中国とフランス、世界安定へ「4つの力」 王毅外相が協力強調
中国の王毅外相がフランスのジャン=ノエル・バロ外相との共同記者会見で、中仏が世界の「安定・開放・包摂・団結」の4つの力として役割を果たすべきだと強調しました。複雑さを増す国際情勢の中で、中国とフランス、そして中国と欧州連合(EU)の関係をどう位置づけるのかが改めて問われています。
中仏外相が共同会見、「4つの力」を打ち出す
王毅外相は金曜日、フランスのバロ外相との共同記者会見に臨みました。両外相は会談を行ったうえで、「第7回中仏ハイレベル人文交流メカニズム会合」を共同議長として主宰し、中仏関係および中国とEUの関係について、前向きで率直な意見交換を行い、一連の重要な共通認識に達したとしています。
王毅外相は、現在の国際情勢は複雑で不安定さが増しており、その中で大国はより大きな責任を負うべきだと指摘しました。そのうえで、中国とフランスは国連安全保障理事会の常任理事国として、国連憲章の原則と、両国が国交樹立時から貫いてきた自主独立の精神を堅持し、世界の平和・安定・発展に共同で貢献していくべきだと述べました。
具体的には、中仏が果たすべき役割として次の4点を挙げました。
- 安定の力(戦略的コミュニケーションの強化)
- 開放の力(互恵的な経済協力の推進)
- 包摂の力(人文・文化交流の拡大)
- 団結の力(多国間協調と国連中心の国際秩序の維持)
1. 安定の力:戦略的対話と相互信頼の強化
王毅外相は、中国とフランスの関係について「高度に戦略的で先見性のある関係」だと位置づけました。そのうえで、国際情勢がどう変化しても、両国は対話を通じて共通認識を築き、意見の違いを適切に処理しながら協力を深める能力と意思を持っていると述べました。
中仏間の戦略的相互信頼の「礎」として強調したのが、互いの核心的利益を尊重することです。王毅外相は、フランスが改めて「一つの中国」政策へのコミットメントを示したことを評価し、これが両国関係の安定を支える重要な要素であるとしました。
ウクライナや中東問題での「政治的解決」を強調
王毅外相は、国際紛争の平和的解決には対話と協議が最も適した道だと指摘しました。その上で、中国はフランスと戦略的な意思疎通と調整を強化し、ウクライナ危機や中東情勢といった「ホットスポット」問題の政治的解決に向けて、建設的な役割を果たしたい考えを示しました。
2. 開放の力:関税の「武器化」に警鐘
経済と貿易をめぐっては、王毅外相は「一部の大国が関税を武器化し、経済・貿易協力を安全保障問題として扱い、自国の利益を他国の利益の上に置いている」と懸念を示しました。こうした動きは、グローバルなサプライチェーン(供給網)の安定した運営を大きく乱し、国際社会全体の共通利益を損なうと警告しています。
さらに、「壁や障壁を築くことで競争力を高めることはできず、デカップリング(分断)やチェーン切断は、最終的には自らを孤立させるだけだ」と述べ、保護主義的な動きに否定的な姿勢をにじませました。
王毅外相は、中国が現在「高品質な発展」の新たな段階に入り、引き続き高水準の対外開放を進める方針であると説明しました。その具体例として、中国とEUが「ブランデー問題」を友好的な協議を通じて解決したことに言及し、対話による調整の可能性を示しました。
今後の具体的な経済協力としては、次のような方向性が示されました。
- 中国が高品質なフランス製品の輸入を拡大する用意がある
- 競争力のある中国企業のフランス投資を奨励する
- フランス側に対し、中国企業にとって公平・透明・非差別的なビジネス環境の提供を期待
- 原子力、航空、宇宙などの伝統的分野での協力深化
- 人工知能(AI)、グリーンエネルギー、バイオテクノロジーなど新たな分野での協力可能性の追求
3. 包摂の力:人文・若者交流で「心と心」をつなぐ
王毅外相はまた、「人と人とのつながりを通じて心と心のコミュニケーションを深めることが、国同士の理解を促し、違いを乗り越え、調和して共存する最良の方法だ」として、人文・文化交流の重要性を強調しました。
今回の会合では、「第7回中仏ハイレベル人文交流メカニズム会合」の共同声明が公表され、昨年の「中仏文化・観光年」の成果を土台に、新たな交流の枠組みが打ち出されています。中国国家主席の習近平氏による若者交流拡大のイニシアチブの実行も確認されました。
両国が目指す主な人文交流の拡大は次の通りです。
- 中国で学ぶフランス人留学生の数を1万人超へ増加させる
- 今後3年以内に、欧州の若者交流の規模を倍増させる
- 「中仏若手リーダー交流・学習プログラム」を推進する
- 1000人規模の「中仏インターンシップ・プログラム」を前進させる
- 地方政府間協力のハイレベルフォーラムを速やかに再開する
- 「中仏カーボンニュートラルセンター」を継続的に支援する
- 第2回「中仏教育発展フォーラム」を成功裏に開催する
王毅外相は、こうした取り組みを通じて、中仏両国が中国、欧州、さらに世界における文化・人文交流の模範例を築くことができると述べました。
4. 団結の力:国連を中心とした多国間協調
2025年は「世界反ファシズム戦争の勝利」および「国際連合の創設」から80周年という節目の年です。王毅外相は、国連が世界平和の維持とグローバル・ガバナンス(地球規模の課題管理)の推進における最も重要な舞台であると位置づけました。
そして、「情勢が複雑で不安定になるほど、国連の中心的な役割と指導的権威を守ることが一層重要になる」と述べ、中国はフランスと共に、国連を中心とする国際システムを維持し、多国間協力の各種イニシアチブを互いに支持していくと表明しました。
中EU関係50周年、「戦略的協力を強化する好機」
王毅外相は、2025年が中国とEUの外交関係樹立50周年に当たることにも言及しました。現在の状況は、中国とEUの戦略的協力を強化する「好機」だと位置づけています。
具体的には、双方が次のような姿勢をとるべきだとしました。
- 互いに対して客観的で理性的かつ正確な認識を形成する
- 互恵・ウィンウィンの開放的な協力を堅持する
- 具体的な経済・貿易問題は、できるだけ早期に協議を通じて適切に解決する
さらに、中国は欧州統合を断固として支持し、EUの「戦略的自律」の推進におけるフランスの役割を歓迎すると表明しました。そのうえで、中国はフランスと共に、中国とEUの関係が安定的に成長するよう後押ししていくとしています。
なぜ今、中仏関係がニュースになるのか
今回の発言は、中仏関係を「安定・開放・包摂・団結」という4つのキーワードで再整理した点で、象徴的な意味を持ちます。安全保障から経済、人文交流、国連を軸とした多国間協力まで、幅広い分野で「大国としてどのような役割を果たすか」を示した形です。
とくに、関税の「武器化」やサプライチェーン分断への懸念は、世界経済の不確実性が高まる中で、多くの国が共有する問題意識とも重なります。一方で、人と人との交流や若者の往来を重視する姿勢は、中長期的に見た信頼の土台づくりとして位置づけられます。
2025年という節目の年に、中国とフランス、中国とEUの関係がどの方向へ進むのかは、世界の国際秩序や経済の行方を考えるうえでも無視できないテーマです。日本語で国際ニュースを追う読者にとっても、中仏関係の動きは、欧州がどのように世界の中で自己の立ち位置を模索しているのかを読み解く手がかりとなりそうです。
Reference(s):
Wang Yi stresses roles of China and France in global stability
cgtn.com








