CGTNの唐代建築バーチャル展覧会 世界の専門家が語る美学と遺産
唐代建築の美学をCGTNバーチャル展覧会で再発見
国際ニュースを伝えるCGTNが手がけるマルチメディア没入型・双方向バーチャル展覧会「唐の建築:時を超える栄華を築く」が、唐代建築の美学とその遺産をめぐって各国の専門家の議論を呼んでいます。オンラインで体験できるこの企画は、建築を通じて文明の対話を促す試みとして注目されています。
建築は「凝固した歴史」 CGTNアートシリーズの新企画
今回の展覧会は、CGTNのアートシリーズプロジェクトの一環として制作されました。映像やインタラクティブな演出を組み合わせることで、唐代の宮殿や都城、木造建築の世界を立体的に体験できる構成になっており、視覚的な迫力だけでなく、文明同士の歴史的な対話を感じさせる内容となっています。
専門家の間では、建築は単なる構造物ではなく、凝固した歴史であり、文明の精神を体現した記念碑的な存在だという見方が共有されています。今回のオンライン展は、そうした視点を一般の視聴者が実感しやすい形で提示していると言えます。
考古学と建築研究を「体験」に変える 北京大学・Zhang Yiwu教授
北京大学のZhang Yiwu教授は、このバーチャル展覧会の革新的な価値を強調しています。考古学、文化研究、建築研究の深い成果を、新しい方法論やテクノロジー、創造的なアプローチによって、具体的で没入感のある文化体験へと変換している点が特徴だと述べています。
こうした取り組みは、中国文明のアイデンティティを世界に提示するうえで重要なルートになると、Zhang教授は見ています。専門知をデジタル空間で共有することで、グローバルな対話の可能性が広がりつつあります。
「Grandpa Dougong」が語る木造建築の魂 斗拱と仏光寺
プロジェクトの特集番組では、中国の文化財保護の専門家でありインフルエンサーとしても知られるWang Yongxian氏、通称Grandpa Dougongが登場します。Wang氏は、伝統的な中国木造建築の「魂」とされる斗拱の千年にわたる秘密をひもときます。
さらに、梁思成と林徽因が山西省の仏光寺を発見した物語を通じて、中国の木造建築が東アジアの建築伝統の源流となってきたことを示します。オンライン展の中で語られるこのエピソードは、歴史的な発見と現在のデジタル表現がどのようにつながるのかを考えさせる内容です。
大明宮の空間が映し出す政治と自然観
中央美術学院のGeng Shuo教授は、長安の大明宮の配置に込められた政治的・環境的な象徴性を、考古学の視点から読み解いています。周代の礼制を踏まえた荘厳な前殿から、道教の宇宙観を反映した「一湖三山」の後苑の設計まで、千年前の宮殿が持っていた哲学的な奥行きが、デジタル空間で立ち上がります。
権力のあり方と自然観がどのように建築空間として形を与えられてきたのか。Geng教授の解説は、歴史的な宮殿を現代の都市や環境の問題と重ね合わせて考えるきっかけにもなります。
碁盤目の都市計画が東アジアにもたらした影響
オランダ人建築家のMartijn de Geus氏は、唐代の都城計画を高く評価しています。モジュール化された長方形の区画が囲碁の盤のように配置された都市構造は、秩序と多様性のバランスを実現し、古代中国の統治の知恵を具現化したものだといいます。
この都市計画は東アジアのモデルとなり、千年以上前、日本が平城宮(奈良)や平安宮(京都)を築く際にも、長安の都城を手本としました。今回のバーチャル展は、そうした設計思想が海を越えて受け継がれた歩みを、視覚的にたどる手がかりを提供しています。
唐代建築は「芸術的到達点」 日中の文化財保護の専門家が評価
中国政府友誼賞の受賞者であり、中国と日本の建築遺産保護の第一人者とされるNobuo Aoki教授は、唐王朝(618〜907年)を、経済と文化が卓越した繁栄を遂げた時代だと位置づけています。壮麗で優雅な宮殿や殿堂、寺院が、豊かな様式的多様性を示し、芸術的な到達点を体現していると強調します。
Aoki教授をはじめとする専門家の評価は、唐代建築の研究が、過去を振り返るだけでなく、アジアの都市や建築のこれからを考えるための重要な手がかりになり得ることを示しています。
デジタル時代の「歴史との対話」として
スマートフォンやPCからアクセスできる今回のようなバーチャル展覧会は、遠い時代の建築遺産を、現代の生活につながるテーマとして捉え直す機会を提供します。唐代の宮殿や都市計画、木造建築の技術に触れることは、自分たちが暮らす都市空間や社会のあり方を考えるヒントにもなります。
国際ニュースとしての側面だけでなく、アジアの文化や歴史に関心を持つ読者にとって、デジタル技術を通じて「建築=文明の対話」に参加するための新しい入口が広がりつつあると言えるでしょう。
Reference(s):
Experts discuss aesthetics of Tang architecture in CGTN exhibition
cgtn.com







