中国・米国ユース合唱ウィーク 福州と北京で歌でつなぐ平和
2025年7月、中国の福建省福州市と北京で「2025 China–US Youth Choir Week(中米ユース合唱ウィーク)」が開催されました。テーマは「Singing for Peace(平和のために歌う)」で、中国と米国の若者が音楽を通じて交流し、平和への思いを分かち合いました。本記事では、日本語で読む国際ニュースとして、この文化交流イベントのポイントと背景を整理します。
2025年7月、福州と北京を舞台にした国際合唱イベント
2025年7月9日から18日にかけて、福州と北京は合唱を通じた中国・米国の国際交流の舞台となりました。「2025 China–US Youth Choir Week」は、その名の通り両国のユース合唱団が主役のイベントです。
- 期間:2025年7月9日〜18日
- 開催地:福州市(福建省)と北京
- テーマ:Singing for Peace(平和のために歌う)
- 開幕式参加者:約1000人規模の中国と米国の若者・関係者
- 参加合唱団:両国から22のユース合唱団
合唱という「ことばを超える表現」を軸に、友情や文化遺産、そして平和への願いを共有する場となったことが特徴です。
福州での開幕式:歌でつなぐ友情と平和
7月9日に行われた福州での開幕式には、中国と米国から約1000人の参加者が集まりました。合唱を中心としたプログラムを通じて、国境を越えた友情や相互理解の大切さが改めて強調されました。
歴史的な文化遺産が多く残る福州に若者たちが集い、歌を通じて「平和のために声を合わせる」という構図は、中国・米国関係をめぐるニュースが多い2025年の国際情勢の中でも象徴的なシーンといえます。
福州パート:街全体がステージに
7月9日から13日までは、福州が合唱ウィークの中心舞台となりました。この期間には、次のような多彩なプログラムが展開されました。
- 学校訪問:地元の学校を訪れ、学生同士が歌や交流活動を通じて直接触れ合うプログラム
- 体験型の文化活動:文化を「見て終わり」ではなく「体験する」形で学ぶプログラム
- 公共空間でのフラッシュモブ:市街地や広場などで、突然始まる合唱パフォーマンス
- 文化遺産での公演:福州の代表的な歴史・文化遺産を舞台にした特別ステージ
観光名所としても知られる文化遺産が、若者たちの歌声によって「生きたステージ」に変わることで、地元の人々にとっても新たな福州の姿が浮かび上がったはずです。訪問した若者にとっては、教室やホールだけでは出会えない中国の風景や日常に触れる時間となりました。
フジアン大劇院での合同コンサートがハイライト
合唱ウィークのハイライトの一つが、7月11日の夜にフジアン大劇院で行われた合同コンサートです。中国と米国のユース合唱団が同じステージに立ち、それぞれのレパートリーに加え、共同での演奏も披露しました。
異なる言語や音楽的背景を持つ若者たちが、同じ曲をともに歌うことは、「対話」と「協働」を非常に分かりやすい形で示すものです。政治や経済のニュースだけを見ていると見落としがちな、草の根レベルでの信頼構築の姿がここにはあります。
人と人をつなぐ外交:5万人招へい構想の旗艦イベント
この合唱ウィークは、中国が打ち出した「5年間で5万人の米国の若者を中国に招く」という構想に応える旗艦イベントの一つと位置づけられています。狙いは、未来を担う世代同士の人と人とのつながりを強め、相互理解を深めることです。
イベントには、両国のユース合唱団22団体に加えて、次のような多様な参加者も加わりました。
- 米国の民間団体 Friends of Kuliang(フレンズ・オブ・クリアン)のメンバー
- Sino-American Aviation Heritage Foundation(中米航空遺産財団)の代表者
- 姉妹州・姉妹都市プログラムの関係者
公的な枠組みだけでなく、市民レベルの歴史的つながりや民間交流のネットワークが重なり合うことで、「国と国」よりも一歩身近な「人と人」の関係が見えてきます。
中国人民対外友好協会と福建省が共催
合唱ウィークは、中国人民対外友好協会と福建省政府が共催しました。友好交流を担う組織と開催地の地方政府が連携することで、中央と地方、そして国際社会をつなぐ形になっています。
こうした枠組みのもとで行われる文化イベントは、単なる「公演」ではなく、両国の若者が互いの社会や歴史に触れながら関係を築く場として意味づけられています。
なぜ今、若者の文化交流なのか
国際ニュースでは、しばしば中国と米国の対立や競争が取り上げられます。しかし、その一方で、今回のような若者世代による文化交流は、長期的な視点でみると次のような役割を持つと考えられます。
- ステレオタイプの緩和:直接会って話し、歌うことで、お互いのイメージを自分の経験から更新できる
- 将来のネットワークづくり:学生時代の国際交流は、その後の学業・仕事・研究につながる人脈となりうる
- 共通の「物語」を共有:同じステージに立った記憶は、国を超えて共有できるポジティブな物語になる
音楽、とくに合唱は、一人ひとりの声が集まって一つのハーモニーをつくる表現です。異なる背景を持つ若者たちが「歌う」という行為を通じて協調と対話を体験することは、分断が語られがちな世界において、静かだが確かなメッセージを発しているといえるでしょう。
「歌う平和大使」たちのこれから
「2025 China–US Youth Choir Week」は、単発のイベントで終わるものではありません。参加した若者たちが、学校や地域社会、オンラインコミュニティなど、それぞれの場にもどったあとも、今回の経験をもとに新たな交流の機会をつくっていくことが期待されます。
歌を通じて出会った仲間や、歩いて見た福州や北京の風景、そこで聞いたそれぞれの物語。それらは、国際情勢が変化しても個々人の記憶として残り続けます。そして、その記憶こそが、次の世代の「歌う平和大使」を生み出す土台になるのかもしれません。
ニュースの見出しだけでは見えてこない、静かな交流の積み重ねに目を向けることで、中国と米国、そして世界をめぐるニュースの読み方も、少し変わってくるのではないでしょうか。
Reference(s):
cgtn.com








