中国が河川・湖沼保護の新方針 2035年へ水と共生する社会へ
中国が河川・湖沼の保護とガバナンスを一体的に進める新方針を発表しました。2035年までに「人と水の調和ある共生」を実現するとしており、水資源や環境問題に関心の高い読者にとって注目すべき動きです。
2025年7月の発表 水政策の新たな指針に
2025年7月4日の午前、中国国務院新聞弁公室が記者会見を開き、河川と湖沼の保護とガバナンスを総合的に推進する新たな取り組みについて説明しました。会見には水利部と国家発展改革委員会の担当者が出席し、メディアからの質問に答えました。
会見の中心となったのは、中国共産党中央委員会弁公庁と国務院弁公庁が発表した政策文書「河川湖沼の保護とガバナンスを総合的に推進するための意見」です。この文書は、中国の河川・湖沼政策を方向付ける重要なガイドラインと位置づけられています。
2035年までのゴール 人と水の共生をめざして
この意見書では全体目標が明確に示され、2035年までに「川は人々を潤し、人々は川を守る」という、人と水の調和ある共生の姿を実現することを掲げています。
具体的には次のような姿が想定されています。
- 流域全体での近代的な洪水防御と減災の仕組みが大きく向上している
- 水資源の節約と効率的な利用が一段と進んでいる
- 河川・湖沼の生態環境が総合的に改善されている
- 水に関する文化が豊かに発展している
六つの重点分野
意見書は、取り組むべき重点課題と支援策を六つの分野に整理しています。
- 河川・湖沼の安全を確保すること
- 水資源の節約と集約的な利用を強化すること
- 河川・湖沼の生態環境を守ること
- 水環境を改善すること
- 水文化を継承し、発展させること
- ガバナンスの仕組みを整備すること
安全確保から文化や制度づくりまでを一体的に捉えることで、単なる治水やインフラ整備にとどまらない、包括的な水政策をめざしていることがうかがえます。
2025年の洪水対策 四つのゼロ目標
2025年の洪水シーズンに向けて、水利部は「四つのノー」と呼ばれる目標を掲げています。
- 人的被害を出さない
- 貯水池の決壊を起こさない
- 重要な堤防に決壊を起こさない
- 重要インフラへの影響を生じさせない
この目標を実現するために、洪水対策の責任体制を厳格に実行し、降雨や水位の監視と予測を強化するとしています。また、水利プロジェクトの統一的かつ共同的な運用を強め、リスクの高い場面を重点的に守る対策を取る方針です。
経済成長と水使用量の両立
水資源の節約に関して、中国はこの10年間で一定の成果を上げてきたとしています。国内総生産はほぼ2倍に増え、都市化率も12ポイント上昇しましたが、年間の総取水量は約6100億立方メートル前後で安定していると説明しました。
今後は、農業、工業、都市部それぞれに合わせた節水の制度と政策の枠組みを整え、水の使い方そのものを見直していく方針です。単に節水を呼びかけるだけでなく、仕組みとして水の効率的な利用を促す狙いがあります。
国家水網と南水北調 水をつなぐ巨大プロジェクト
国家水網の構築も着実に進んでいるとされています。幹線となる大規模な水利ルートや主要部分の整備が進み、国全体の水の流れを調整する骨格が形になりつつあります。
象徴的なプロジェクトが、南の水を北へ送る南水北調プロジェクトです。第1期のルートでは、これまでに800億立方メートルを超える水が送られ、直接恩恵を受けている人は1億8500万人に上ります。
同時に、いくつかの大型水網プロジェクトが推進されており、省、市、県レベルの水網の整備も進行中だとされています。大規模プロジェクトと地域レベルのネットワークを組み合わせることで、水不足地域への安定供給を狙っています。
地下水の過剰取水はどこまで改善したか
中国北部で進められてきた地下水の過剰取水対策についても、一定の成果が報告されました。2015年と比べて、過剰にくみ上げられている地下水の量は85.8パーセント減少し、影響を受ける地域の面積も32.8パーセント縮小したとされています。
今後は、北部以外の地域にも取り組みを広げ、過剰取水の是正を進める方針です。地下水は一度減少すると回復に時間がかかる資源であるため、早期の対策が重要になります。
母なる川復興行動と今後の焦点
水利部は「母なる川復興行動」と呼ばれる取り組みも一層推進するとしています。河川や湖沼の生態流量を適切に管理し、水域と岸辺の保全を強化するほか、水と土の流出を総合的に防ぐことにも力を入れます。
こうした一連の取り組みにより、人と水が調和して共存する社会像に近づけるとともに、中国の水の安全保障を確保することを目指しています。
気候変動や都市化が進む中で、どの国にとっても水の確保と水環境の保全は避けて通れないテーマです。今回示された中国の方針は、大規模な治水プロジェクトと環境保護、文化や制度づくりを組み合わせようとする試みとして、今後の進展を追っていきたい分野と言えます。
Reference(s):
China unveils key measures for river and lake protection, governance
cgtn.com







