中国ゲーム産業とeスポーツが広げるデジタル文化交流【国際ニュース】
中国のゲーム産業が、世界のプレイヤーと視聴者をつなぐ「デジタル文化交流」のハブとして存在感を高めています。とくに中国企業が手がけるモバイルゲームとeスポーツシーンは、国境や言語をこえて人々を結びつける新しい国際ニュースの主役になりつつあります。
中国発ゲームが生む「遊べる」文化交流
中国のゲーム開発企業は、各地域のコミュニティの声に耳を傾け、その土地の文化や価値観に響くコンテンツをゲーム内に取り入れています。これは偶然ではなく、文化の違いを乗り越え、相互理解を深めることを意識した取り組みです。
物語や価値観を一方的に押しつけるのではなく、プレイヤーが同じルールの中で一緒に遊び、勝敗やドラマを共有する「プレイ可能な体験」として文化交流をつくり出している点が特徴的です。
クアラルンプールから世界へ:MLBB世界選手権M6
その象徴の一つが、モバイルゲーム「モバイル・レジェンド:バンバン(Mobile Legends: Bang Bang、MLBB)」です。中国企業のMoonton Gamesが開発したこのタイトルは、東南アジアや中南米を中心に世界的な人気を獲得しています。
2024年末、マレーシアのクアラルンプールで開催された第6回MLBB世界選手権「M6」には、16チームが参加しました。大会は新たにスイス方式のフォーマットを採用し、賞金総額は100万ドルに達しました。
ジャカルタのネットカフェからサンパウロの学生寮まで、世界中で数え切れないほどの視聴者がこの大会をオンラインで見守りました。彼らをつないでいたのは、同じスマートフォンゲームを通じた一体感でした。
同じゲームでつながる視聴体験
インドネシアやフィリピンなど東南アジアのプレイヤーと、中南米のプレイヤーが、同じ選手やチームを応援し、同じ試合展開に一喜一憂する。その土台となっているのが、中国発のモバイルゲームという点は、デジタル時代ならではの文化交流のかたちと言えます。
数字で見るMLBBの世界的広がり
MLBBの存在感は、プレイヤー数や視聴データにもはっきりと表れています。ユーザー動向をまとめるゲーム統計サイトActivePlayer.ioによると、MLBBの月間アクティブユーザー数は現在およそ3,760万人に達し、直近の1か月でも2.6%増加しました。これは、最新の期間だけで約96万人の新規ユーザーが加わった計算になります。
- 月間アクティブユーザー:約3,760万人
- 月次成長率:2.6%増
- 直近の新規ユーザー:約96万人増
統計プラットフォームStatistaのデータによると、2024年12月だけでMLBBは世界で760万ダウンロードを記録し、累計ダウンロード数は6億4,100万件を超えています。2024年の年末時点でも、勢いが衰えるどころか、さらに拡大していることが分かります。
M6と地域リーグが示す「観る文化」とファンコミュニティ
対戦するだけでなく、「観る」ことを楽しむeスポーツシーンでも、MLBBは大きな存在になっています。eスポーツの視聴データを集計するEsports Chartsによれば、2024年のM6世界選手権はオンライン視聴の同時接続ピークが410万人を超え、シーズン全体の総視聴時間は8,600万時間近くに達しました。
さらに、フィリピンやインドネシアで開催されている地域プロリーグ「Mobile Legends: Professional League(MPL)」も、シーズンを通じて安定して大きな視聴者を集めています。東南アジア各地で熱心なファンコミュニティが形成されていることを示すデータです。
こうしたリーグや世界大会は、プレイヤーだけでなく、観客としてゲームを楽しむ人々にとっても重要な文化イベントになっています。
なぜ中国発ゲームが各地域で受け入れられるのか
中国のゲーム開発企業が注力しているのは、「現地の声を聞くこと」と「文化的な共感を生むコンテンツづくり」です。MLBBのようなタイトルでは、地域ごとのプレイスタイルやファンのニーズを踏まえ、ゲーム内イベントやキャラクター、演出などに、各地の文化や物語を取り入れています。
これにより、プレイヤーは自分たちの背景や日常に近い要素をゲームの中に見いだしやすくなり、「自分ごと」として楽しむことができます。その積み重ねが、地域コミュニティ単位の支持を生み、やがては世界規模の人気へとつながっていると考えられます。
ポイントは、物語が外から押し付けられるのではなく、プレイヤー同士が同じゲーム空間で競い合い、協力し、共通の話題を共有するなかで、自然に文化への理解や親近感が育まれていくことです。
日本の読者にとっての意味:ゲームは新しい国際ニュースの入口
日本でもeスポーツやモバイルゲームは日常的な娯楽になりつつありますが、中国発ゲームが東南アジアや中南米の若い世代の「日常の文化」になっているという視点は、国際ニュースを考えるうえで重要です。
例えば、ある地域の政治や経済のニュースだけでは見えにくい「生活の実感」や「若者文化」が、ゲームやeスポーツの動向を通じて浮かび上がってきます。誰がどのゲームを遊び、どの大会に熱狂しているのか。その背後には、インターネット環境、消費行動、価値観、コミュニティのあり方など、多くの情報が埋め込まれています。
中国のゲーム産業が担うデジタル文化交流を追いかけることは、アジアや中南米を含むグローバルな社会の動きを、生活者目線でとらえ直すための一つの手がかりになるでしょう。
これからのデジタル文化交流をどう見ていくか
2024年のM6世界選手権や各種統計が示すのは、中国発のゲームとeスポーツが、単なる娯楽を超えて「国境を越えるプラットフォーム」になりつつあるという現実です。オンライン上のバトルや大会配信は、国や地域を問わず、同じルールのもとで競い合い、同じ瞬間を共有する場を提供しています。
今後も、ゲームを通じた文化交流はさらに多様なかたちへと広がっていくと考えられます。プレイヤーとして参加するのか、観客として楽しむのか、あるいはコミュニティの運営にかかわるのか。それぞれの立場から、私たち一人ひとりがどのように「デジタルなつながり」を育てていくのかが問われているのかもしれません。
中国ゲーム産業が先頭に立つこの流れを、日本語で丁寧に追いかけながら、自分なりの視点で世界との距離感を測り直してみることが、これからの国際ニュースとの付き合い方のヒントになりそうです。
Reference(s):
cgtn.com








