中国の李強首相、BRICSに「グローバルガバナンス改革の先頭に立て」と呼びかけ
第17回BRICS首脳会議の全体会合で、中国の李強首相が「グローバルガバナンス(世界の統治)の改革」でBRICSが先頭に立つべきだと呼びかけました。国際秩序の揺らぎが指摘される2025年、BRICSがどのような役割を果たそうとしているのかを整理します。
李強首相「BRICSはグローバルガバナンス改革の先頭に」
現地時間の日曜日に開かれた第17回BRICS首脳会議の全体会合「平和と安全とグローバルガバナンス改革」で、中国の李強首相は、BRICS各国が世界の統治体制の改革を先導する「先鋒」となるべきだと強調しました。
会合にはBRICS各国の指導者が出席し、議長はブラジルのルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領が務めました。李首相は、BRICSが世界の平和と安定を守り、紛争の平和的解決を後押しする役割を果たすよう呼びかけています。
「100年に一度の大変化」と国際秩序への危機感
李首相は演説のなかで、現在「100年に一度とも言える変化」が加速していると指摘しました。国際ルールや秩序は深刻な挑戦にさらされ、多国間の枠組みや国際機関の権威と実効性が弱まっているという認識です。
こうした状況のなかで、中国の習近平国家主席が提唱してきた「広範な協議、共同貢献、利益の共有」を柱とするグローバルガバナンスのビジョンが、現代的な価値と実務的な意義を一層示していると評価しました。
キーワードは「協議・共同・共有」
李首相は、対立と違いが増える世界で何が必要かを、3つの視点から整理しました。
- 広範な協議:紛争や意見の相違が増えるなかで、各国は平等と相互尊重に基づく幅広い対話と協議を強化する必要がある。
- 共同貢献:各国の利益が深く結びつくなか、連帯を通じて共に責任を担い、グローバルな課題の解決に貢献することが求められる。
- 利益の共有:互いに利益をもたらし得る発展の機会が広がるなかで、開かれた姿勢を保ち、共に成功し成果を分かち合うべきだ。
これらの考え方を通じて、李首相は、グローバルガバナンス改革は「誰かに従うかどうか」ではなく、「どう協調し、利益を分かち合うか」を問うプロセスだとのメッセージをにじませました。
グローバルサウスの「先頭集団」としてのBRICS
李首相は、BRICSを「グローバルサウスを代表する先導的な力」と位置づけ、次のような役割を求めました。
- 独立性と自立性を堅持し、自らの道を主体的に選ぶ。
- より強い責任感を示し、国際社会の合意形成と協調の構築を主導する。
- 道義と公正を重んじ、個々の問題の実情に即した「根本的な解決策」を追求する。
BRICSの協力枠組みがより代表性を増し、国際的な影響力を高めているとの評価も、会合に参加した各国首脳から示されました。
成長と開発協力のエンジンに
グローバルガバナンス改革に加え、李首相は「開発」と「成長」をBRICSの重要な柱として強調しました。BRICS各国は経済成長の原動力を強化し、新しい成長分野の潜在力を掘り起こす必要があると述べています。
具体的には、開発協力を積極的にリードし、新たな産業分野など「新しいタイプの生産力」をめぐる協力を深める方針を示しました。李首相は、今年(2025年)中に「中国・BRICS新質生産力研究センター」を設立する計画を明らかにしたうえで、産業や通信などの分野で人材育成を進める奨学金プログラムも創設すると発表しました。
文明間の対話と包摂性をどう実現するか
李首相がもう一つの柱として挙げたのが、文明間の対話と包摂性です。BRICS各国は、文明と文化の多様性を尊重しながら、交流と「相互学習」を進めるべきだと訴えました。
李首相は、BRICSが文明の調和ある共存を主張する「語り手」となり、多様な文明が互いに力を与え合いながら共に繁栄できるよう努めるべきだと述べました。
より公正で効率的なガバナンスへ:中国のスタンス
李首相は、中国が他のBRICS各国と手を携え、より公正で公平、効率的で秩序ある方向へグローバルガバナンスを進めていく用意があると表明しました。目指すのは、「より良い世界」を共に築くことだとしています。
参加国首脳が見たBRICSの役割
会合に参加した各国の指導者からは、BRICS協力メカニズムが継続的に強化され、代表性を増し、その国際的影響力が着実に高まっているとの評価が示されました。
とくに、BRICSがグローバルサウス各国にとって、次のような役割を果たしているとの見方が共有されたといいます。
- 開発する権利を守るための重要なプラットフォーム
- 国際的な公平と正義を擁護する場
- グローバルガバナンス体制の改革に参加するための窓口
世界が不安定さを増し、一方的な行動や保護主義が広がるなかで、BRICS各国は、連帯と協調を強化し、国連憲章の目的と原則を守るべきだとの意見も出されました。多国間主義を支持し、共通の発展を促し、グローバルガバナンスの改善や、長期的な平和と繁栄により大きく貢献すべきだと呼びかけています。
「リオデジャネイロ宣言」が意味するもの
今回の会合では、「第17回BRICS首脳会議リオデジャネイロ宣言」が採択されました。この宣言は、BRICSが今後も協力を深めつつ、グローバルガバナンス改革や平和・開発にどう関わっていくかについての共通認識を示すものと位置づけられます。
日本の読者にとっての問いかけ
BRICSの動きは、日本を含む多くの国や地域にとって、国際秩序のこれからを考えるうえで無視できないテーマになりつつあります。グローバルサウスの声が強まるなか、どのように多国間の対話を維持し、対立を避けつつ、より包摂的なガバナンスをつくっていくのかが問われています。
日本語で国際ニュースを追う私たちにとっても、BRICSが掲げる「協議・共同・共有」というキーワードが、これからの世界でどのように具体化していくのか注視していく必要がありそうです。
Reference(s):
Chinese premier urges BRICS to lead global governance reform
cgtn.com








