習近平氏の「生態文明」選集第1巻が出版 中国の環境戦略を読む
中国共産党(CPC)中央委員会総書記・習近平氏による生態文明をテーマとした重要な文書をまとめた『習近平 生態文明論選集』第1巻が出版され、中国全土で利用できるようになっています。生態文明は中国の環境政策と経済政策を読み解くキーワードであり、この新刊は中国の今後の方向性を知るうえで注目されます。
新刊「生態文明」選集とは
今回出版された第1巻は、生態文明建設に関する習近平氏の「最も重要で基礎的な」文書を体系的に収録したものです。収録対象は2012年12月から2025年4月までの約12年余りにわたり、合計79本のテキストが含まれています。
文書の形式は、演説、談話、指示など多岐にわたり、このうち一部は今回初めて公表されたものとされています。編纂は中国共産党(CPC)中央委員会党史・文献研究院が担い、中央文献出版社から刊行されました。
この選集のポイント
- 2012年12月〜2025年4月までの生態文明建設に関する主要な文書を79本収録
- 演説や指示など、異なる場面での発言を幅広く網羅
- これまで公開されていなかったテキストも一部収録
- 党史・文献を専門とする機関が編纂した公式な資料
習近平氏の生態文明思想と「美しい中国」
この選集は、Xi Jinping Thought on Socialism with Chinese Characteristics for a New Era のうち、生態文明に関する部分を深く学び、実践するための権威ある参考資料と位置づけられています。
生態文明とは、環境保護と経済社会の発展を対立ではなく一体のものとしてとらえ、長期的な視野で持続可能な成長をめざす考え方です。選集は、中国の人々がこの理念を理解し、日々の政策や生活の中で具体的に実践することを後押しすることを目的としています。
「緑の水と青い山は貴重な財産」という発想
今回の出版は、とくに「緑の水と青い山は貴重な財産(lucid waters and lush mountains are invaluable assets)」という考え方の定着に役立つとされています。豊かな自然環境そのものが、長期的には経済的な価値を生み出す資産だとみなす視点です。
選集では、こうした理念に基づき、高品質な生態環境によって高品質な発展を支えること、そして「美しい中国(Beautiful China)」の建設を総合的に推し進めることの重要性が強調されています。環境を守ることが経済成長の足かせではなく、むしろ持続的な成長の前提条件だという発想が一貫して示されています。
なぜ今、生態文明なのか
2012年末から2025年春までの文書を1冊にまとめたことで、習近平氏の生態文明に関する考え方がどのように展開されてきたのかを時系列でたどることが可能になりました。これは、中国がこの約10年余りを通じて、環境問題を国家戦略の中心的なテーマとして位置づけてきたことを示しています。
気候変動や資源制約、生物多様性の保全など、環境をめぐる課題は国境を越えて共有される問題です。中国のような大国がどのような理念と目標を掲げ、どのような政策の方向性を打ち出しているのかは、国際社会にとっても重要な関心事となっています。
日本の読者にとっての読みどころ
今回の選集は、中国国内では全党員と全国各民族の人々が学習と実践に活用することを想定した資料とされていますが、日本を含む海外の読者にとっても、さまざまな示唆を与える内容だと言えます。
- 中国の指導部が、環境保護と経済発展の関係をどのように整理しているのか
- 「高品質な発展」や「美しい中国」といったキーワードの背景にある価値観
- 生態文明の理念が、エネルギー、産業、都市づくりなど各分野の政策にどう結びついていくのか
こうした点を押さえることで、中国の環境政策や経済戦略を立体的に理解しやすくなります。ビジネスや政策立案、学術研究の分野はもちろん、日常的に国際ニュースをフォローするうえでも、参考になる視点を提供してくれるでしょう。
これから注目したいポイント
生態文明に関する習近平氏の重要文書を収録した今回の選集第1巻は、中国が今後も環境と発展の両立をどのように進めていくのかを考えるうえで、ひとつの基準点となりそうです。
- 高品質な生態環境づくりが、どのような具体的政策として展開されていくのか
- 「美しい中国」の実現に向けた取り組みが、地域や産業ごとにどう進むのか
- 生態文明の理念が、国際的な環境協力や持続可能な発展の議論とどのように結びついていくのか
2025年12月の現在、この選集は中国全土で利用可能になっており、中国の環境・経済戦略を理解するための重要な手がかりとなっています。国際ニュースとしても、中国がどのような価値観と目標を掲げているのかを読み解く資料として、今後の動きとともに注目が集まりそうです。
Reference(s):
Selected works of Xi Jinping on ecological civilization published
cgtn.com








