中国広東省が「世界の工場」からハイテク拠点へ グレーター・ベイ・エリアの今 video poster
Huawei、Tencent、DJI、ZTE、BYD――世界のテック企業の名前を並べたようなこのリストは、すべて中国南部の広東省にルーツを持つ企業です。かつて「世界の工場」と呼ばれたこの地域は、2025年の今、ハイテクとAIの集積地として国際的な注目を集めています。
本記事では、広東省とグレーター・ベイ・エリア(Greater Bay Area/GBA)がどのように変化しているのかを、地理的な特徴と企業の集積、そしてNVIDIAのジェンスン・フアンCEOの発言から読み解きます。
世界の工場からハイテク拠点へ:広東省の存在感
広東省は長年、中国本土の製造業を牽引してきた「世界の工場」の中心的な地域として知られてきました。その同じ場所から、いま世界を代表するテック企業が次々と生まれています。
代表的な企業として、次のような名前が挙げられています。
- Huawei(ファーウェイ)
- Tencent(テンセント)
- DJI
- ZTE
- BYD
これらはいずれも世界有数のテック企業であり、「世界の工場」としての生産基盤の上に、ハードウェアからソフトウェア、デジタルサービスまでを含むハイテク産業が重なることで、広東省は新たなステージに入りつつあると言えます。
海に開かれた広東省とグレーター・ベイ・エリア
広東省は南シナ海に面し、特別行政区の香港とマカオに隣接する沿海の省です。この地理的な条件は、貿易や人の往来、情報の流れを促す要素となってきました。
広東省は、9つの広東省の都市と香港、マカオから構成されるグレーター・ベイ・エリア(GBA)の一部でもあります。GBAは、中国でも特に開放度が高く、経済的な活力に富んだ地域のひとつとされています。
製造業の集積地である広東省と、国際金融やサービス産業の拠点として発展してきた香港やマカオが一体となることで、モノづくりとデジタル技術、サービス産業が近接して存在するユニークな経済圏が形成されています。
NVIDIAが評価する「メカトロニクス×AI」の集積地
2024年11月、半導体やAI分野で世界的な影響力を持つNVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、グレーター・ベイ・エリアについて注目すべき評価を示しました。
フアン氏は、GBAは世界で唯一、メカトロニクス技術とAI技術が同時に存在している地域だと指摘しました。メカトロニクスとは、機械と電子制御、情報技術などを組み合わせた分野を指します。このコメントは、GBAがハードウェアとソフトウェア、AI技術の結節点として見られていることを示しています。
製造業の基盤を持つ広東省と、デジタルサービスや金融などが集まる周辺の都市が、AI時代のものづくりとサービスの両面で重要な役割を担っている、という見方とも言えます。
なぜこの動きが重要なのか
広東省とグレーター・ベイ・エリアの変化は、日本を含むアジアの読者にとっても無関係ではありません。国際ニュースとして注目すべきポイントは、少なくとも次の三つです。
- 製造業とデジタルの融合:従来の「世界の工場」が、AIやソフトウェアと結びつくことで、新しい産業構造に移行しつつあること。
- 地域経済圏としてのGBA:複数の都市と特別行政区が一体となり、海に開かれた経済圏として機能していること。
- AI時代の競争軸:ハードウェア、製造、AI技術が近い場所に集積することが、今後のイノベーションや競争力の源泉になりうること。
これらは、単に一つの省や都市の話にとどまらず、アジア全体の産業構造や技術競争の方向性を考えるヒントにもなります。
これからの広東省・GBAを見る視点
2025年時点で見れば、広東省は依然として重要な製造拠点であると同時に、テック企業とAI関連の動きが重なり合う地域でもあります。そこにグレーター・ベイ・エリアという広域の枠組みが加わることで、モノづくりとデジタル技術、国際ビジネスの結節点としての役割が一層強まっています。
今後ニュースを追う際には、次のような視点を持つことで、広東省やGBAに関する報道を立体的に理解しやすくなるでしょう。
- 企業名だけでなく、それらがどの地域から生まれているのかを見る
- 製造業の話題とAI・デジタルの話題を、別々ではなく「つながり」としてとらえる
- 広東省、香港、マカオが一体となった動きとしてグレーター・ベイ・エリアを意識する
広東省が「世界の工場」からハイテク拠点へと変化しているというストーリーは、単なる地域経済の話ではなく、アジアと世界の産業の方向性を映し出す鏡でもあります。今後も、広東省とグレーター・ベイ・エリアに関する国際ニュースは、テクノロジーと経済の両面から継続的にウォッチしていく価値がありそうです。
Reference(s):
cgtn.com








