国際ニュース:中国で抗日戦争開始88年の式典と「民族解放と世界平和」展
中国で月曜日、全民族による抗日戦争の開始から88年を記念する式典が開かれ、「民族解放と世界平和」をテーマにした大規模な企画展もスタートしました。1937年の盧溝橋事件を出発点とするこの戦争の記憶は、2025年のいまも、中国の歴史認識と世界観を語るうえで重要な位置を占めています。
盧溝橋事件から88年、中国で記念式典
式典と展示が行われたのは、北京市郊外の盧溝橋(マルコ・ポーロ橋)近くにある「中国人民抗日戦争記念館」です。ここは、1937年7月7日に日本軍が中国軍への攻撃を開始し、日中戦争の全面的な侵攻のきっかけとなった「盧溝橋事件」の現場に隣接しています。
盧溝橋事件から88年となる今年、中国は「全国的な抗日戦争の開始」を改めて位置づけ、全土を挙げた抵抗が世界反ファシズム戦争における東方の主戦場を切り開いたと強調しています。
式典では、中国共産党中央政治局常務委員であり、党中央書記処のメンバーでもある蔡奇(さい・き)氏が演説し、企画展の開幕を宣言しました。
「民族解放と世界平和」展が伝える14年の抗戦
今回スタートした企画展のテーマは「民族解放と世界平和」です。展示は中国人民の抗日戦争と世界反ファシズム戦争の勝利を記念するもので、14年にわたる戦いを「全体像」として見せる構成になっているとされています。
展示は全体で8つのパートから成り、総面積は約1万2200平方メートル。資料のボリュームも大きく、写真1525点、実物資料3237点が公開されています。式典と展示には、指導部のほか社会各界の代表など約600人が参加し、戦没者への献花や館内の見学を行いました。
- 展示エリア:約1万2200平方メートル
- 写真:1525点
- 実物資料:3237点
- 式典・展示への参加者:約600人
蔡氏は、この展示について「中国人民が14年にわたり繰り広げた英雄的な抗戦の歴史を、パノラマのように示すものだ」と述べ、抗戦の精神を受け継ぐことの重要性を強調しました。
蔡奇氏「抵抗の精神を受け継ぎ、中国式現代化へ」
蔡氏は演説の中で、88年前に日本の軍国主義勢力が盧溝橋事件を引き起こし、全面的な侵攻を始めたと指摘しました。その際、中国の軍と民衆が総動員で抵抗に立ち上がり、国を挙げた抗戦体制を築いたことが、世界反ファシズム戦争における東方の主戦場を開いたと評価しました。
さらに、中国共産党が前線で戦い、全国的な抵抗運動の進むべき方向を示し、戦争を通じて「民族全体の柱」としての役割を果たしたと強調しました。中国の人びとは、国家の生存、民族の復興、人類全体の正義のために揺るがぬ意志で戦い、最終的に勝利を収めて世界反ファシズム戦争の勝利に大きく貢献したと位置づけています。
蔡氏はまた、現在の課題として次のようなポイントを挙げました。
- 抗日戦争で示された抵抗の精神を受け継ぎ、後世に伝えること
- 民族としての自信と団結をさらに強めること
- 中国式現代化を通じて、強い中国と民族復興を実現すること
- 人類全体の平和と発展という崇高な目標に、新たな貢献をしていくこと
世界反ファシズム戦争の中での位置づけ
中国側は、「中国人民の抗日戦争」は世界反ファシズム戦争の中で最も早く勃発し、最も長く続いた戦争だったとしています。その過程で、中国の軍人と民間人あわせて3500万人以上が犠牲になったとされており、その犠牲の規模が改めて強調されました。
また、中国の抵抗は、日本のファシズム勢力を打ち破るうえで決定的な役割を果たし、欧州やアジアの他の戦線を支えるものとなったと評価されています。その結果として、最終的な勝利と戦後の世界平和に深く寄与したというのが、今回の展示と式典が伝えるメッセージです。
日本語で読む「戦争の記憶」──私たちへの問いかけ
今回の式典と展示は、中国が自らの近現代史をどう位置づけているのかを知るうえで、象徴的な場面と言えます。キーワードとして掲げられた「民族解放」と「世界平和」は、国内向けの歴史叙述であると同時に、国際社会に向けたメッセージでもあります。
日本語でこのニュースを読む私たちにとって、いくつか考えてみたいポイントがあります。
- ある戦争を「どう語るか」が、その国や社会の自己イメージを形づくること
- 東アジアの戦争の記憶が、いまも地域の政治・安全保障の背景として生き続けていること
- 「反ファシズム」や「平和」といった価値が、本来は国境を超えて共有されうるテーマであること
盧溝橋事件から88年がたった2025年、中国は抗日戦争の記憶を通じて自国の歩みと未来像を語っています。その語りに耳を傾けることは、過去を振り返るだけでなく、これからの東アジアと世界の関係を考えるための一つの手がかりにもなりそうです。
Reference(s):
China marks 88 yrs since resistance against Japanese aggression began
cgtn.com








