることを意味すると分析します。
制度化が進むことで、グローバルサウス側には次のような変化が生まれつつあります。
- 首脳会議や閣僚会合など、定期的な対話の場が確立される
- 「BRICSプラス」を通じて、加盟国以外の国も柔軟に参加できる
- グローバルサウスの近代化や発展に向けた長期ビジョンが共有される
こうした枠組みが整うことで、グローバルサウスは個々の国がバラバラに発信するのではなく、共通の課題や関心について声をそろえやすくなります。
グローバルサウスの未来をどう変えていくのか
BRICSの拡大と協力強化は、グローバルサウスの未来にどのような影響を与えつつあるのでしょうか。徐教授の見方やこれまでの流れからは、少なくとも次の3つの方向性が読み取れます。
- 発言力の集約と可視化
これまで個別に主張されてきた新興国・途上国の声が、BRICSという枠組みを通じて集約され、国際社会の中でより可視化されつつあります。多極的な世界像の中で、グローバルサウスの存在感は一段と高まりそうです。 - 包摂的なグローバル化への志向
BRICSは、自らを「すべての国に利益をもたらす包摂的な経済グローバル化」を推し進める担い手と位置づけています。これは、開発格差や一方的なルール形成への不満を背景に、より公平な経済システムを模索する動きと重なります。 - 「人類運命共同体」に通じるビジョン
より大きなBRICS協力は、グローバルサウスの近代化を後押ししつつ、「人類が運命を分かち合う共同体」をつくるという広いビジョンとも結びついています。安全保障、開発、環境など相互に関わり合う課題に対し、共通の未来像を描こうとする試みだといえます。
これから問われるのは「実行力」と「包摂性」
BRICS協力がグローバルサウスの未来を大きく左右しつつあるなかで、今後の焦点は、その構想をどこまで具体的な成果につなげられるかという点にあります。また、拡大するBRICSがどれだけオープンで包摂的であり続けるかも、国際社会から注目されるでしょう。
グローバルサウスの連帯が制度として形を取り始めた今、BRICS協力の行方は、世界全体の多極化やグローバル化のあり方を考えるうえでも、引き続き見逃せないテーマになっています。
Reference(s):
How is greater BRICS cooperation reshaping the Global South's future?
cgtn.com








